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世界昔ばなし130

时间: 2020-02-18    进入日语论坛
核心提示:チンバオ 昔、下(しも)の部落ではどの家もたいへん貧しかったが、中でもチンバオの家が一番の貧乏だった。幼い時に父さん母さ
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チンバオ                                                                    

昔、下(しも)の部落ではどの家もたいへん貧しかったが、中でもチンバオの家が一番の貧乏だった。幼い時に父さん母さんをなくしたチンバオは、目の見えないおばあちゃんと二人、頼りあって暮らしていた。
ある日、チンバオが川で水浴びしたり、もぐったり、逆立(さかだ)ちしたりして遊んでいると、突然、川上からなにか流れてきた。泳いでいってみると、茶色の小犬が哀れな声で鳴いている。チンバオは急いで救いあげた。岸に上がると小犬はしっぽを振って、チンバオのまわりをうれしそうにとび回った。
チンバオはこの小犬がとても気に入り、家につれて帰っておばあちゃんの前に置いた。おばあちゃんは小犬をなでてにっこり笑ったが、やがて悲しそうにいった。
「チンバオや、やっぱり犬は放しておやり。うちには満足にご飯もないのに、どうやってこの犬にえさをやるんだい」
チンバオはこの小犬を放したくなかったが、枯れ枝みたいに痩せ細ったおばあちゃんを目の前にしては、あきらめるほかなかった。
ところが小犬はどうしても出て行こうとしない。追い出しても、目に涙を浮かべ、鼻をならして、すぐにかけ戻ってくる。チンバオは小犬がかわいそうで泣きだした。おばあちゃんもつらくて涙を流し、こうして小犬はこの家に住みついた。
毎日、チンバオは小さな茶碗一杯きりの自分のぬかと菜っ葉のご飯を半分残しては小犬にやった。小犬はどんどん大きくなったが、チンバオはだんだんやせ細っていった。
ある日のこと、チンバオがご飯をやろうとしたが、小犬は口をとじたまま、じっと動かない。
チンバオはあわてた。おばあちゃんは小犬のからだをあちこちさすっていたが、
「ゆうべ寝冷えをしたのかね」
とつぶやいて、
「すぐにショウガ湯を煎じて飲ませておやり」
とチンバオにいった。
チンバオがあつあつのショウガ湯を煎じてやると、小犬はすぐに飲みほした。まもなく小犬のおなかがふくれて波打ってきたかと思うと、小犬は急にしっぽをぴんと立て、まばゆく金色に輝くものをぽとぽと落とした。チンバオがよくみると、金の粒の山だ。チンバオとおばあちゃんは大喜びした。
金を手に入れて、二人の暮らしも楽になった。このうわさはたちまちひろまり、とうとう上(かみ)の村の金持ちのチンバイワンの耳にも入った。
この欲深じいさんが黙っているわけがない。さっそく役人たちとぐるになり、手下を引きつれて下の部落にやってくると、チンバオが彼の家の金の犬を盗んだと言いがかりをつけて、なぐるけるの乱暴のあげく、小犬を奪っていった。
チンバイワンは、宝を手にいれてうちょうてんになり、おおぜいの客を招いた。大テーブルを特別に用意し、深紅の緞子(どんす)を敷き、金を受ける皿を置くと、小犬をテーブルの上にのせた。
すっかり用意が整(ととの)い、客も次々にやってきた。テーブルの上にきれいな布で飾り立てた犬がいるのを見ると、主人はなにをたくらんでいるのだろうと、客はいぶかり、にぎやかにテーブルを囲んだ。けれど、いくら待っても、小犬は金はおろか屁ひとつひらない。
と、その時、チンバイワンがいった。
「ほれ、腹がふくれてきたぞ、金を錬(ね)ってるぞ」
とたんに小犬はしっぽをぴんと立て、どろどろのものを皿いっぱいにたれた。チンバイワンはこぼしてはならじと、あわてて両手をひろげて受けた。小犬はブーというと、屁と糞の混ざった臭いやつをチンバイワンの顔にかけた。
ガヤガヤととり囲んでいた客たちは、みな鼻を押さえて笑いこけた。チンバイワンはサルの尻みたいにまっ赤になった。みんなの前で面子をつぶされたチンバイワンは、手や顔を洗うのもそっちのけで、棍棒をふりかざすなり、小犬になぐりかかった。小犬は身をひるがえすやチンバイワンにかみついた。
チンバイワンが、わめいた。
「助けてくれ、さっさとこいつをぶち殺せ」
召使いたちはチンバイワンを助けだすと、小犬を棍棒でなぐり殺して、川べに捨てた。
チンバオはこの知らせを聞くと、悲しくて大泣きに泣いた。チンバオは小犬の亡きがらを背負ってくると、家のわきの桃の木の根元に埋めた。
チンバイワンはというと、傷口がいっこうにいえず、そのうち化膿して腐り、これがからだ中にひろがって、まもなく死んでしまった。
翌年、チンバオの家のわきの桃の木には、大きな桃がことのほかたくさん実った。
ある朝、チンバオが戸をあけると、たわわに実った桃が金色に輝いて、ボトボト地面いっぱいに落ちてきた。拾ってみると、これがみんな金だ。チンバオとおばあちゃんは、この桃を近所の貧しい人たちに配り、それからはみんな幸せに暮らした。
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