天上に結婚式があったんだって。翼のある動物が招かれた。だけど、狐は行きたかった。兄弟分のコンドルがいたんで、そこへ行って頼んだ。
「兄弟、おれは天上の結婚式に行こうと思っているんだが、翼がない。兄弟よ、連れてってくれ。大きな翼があるじゃないか、おれをおぶって、連れてってくれよ」
コンドルは結婚式に出かけようと、黒い礼服を着て、ひげを剃っていたって。いい男っ振りだ。だが、狐に言った。
「だめだ。兄弟。おまえはわしに恥をかかせるにきまってる。大食いで、ずうずうしいからさ」
狐は行儀よくすると約束した。そこで、おれのビクーニャのポンチョを見ろよと言って、狐もいい男っ振りになったさ。で、コンドルは言った。
「兄弟、連れてってやるよ。だけど、お客が骨を捨てても、捨てられた骨なんか食べようとしてあわてて席を立っちゃいけないぞ」
狐は行儀よくすると約束した。コンドルは狐をおぶって連れて行った。狐は兄弟の二つの翼にしっかりつかまった。こうして、高く飛んで天上の結婚式に着いた。そこには、地上にはない食べ物や果物で食卓はいっぱいだった。狐は、残らず、ムシャムシャとたいらげてしまった。ところが、骨が捨てられると、狐は骨にむさぼりついた。コンドルは腹をたてた、狐が恥ずかしいことをしたからね。その上、狐はチチャ酒を飲んで、酔っぱらって寝てしまった。それで、コンドルはおこって帰ってしまい、天上に狐だけを残した。ほかの鳥たちも先に帰っちまったさ。
あくる日、狐は正気に戻るとどうしたらいいのかわからなかった。だけど、チャグアルを捜すと、長い長い縄をつくり、ずらかったんだ。腹には食べ物をいっぱい詰め込んで、重たそうに帰った。途中で、インコたちがいたんで、狐は叫んだ。
「舌たらずのインコ、うそつきインコ」
インコはばかにするなと言ったが、狐は大声で言った。
「がに股のインコ、舌たらずのインコ」
すると、インコたちが縄を噛み切ったので、狐はまっさかさまに落ちていった。そうして、狐は叫んだのさ。
「マットを敷いてくれ。天の神が降りるからマットを敷け」とね。
だけど、狐は石の上に落ちて、はじけてしまった。天上から狐が持ってきた種からは、そら豆、とうもろこし、じゃがいも、キノアやら果物やらありとあらゆる食べ物ができたんだって。