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世界昔ばなし142

时间: 2020-02-20    进入日语论坛
核心提示:貧しい男の運   むかし、うちの村にひとりの貧しい男がいた。男は、くる日もくる日も、木を伐(き)りに森にでかけては、それ
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貧しい男の運
                                                                           
むかし、うちの村にひとりの貧しい男がいた。男は、くる日もくる日も、木を伐(き)りに森にでかけては、それを売って暮らしをたてていた。
ある日、木を伐っていると、むこうの方から羊の群れがやってくるのが見えた。ところが羊飼いの姿が、どこを探しても見えない。なあに、ずっとうしろの方にいて、おくれた羊でも追いかけているのだろうと、男は手を休めてながめていた。
とつぜん、一匹の羊が群からはなれ、穴に落ちて、わなにはまってしまった。男が穴のそばに行って中をのぞきこむと、年をとった片眼の狼がうずくまっていて、そのとなりで、羊が、おびえてないていた。それを見て、男は、ぽんとひざをたたいていった。
「なんということだ! あの狼の運ときたら、ひとりで足もとにころがってきた。それにひきかえ、このわしときたら、ちょっとばかりの食べもののために、一日じゅう、あくせくと働いている。
だが、もう骨をおるのはごめんだ。運がころがりこむのをじっと待つことにしよう」
男は仕事をやめて、斧を肩にかついで家に帰った。おかみさんは、亭主がなにも持たないで戻ってきたのを見て、たずねた。
「おまえさん、木を売らないのかい。これから先、どうやって食ってくつもり」
「なあ、おまえ、働くのはやめよう。わしは、きょう森の中で、狼の足もとに運がころがりこむのを見たんだよ。わしたちも、じっとがまんして、運がむこうからやってくるのを待つことにしよう。なにもしないで待つのが、いちばんだよ」
男はそういって、ごろんとベッドに横になった。
昼がすぎ、夜がすぎ、一日がすぎた。つぎの日も、男はなにもしないで寝ていたがなにも起こらなかった。
三日目の晩、夜中に男がおかみさんをゆり動かして、いった。
「おまえ、起きるんだ。今、夢の中に坊さまがあらわれて、神さまのお告げを伝えてくださった。わしにこういった」
「おやまあ、なんていったの」
「ほら、運は、すぐそこまでやってきている。家のむこうの古い木の下を掘りなさい。土の中に、金貨のぎっしりつまったつぼが埋まっている。これが、おまえが待っていた運というものだ。と、こんなぐあいだ」
おかみさんはよろこんだ。
「まあ、わたしたちにも運がむいてきたようね。さあ、おまえさん、はやく行って宝物をもってきておくれよ」
「まてまて、わざわざこっちからいくことはない。あの狼の野郎の運は、むこうから足もとにころがりこんできたんだ。わしのところにも、むこうからやってくるよ」
「じゃあ、なにもしないで待ちましょう」
この二人の話を、となりの家のおかみさんが、すっかり聞いてしまい、さっそく亭主をたたき起こして、話した。
「そいつはたいへんだ」
となりのだんなは、先に行ってよこどりしようと思った。まだあたりはまっ暗なのに、だんなはつるはしとスコップを持って、木の下にいった。あちこち掘っているうちに、探していたつぼが土の中からやっとでてきた。となりのだんなはつぼをぬすんで、抱きかかえて、走って家に帰った。
おかみさんは、扉(とびら)のところに立って、亭主が帰るのを、いまかいまかと待っていた。
二人は、だれにも見られないよう、家の鍵をしめると、つぼをあけた。
すると、大きなへびがかま首をもたげて、しゅるしゅるはいだしてきた。へびは、カッと目をあけて、あかい舌(した)をちろちろさせている。
「ひえー!」
夫婦は腰をぬかした。
二人は、へびのはいったつぼを男の家にほうり投げようと思い、急いで屋根の上によじのぼり、煙突の中に投げこんだ。
つぼはチャリン、チャリリンと音をたてて男の家の暖炉にころがりこんだ。
おかみさんは、とび起きて、亭主をひっぱり起こした。
「起きてよ! なにか、うちの暖炉に落っこちてきたのよ。行ってみてよ。もしかすると、あんたのところに運がころがりこんできたのかもしれないから」
「まてまて、わざわざ起きることはない。もしも、わしに運がころがりこんできたなら、あの狼のように、わしの足もとにころがってくるよ」
木こりは、またベッドにもぐりこんでしまい、ちっとも動かない。だけどおかみさんは、いったいなにが起こったのか、見たくてたまらない。おかみさんは、とうとうしんぼうできなくなって、あかりをつけて、暖炉のそばに行って、中をのぞきこんだ。暖炉の中には、どうしたことか、金貨がいっぱいあふれている。
おかみさんは、亭主のところにかけよって足をひっぱった。
「起きてよ、あんた! おまえさんにもとうとう運がむいてきたよ。うちの暖炉が、金貨でいっぱいになってるよ」
男は、おかみさんの手をはらって、またベッドにもぐりこんだ。
「ほっといてくれないか! わしは起きないよ。あの狼の野郎の運は、ひとりで足もとにころがってきた。わしのところにも、むこうからやってくるよ」
男は、ちっとも動かない。おかみさんは気がもめて、暖炉のそばに行った。そして、金貨を手のひらですくって、亭主の足もとにばらまいた。
「ああ! とうとう、やってきたぞ」
男はベッドから起きだして、おかみさんと二人で、金貨をテーブルかけに拾い集めた。二人は、使うときにいつでもとりだせるように、金貨を戸棚にしまった。
そのようすを窓からのぞいていたとなりの夫婦は、ねたましくてたまらなかった。あんまりくやしくて、夜も眠れなくなって、病気になってしまった。
こんなぐあいに、貧しい男はじっとしていて運をつかんだ。でも、アッラーの神は、だれにでも、いつでも、福をさずけるわけじゃあない。
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