この世に初めて死が訪れたとき、人々はなんとか死を避ける方法はないものかと、神様に尋ねることにして、カメレオンを使いに出しました。
神様はやって来たカメレオンに教えました。
「人間に言いなさい。モロコシの餅を焼いて死体の上にのせれば、死んだ者ももう一度生き返るからとな」
カメレオンは人間のもとに向かいましたが、足がのろいので、その間にも人はどんどん死んでいきます。人間たちはカメレオンの帰りを待てず、もう一度、今度はトカゲを使いに出しました。トカゲは足が早いので、すぐに神様のもとにつきました。
ところが神様は、二度も使いを寄越したというのですっかり怒ってしまい、トカゲに言いました。
「死んだ者は地面に穴を掘って埋めるがいい」
足の早いトカゲは、途中でカメレオンを追い越し、自分が聞いた話を先に人間たちに伝えました。カメレオンが着いたときには、死体はみんな穴の中に埋められ、もう生き返らせることはできなくなっていました。
こうして人間は、辛抱ということを知らなかったために、生き返ることができなくなったのです。