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世界昔ばなし139

时间: 2020-02-18    进入日语论坛
核心提示:半分小僧一人の王がいた。子供がいなかった。いろいろ手をつくして、よいと言われることはなんでもためしてみたが、いっこうに効
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 半分小僧                                                                        

一人の王がいた。子供がいなかった。いろいろ手をつくして、よいと言われることはなんでもためしてみたが、いっこうに効き目がなかった。
たいへん賢いという評判の修行者がこの国にやってきた。王は、
「余は七人も妻をめとったが、いまだに子供に恵まれぬ。なにかよいてだてを知ってはおらぬか?」
とたずねた。修行者は王に棒を一本渡して言った。
「この棒であの木をたたけ。七つのマンゴーが落ちてくるだろう。欲張ってはならぬぞ。欲張ると、七つのマンゴーも、棒も、木の上にくっついてしまうから」
王が木のところに行って、棒でたたくと、七つのマンゴーが落ちてきた。しかし、つい欲張って、もう一度、たたいてしまった。すると、マンゴーも棒も、するするとあがって木の先にくっついてしまった。王は困って、後悔しながら部屋に戻り、修行者のところに行って、
「つい欲張って、いいつけにそむいてしまったが、どうかもう一度だけ、なんとかしてもらえないか」
と頼んでみた。修行者は棒をもう一本くれた。王がその棒で木を打つと、七つのマンゴーと、さっきの棒とが落ちてきた。二本の棒は修行者に返し、七つのマンゴーを持って家に帰り、七人のお妃に渡した。六人のお妃は、なにもしないで座っていたので、すぐにそのマンゴーを食べたが、七人目のお妃は食器を洗っていたので、
「これを済ませてから食べますから、わたしのマンゴーはとっておいて下さいな」
と王に頼んだ。ところが、ねずみがそのマンゴーを半分かじってしまった。そこで、六人のお妃は六人の男の子を生んだが、七番目のお妃からは、半分小僧(アダー・バーイー)が生まれた。片目、片腕、片足で、鼻も半分しかなく、背丈も人並みの半分という男の子だった。七人が若者になると、父王は、
「もうおまえたちのためにするべきことはしてやった。世の中に出て自分で仕事をみつけてこい」
と命じた。七人は揃って職を探しに出かけたが、兄たちは六人とも半分小僧をきらっていた。そこで、ある庭に着くと、
「マンゴーをとってこい」
と半分小僧にいいつけた。半分小僧は自分で木に登って取ってこようとしたが、うまく走れないので、庭の持主につかまってしまった。
「どうか許しておくれ。ごらんの通り、おれは半分小僧だ。兄さんたちはあることないこと言いたてて、いろいろと難くせをつけては、いつもおれにいやなことを押しつけるんだ。かわいそうだと思って、かんにんしておくれ」
半分小僧は許されて戻ってきた。半分小僧とはいっても、兄さんたちの誰よりもよっぽど頭が良かったのだ。兄さんたちは面白くない。なんとかして半分小僧を追い払おうと、知恵をしぼった。
「どうだい。みんないっしょにあてもなく歩いていたってはじまらない。ひとつ、みんなで矢を放って、それぞれ、その矢の落ちたところへいって、職を探すことにしようじゃないか」
半分小僧の矢は壺を作って売っている店の近くに落ちた。裕福な壺作りだったので、半分小僧をやとってくれた。しばらくして、壺作りの家族は結婚式に出席することになり、幼い息子一人を残して、全員出かけて行った。息子はお腹をこわしていた。夜になると、
「便所に行きたいから、ついてきてよ」
と半分小僧に頼んだ。
「おれはおまえの召使じゃあない。こんな夜中にいやなこった。どうしてもと言うのなら、お金のありかを教えておくれ」
「いやだよ。そんなことをしたら、しかられちゃうよ」
そこで、半分小僧は息子を強引に連れ出して、黒蟻の穴の上に座らせた。黒蟻が刺し始めると、息子は悲鳴をあげて叫んだ。
「用足しをしたら、力が抜けちゃった。立たせてよ。痛いよ、痛いよ」
「助けてもらいたかったら、鍵を渡せ」
息子はまだ子供だったので、死ぬかもしれないと思うと恐くなって、鍵のありかを教えた。半分小僧は男の子を助け起こして、寝かせつけ、眠ったのをみすますと、お金をごっそり盗み出して、ロバに食べさせた。ロバはお金をすっかり食べてしまった。
壺作りの家族が戻ってくると、半分小僧はひまをとりたいと申し出た。壺作りが、
「お礼に何でも好きなものをあげよう」
と言うと、半分小僧は例のロバを指さした。
「そんな老いぼれたロバよりも、もっと高価なものを持ってお行き。長い間、働いてくれたんだから」
「いやいや、このロバで十分。ほかにはなんにもいらないよ」
半分小僧はそう言って、ロバを連れていとまを告げた。
さて、七人の兄弟が再び会う時と所とはあらかじめ決めてあった。半分小僧がその場所に行くと、兄さんたちは、
「いったい、何を持ってきたんだい?」
とたずねた。半分小僧はロバを見せたが、兄さんたちはそれぞれ二千ルピーから一万ルピーにも及ぶお金を見せ合って、家に帰った。
半分小僧のお母さんは、
「いったいおまえは何をしていたの、たったのロバ一頭しか持ち帰らないなんて! 兄さんたちはしこたま稼いできたというのに」
と文句を言った。半分小僧は、
「心配しなくてもいいよ。棒を一本見つけてきておくれ。それから屋根に穴を一つ開けて、ロバをその上にのせてくれ。あとはすべておれにまかせとけ」
と言って、準備ができると、屋根の上のロバを棒で打ち始めた。ロバは食べたお金を次から次へと出して、とうとう家中がお金で一杯になった。
「一体、半分小僧はどれだけ稼いできたんだい」
と兄さんたちにきかれると、母親は、
「さあ、わからないねえ」
と言って、倉を開けてみせた。倉はルピー貨で一杯で、息をすることもできないほどだった。
「これはみんなロバのお腹からでてきたのさ」
と母親が言うと、みんなは、
「いったいいくら出せば、そのロバを売ってくれるのかい」
とたずねた。
「さあ、百ルピーでどうかね」
兄さんたちは百ルピー払ってロバを買い取ると、さんざん打ちのめして、とうとう殺してしまったが、出てきたのはにせの一ルピー貨一枚だけだった。
「あのロバはにせものだったにちがいない。百ルピーは返せ」
と兄さんたちは半分小僧にどなりこんだが、半分小僧は、
「先にロバを返してもらおうじゃないか」
と開き直った。兄さんたちは死んだロバの代わりにほかのロバを次々と連れてきたが、半分小僧は、
「どうしても、あのロバでなければだめだ」
と突っぱねて、たくさんのお金を手に入れた上に、百ルピーも返さなかったということだ。
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