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世界昔ばなし151

时间: 2020-02-20    进入日语论坛
核心提示:空飛ぶ奴隷たち   アフリカの黒人たちは、もともと小鳥のように空を飛べたそうだ。それが、何か不都合なことをしたため、神様
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空飛ぶ奴隷たち
                                                                           
アフリカの黒人たちは、もともと小鳥のように空を飛べたそうだ。それが、何か不都合なことをしたため、神様が怒って翼をもぎ取ってしまったのだ。でも、カリブ海の島々やアメリカの辺ぴな田舎には、今でも飛ぶ能力を持った人がいる。ただ、そういう人は、見かけが普通の人と変わらないので、誰も気がつかないだけだ。
さて、昔、カリブ海のある島に、黒人奴隷を死ぬまでこき使う鬼のような主人がいた。奴隷が死ねば、代わりの奴隷を連れてくるだけだった。法律で禁じられていたのに、焼けつくような夏の日盛りにも働かせすぎで、奴隷を死なせてしまうことも度々だった。
ある時など、奴隷全員が過労で死んでしまったことがあった。それでも、主人は町へいって、アフリカから連れてこられたばかりの黒人たちを奴隷商人から買い取り、すぐに綿畑に引っ張っていった。
主人は、相変わらず黒人たちをこき使った。奴隷たちは、夜明けと共に働きに出て、暗くなるまで休めなかった。男も女も、子供たちまで、一日中虫けらのようにこき使われたのだ。たとえ、近くに木があったとしても、その下で休むことも許さず、真っ昼間も働かせた。まともな頭だったら、きつい時間帯には休みを与えるはずなのに、この主人はちょっとした息抜きさえ与えなかった。それどころか、奴隷監督に命じて仕事をせかすので、黒人たちは全員が暑さでのどが渇き、すっかり弱ってしまった。
その中に、つい最近赤ん坊を生んだばかりの若い女がいた。女は初めて赤ん坊を生んだばかりで、回復が十分ではなかった。決して畑に出られる状態ではなかったのに、この女は他の女と同じように、赤ん坊をおんぶして働かなければならなかった。
赤ん坊が泣くと女は話しかけてあやしたが、奴隷監督には女の言葉がわからなかった。女が乳を与えると、赤ん坊は泣きやんだ。それで、女はまたミチヤナギを切る仕事に戻った。だが、女は体が弱っており、暑さにもまいっていたので、足がもつれてつまずき、倒れてしまった。
すると、監督が飛んできて、ムチで女を打った。女はやっと立ちあがったものの、まだよろめいていた。
それから、女は近くの老人に話しかけた。この老人は、奴隷たちの中では一番の年寄りだったが、背も高く頑丈で、たくわえたあご髭は二つにわかれていた。老人は女になにか答えたが、監督には二人の言葉がわからなかった。彼には、奇妙な音にしか聞こえなかった。
女は仕事に戻ったが、まもなく倒れてしまった。すると、またもや監督がムチをふるい、女を立ちあがらせた。女は再び老人に話しかけた。老人は、こういった。
「もうすぐだよ。もうすぐだからな」
そういわれると、女はふらふらしながら仕事を続けた。
しばらくして、女はまたよろめき、倒れてしまった。そこへ監督がムチを持ってとんできて、立ちあがらせようとした。すると、女は老人にたずねた。
「おじいさん、まだですか」
老人は、答えた。
「よろしい、娘よ。その時がきた。さあ、いくがいい。無事でな」
そういって、老人は女のほうに両手を広げた。
すると、どうだろうか。女はパッと空中に舞いあがり、畑や森をとび越えて、まるで小鳥のように飛んでいってしまったのだ。
監督や見張りが畑の外れまで追いかけたが、女はみんなの頭の上高く飛んで、柵を越え、森を越え、いってしまった。赤ん坊を抱き、乳を飲ませながら飛んでいった。
監督は残った者たちをせきたてて、いなくなった女の分まで働かせようとした。相変わらずカンカン照りだった。あまり暑かったので、今度は男が一人倒れてしまった。監督が男の足にムチをふりおろした。男が立ちあがると、あの老人が意味のわからない言葉で、男に呼びかけた。
私のおじいさんがこの言葉を教えてくれたのだが、ずっと昔のことなので、すっかり忘れてしまった。
ところが、老人が話し終わると、男は監督のほうを向いてあざ笑い、パッと空中に舞いあがり、まるでカモメのように畑や森を越えて、飛んでいってしまった。
しばらくして、また一人の男が倒れた。監督は男をムチで打った。その男も老人のほうを向いた。すると、老人は男に叫び、まえの二人にしたのと同じように、両手を広げた。男はパッと舞いあがり、小鳥のように畑や森を越えて飛んでいき、空のかなたに消えてしまった。
監督が見張りの男に大声で知らせると同時に、主人も怒鳴った。
「あのじじいをぶんなぐれ! あいつのしわざにちがいないぞ!」
監督と見張りは、ムチを持って老人の方にすっとんでいった。主人も柵からクイを抜いて駆けつけ、老人をたたき殺そうとした。
ところが、老人はそいつらをあざ笑い、畑にいる黒人たち全員に響きわたる声でなにか叫んだ。
老人が叫ぶと、みんなは今まで忘れかけていたことを思い出し、自分たちにそなわっていた力を呼びさましたのだ。黒人たちは、老いも若きもみな立ちあがった。老人が両手を広げると、みんな一斉に大声をあげて空に舞いあがり、あっという間に畑や森を越えて、一群のカラスのように飛んでいってしまった。最後に、あの老人も飛びたった。
男たちは手をたたきながら飛び、女たちは歌をうたいながら飛んでいった。赤ん坊がいる女は、乳を飲ませながら飛び、子供たちは笑ったり母親の乳を飲んだりして、飛んでいる間も怖がることはなかった。
主人と監督と見張りは、黒人たちが飛んでいくのを見送るばかりだった。森を越え、川を越え、何マイルも何マイルも飛び続け、とうとう彼らはこの世の果てを越えて、一握りの葉っぱのように空に消えてしまった。彼らの姿はもう二度と見られなかった。
その人たちがどこへいってしまったのか、私は知らないし、きいたこともない。あの老人が何といったのか、それも忘れてしまった。だが、最後に飛びたったとき、主人に、
「クリバ! クリバ!」
と叫んだという。だが、それがどういう意味か、私にはわからない。
でも、あの木こりの老人を探すことができたら、わかるかもしれない。なぜなら、その老人は、あの時その場に居合わせて、アフリカの人たちが飛んでいくのを実際に見たのだから。その老人はもうかなりの年寄りで、九十歳は越えているはずだが、いろいろとふしぎなことを覚えているよ。
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