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世界昔ばなし132

时间: 2020-02-18    进入日语论坛
核心提示:もの言う敷居   あるところに狩りをして暮しをたてているみなし子がいた。毎日、山に行ってわなをしかけて獲物をとっていたが
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 もの言う敷居
                                                                           
あるところに狩りをして暮しをたてているみなし子がいた。毎日、山に行ってわなをしかけて獲物をとっていたが、ある朝早く見に行くと、キツネをつかまえるわなにおばあさんが足をはさまれていた。おばあさんはみなし子がやって来るのを見て、いった。
「ぼうや、ゆうべ出かけたら、ろくでなしがしかけたわなに足を挟まれちまったんだよ。急いで来てはずしておくれ」
やさしいみなし子は近づいて、わなをはずしてやった。ヒュッ、おばあさんはたちまちキツネに変わって、ピョコピョコ逃げていった。しまったと思ったが、もうおそい。みなし子はまたわなをしっかりしかけた。
次の日、夜が明けるや、みなし子はきねを握って出かけた。わなに若い娘がはさまれているのが、遠くから見えた。娘はみなし子が来るのを見て、いった。
「お兄さん、わなをはずして下さい」
またキツネだと思ったみなし子は、いった。
「なにがはずして下さいだ、キツネめ」
手に持ったきねで、娘をバンバンなぐりつけた。死んだとたん、ヒュッ、娘はキツネに変わった。みなし子がキツネの死骸をかついで帰っていくと、途中で、腰に貝がらのベルト、首には真珠の飾りの盛装で、刀を背おい、弓矢をかついだ若者に出会った。若者は、
「おまえだな、うちの女房を殺したのは」
こういうなり、サッとキツネを奪った。
「女房なもんか! キツネだ」
みなし子がいった。若者は承知せず、豪勢な身なりをかさに着て、皇帝のところに白黒つけてもらいに行こうという。みなし子がいやだと断ると、一人でどんどん訴えに行ってしまった。
みなし子は、こいつもキツネにちがいないと思った。だが、こんなボロを着ていたのでは、皇帝のところに行って申し開きをしても、まともに聞いてもらえない。みなし子は困って、飯もろくにのどを通らず、ぐっすり眠ることもできなかった。七日たつと、皇帝のもとから人が来た。
「なぜ人殺しをしたのだ」といって、皇帝の御前に引きたてていこうとする。
「皇帝陛下にお目通りするにはしたくがいります。きょうすぐにというわけにもまいりません」
みなし子は役人どもひとりひとりに心付けを包んでひとまず帰した。が、こうなってしまっては行かないわけにいかない。その晩、みなし子はまんじりともしなかった。翌朝、夜が明けるとすぐに出発し、日暮れまで歩いて、ある村についた。一軒の家の前で足を止めると、宿を求めた。この家は金持ちだったが、主人はみなし子の貧しいなりを見ると、どなりつけた。
「この親なし子め。宿賃も持たぬくせに。とっとと出ていけ」
門がしまり、みなし子はしめ出された。みなし子は疲れはて、宿もなく、そのまま門口でからだをまるめると、敷居を枕にぐっすり眠った。夜中にみなし子は敷居が話をするのを聞いたような気がした。
「かわいそうなみなし子、なげくことはないよ。金持ちにはひとり娘があるんだが、七年も病の床にふせったままだ。手の施しようもないというありさまだが、じつは治すのは簡単なんだ。あさっての朝、青い服を着たやつが最初の太陽の光と一緒に門を入って行く。そいつが娘に取り付いている魔物で、金持ちの庭の池のほとりに住んでいる。糸を通した針をそいつの服の胸元に刺しさえすれば、娘の病気はすぐによくなり、おまえが困っていることも解決するさ」
みなし子が目をさますと、白糸を通した針を一本手に握っていた。夜中に聞いた敷居の話を思い出して、門を入って行くと、金持ちにいった。
「おたくのお嬢さんは七年も寝たきりだそうですね。ひとつ、わたしが治してさしあげましょう」
金持ちはみなし子を見ると、またどなりちらした。
「おまえみたいな乞食野郎になんで病気が治せるか。とっとと失せろ」
みなし子は落ち着きはらっていった。
「旦那様、まあ気を沈めて下さい。お嬢さんの病気はわたしが必ず治してみせますから、安心なさって下さい」
みなし子が自信満々の様子なので、金持ちは半信半疑でいった。
「よし、それなら試してみろ。だが、もし治らなかったらおまえの首を切ってやるからな」
「明日の朝には必ず治ります」とみなし子はいった。
その晩も、みなし子はまた門のところで寝た。翌朝、青い服を着た男が、最初の太陽の光とともに入って行くのを見ると、みなし子はすかさず針をその男の胸元に刺した。とたんに男はすっと消えた。みなし子は大いばりで、金持ちに会いに行った。
「旦那様、お宅の貯水池のほとりから魔物を掘り出して来て下さい。そいつの息の根を止めてやりましょう」
金持ちはカエルを掘り出して来たが、そいつは心臓の真ん中を白糸を通した針で貫かれていた。金持ちがふしぎに思っていると、突然、「父さん、父さん」と呼び声がする。ふり返って見ると、娘なので、あわてていった。
「おまえ、どうして起きて来たんだい」
「すっかり元気になったのよ。父さん、わたしの病気を治して下さった方に、さっそくお礼をしてね」
金持ちは喜んで、金や銀をみなし子の前に並べると、好きなだけ持って行くようにいった。ところがみなし子は、
「金も銀もいりません。わたしが欲しいのはただ一つです」
「望みのものを、なんなりとやろう。さあ、いってくれ」
みなし子は敷居を指すと、「これを下さい」といった。金持ちは金銀をしまうと、敷居を掘起こして、みなし子にやった。みなし子は敷居を背負い、出発した。
途中、敷居はまたみなし子の耳元でいった。
「かわいそうなみなし子、あすの昼、道でつがいのタカを売っているおじいさんに会うから、買っておきな。あとで役に立つよ」
翌日の昼、なるほどタカを売っているおじいさんに出会ったので、タカを買って先に進んだ。
さて、みなし子が宮殿に着いてみると、ちょうど若者が御前でワアワア申し立てをしている最中だった。皇帝はみなし子が殺人を犯したものと決めてかかっていた。みなし子は進み出て申し開きをした。
「わたくしは狩りをして暮しを立てている者です。わたくしが殴り殺したのはキツネで、人ではありません」
しかし若者の言葉を信じこんでいる皇帝は、みなし子を有罪にして、「首を切れ」と命令した。
みなし子は無実の罪を着せられて、思わず叫んだ。
「陛下、待って下さい。こいつもキツネです」
皇帝は大笑いしていった。
「じゃあ、キツネだという証拠を見せてみろ、ハハハ」
みなし子は、隠し持っていたタカを放した。つがいのタカはバタバタと飛んで行って若者の頭をつっついた。ヒュッ、たちまち若者はキツネに変った。皇帝があっけにとられている間に、兵士たちの刀がふりおろされて、キツネはたちどころに殺されてしまった。
皇帝はみなし子の優れた才知をめでて、罪を取消したばかりか、役人に取立てた。みなし子は七年間、役人を勤めたが、ふるさとがなつかしくなり、帰りたくなった。敷居は、
「かわいそうなみなし子、帰らないで役人を続けな」
といったけれど、みなし子は聞かず、敷居をかついで出発した。途中で敷居がまたいった。
「かわいそうなみなし子、じきに雨になるよ。やっぱり引き返そう」
みなし子はそれでも聞かなかった。突然、大風が吹き荒れ、黒雲が大地をおおい、大粒の雨がバラバラ落ちてきた。あっというまに山崩れが起き、敷居も押流されて、ゆくえ知れずになってしまった。みなし子は相棒を失くしてたいへん悲しんだ。さんざん苦労のすえ、ふるさとに帰ると、もう役人にはならず、昔どおり狩りをして、自由な毎日を過ごした。
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