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世界昔ばなし138

时间: 2020-02-18    进入日语论坛
核心提示:塩の味   一人の王がいた。娘が七人いた。王はある時、娘たちを呼んで、「おまえたちは、わたしをどんなふうに大切に思ってい
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 塩の味
                                                                           
一人の王がいた。娘が七人いた。
王はある時、娘たちを呼んで、
「おまえたちは、わたしをどんなふうに大切に思っているか?」
とたずねた。
「お砂糖のように大切に思っていますわ」
と一人が答えると、
「わたしはお菓子のように」
「わたしは果物のように」
といった具合に、娘たちは次々に答えていったが、七番目の娘は、
「わたしはお父さまをお塩のように大切に思っていますわ」
と答えた。王は七番目の娘の答にたいへん腹を立てた。王にとって、塩などというものはごくありふれた、つまらないものだったのだ。
「宝石のようにとか、飾りのようにとでも言えばよいものを」
怒った王は、お抱えの司祭に、
「七番目の娘の婿に、一番貧乏な男を見つけてこい」
と命じた。司祭は森へ行って、みすぼらしい小屋に二人の兄弟が住んでいるのを見つけた。たいへん貧乏で、食べる物もろくになかった。たきぎを売って、それだけでなんとか暮らしをたてていたが、たいしたかせぎにはならなかった。その兄弟のうちの一人を婿と決め、司祭は王宮に帰って、王に報告した。
「王女の婿になる男はひどい貧乏で、家もろくにございません。それはそれは小さな小屋に住んでいるのでございます」
王は司祭の労をねぎらい、何日かして、七番目の娘をその貧しい若者に嫁がせた。嫁入り道具に、着物三枚すら持たせてやらなかった。
娘は夫とその兄弟といっしょに、みすぼらしい小屋で、ひどい暮らしを始めた。兄弟二人合わせても、一日にたったの四アンナしかかせげなかった。妻は夫に、
「三アンナ半で食べ物を、残りのうちの二パイサで何かほかの物を買ってきてくださいな。でもその二パイサで買ってきた物は、必ず小屋の屋根の上にほうり投げておいてくださいね」
と頼み、さらにわずかに残ったお金をためて、夫に針や糸や布切れを買ってきてもらった。毎日、それを縫って、かがって、スカーフを作り、夫に頼んで、町で売ってもらった。こうして、貧しい家の毎日のかせぎが少しは増えていった。
ある日、夫は二パイサの物を見つけることができなかった。しかし、帰る途中で、道端に一匹の蛇が死んでいるのを見かけたので、それを拾って帰って、妻の言いつけ通り、小屋の屋根の上にほうり投げておいた。
それからまもなく、一羽のとんびが空を飛んでいて、王のおきさきが、小さな池で水浴びをしているのを見かけた。おきさきは高価な金の首飾りをはずして、木の枝に掛けた。とんびはさっと舞いおりて、その首飾りをくわえると、再び舞いあがり、森の中の例の貧しい小屋の上にさしかかった。屋根の上の蛇に気付くと、くわえていた金の首飾りを屋根の上に投げ落として、代わりに蛇をくわえて飛び去った。
思いがけず高価な首飾りを見つけて、一家はおお喜び。さっそくそれを市場で売って大金を手に入れ、宮殿のような家を建て、召使も何人かやとって、幸せに暮らし始めた。
ある日、妻は父の王様を食事に招くことにした。かねがね娘の暮らしぶりを一度見てみたいと思っていたので、王はさっそくその招きに応じた。娘は王のためにいろいろな御馳走を作ってもてなした。王は娘がたいそう裕福なのに驚いたが、どの料理に手をつけてみても、甘味のあるものはあっても、塩気のあるものがなかった。結局、どれ一つとして気に入る料理はなかった。どれもこれも全く塩気がなかったからだ。
「どうして塩を入れた料理を作らないのだ? 塩気がはいってこそ、料理はおいしくなるものなのに」
と王は怒って娘をどなりつけた。娘は奥へ行って、あらかじめ用意しておいた、塩の入った料理を王の前に差し出した。王はおおいに満足した。
「お父さま、だから、わたしは、お父さまをお塩のように大切に思っておりますと申しあげたのですわ。塩はだれにとってもとても大切なものですわ。塩がなかったら、だれも生きてはいけませんもの」
「そうだ。そうだ。もっともだ。わしが間違っていた」
王はそう言って、娘をいったん王宮に連れて帰り、あらためて、莫大な持参金をつけて、同じ男のもとに嫁にやり、婿にも高い位と名誉とを授けてやることにした。
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