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世界昔ばなし140

时间: 2020-02-18    进入日语论坛
核心提示:三つの魔法の品とふしぎな薬草一人の王がいた。この王には息子が一人いたが、占い師は、「残念ながら、十二歳で世を去るだろう」
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三つの魔法の品とふしぎな薬草                                                                      

一人の王がいた。この王には息子が一人いたが、占い師は、
「残念ながら、十二歳で世を去るだろう」
と予言した。やがて、息子はそのことを知ると、遠い森に苦行に出かけた。森にはほかにもたくさんの修行者がいて、師匠のもとで苦行をしていた。
ある時、その師匠が三つの品をのこして世を去った。三つの品というのは、物乞い袋と木靴と一本の杖だった。弟子たちはその三つの品をめぐって奪い合いを始めた。
「どうしてみんなそんなものを欲しがるのか?」
と例の少年がふしぎに思ってたずねると、弟子たちは、
「この物乞い袋は望みの食べ物をいくらでも出してくれる。この木靴はどこへでも好きなところへ連れていってくれる。この杖は死んだ人を生き返らせてくれるんだ」
と言って、なおも争いを続けた。
「おれに任せてくれ。いい考えがある」
と少年が言うと、弟子たちはたずねた。
「いったいどんな考えだ?」
「おれがこれから一本の矢を放つから、どこに落ちるか知らないが、だれでもいい、それを一番早く拾ってきたものに、師匠がのこした品をやることにしようじゃないか」
弟子たちはあまりよく考えもしないで、
「よかろう」
と賛成し、少年が矢を放つと、みんな夢中になって探しに行った。その間に少年は物乞い袋と杖を手に、木靴をはいて飛び立った。
少年はある国に飛んで行き、一人のおばあさんの家へ行って、
「どうかこの家に置いてくれ」
と頼んだ。
「わたしは貧乏で食べるものにも困っている。とても置いてなんかあげられないよ」
おばあさんが断ると、少年は、
「心配しなくてもいい」
と言って、例の物乞い袋から食べ物をいくらでも出してみせた。おばあさんは喜んで、
「わたしには子供がない。息子になっておくれ」
と、その日から少年を家に置いてくれた。
この国に一人の王女がいた。男には目もくれないというもっぱらの評判で、宮殿の外は兵士たちが、中は侍女たちが固く守っていた。少年はその話を聞くと、例の木靴をはいて、ある夜こっそり王女の部屋に忍び込んだ。王女は驚いて、
「どうやってここに忍び込んできたの? 見つかったら殺されてしまう。早くお逃げ」
と叱ったが、少年は聞き入れず、毎日こっそり通ってくるようになった。
ある日、二人の笑い声を耳にした侍女たちは、
「王女さまは男などには目もくれないといいながら、毎日、見知らぬ少年とお会いになっています」
と王に言いつけた。王が問いただすと、
「だって、見知らぬ少年が空を飛べる木靴をはいて忍び込み、だれかを呼ぼうとすると、さっと飛んでいってしまうんですもの」
と王女は答えた。
そこで王はよそでは手に入らない、特別な匂いのする香水を王女に渡して、
「少年がきたら、そっとふりかけておけ」
と命じた。
なにも知らない少年は、匂いのついた衣服を洗濯屋に渡した。洗濯屋はたまたま結婚式に出なければならなかったので、ちょうどよいとばかりに、よい匂いのする少年の衣服を着て出かけ、王の家来に捕まり、死刑の宣告を受けた。王があらかじめ、
「よい匂いのする衣服を着ている男を死刑にせよ」
と命じておいたからだ。
洗濯屋が死刑になるという噂を聞いて、少年はおばあさんに、
「わたしの代わりに洗濯屋を死なせるわけにはいかない。王さまのところへ行ってすべてをお話ししてこよう。もともとわたしが死ななければならない時がきているのだから」
と今までのことを打ち明け、
「わたしが死んだら、わたしの死体を引き取って、枕許にこの杖を立ててくれ」
と頼んで、例の魔法の杖を渡し、王のところへ出かけた。
少年が処刑されると、おばあさんは、約束通りその死体を引き取って、泣きながら家に連れ帰り、言われた通り枕許に杖を立てた。すると少年は生き返り、
「ラーム、ラーム」
と呟きながら起き上がった。
こうして生き返った少年は、また王女のところへ飛んで行って、
「どうかわたしといっしょに逃げておくれ」
と頼んだ。王女は最初は断ったが、とうとう断り切れなくなった。そこで二人は、一足ずつ木靴をはいて飛び立ち、少年がもといた森に着いた。そこで少年が疲れて眠っているすきに、王女は物乞い袋と杖を持ち、木靴をはいて、宮殿へ飛んで帰ってしまった。
取り残された少年は、たまたま、もとの仲間の修行者たちが、ふしぎな薬草を食べて猿に姿を変え、しばらくしてまた別のふしぎな薬草を食べて、人間の姿に戻るのを見てしまった。そこで少年もその薬草を食べて猿に姿を変え、九ラックもするすごく高価な首飾りをして、王女のいる宮殿の近くをうろつき始めた。九ラックもする首飾りをした猿の噂は王の耳に入り、王はさっそくその猿を連れてこさせて、王女に与えた。王女は猿を自分の部屋に連れていって可愛がった。王女と二人だけになると、猿は隠し持ったふしぎな薬草を食べてもとの少年の姿に戻り、
「もう一度いっしょに逃げておくれ」
と王女に頼んだが、王女はいうことをきかなかった。そこで少年は王女に薬草を食べさせて猿の姿に変え、自分は木靴をはいて王宮から抜け出した。
王は王女が猿に変わってしまったのを見てたいそう驚き、
「だれでもよい、王女をもとの人間の姿に戻したものには、莫大な褒美をとらせよう」
とおふれを出した。少年は王のところへ行き、
「わたしが王女をもとの人間の姿に戻しましょう」
と申し出た。王は、
「今までにもたくさんの人たちが失敗した。いったいおまえはどうやって王女をもとの姿に戻すつもりか?」
とたずねた。
「二十日の間、王女と二人だけにしてくれれば、きっともとの姿に戻して見せます」
と少年は答えて、王女と二人だけになると、王女に薬草を食べさせて人間の姿に戻し、
「どうしてもわたしといっしょに逃げてほしい」
と迫った。
「いやです。声をあげて人を呼びますよ」
と王女が断ると、また薬草を食べさせて、猿の姿に変え、こんなことが何回か続いた。とうとう王女も根負けして、
「いっしょに逃げてもいいわ」
と同意したので、少年は王女を連れて自分のほんとうの国に帰り、息子は十二歳で死んだものとばかり思って悲しんでいた父王を喜ばせた。
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