この話をしてくれた織田ステさんは、九十すぎとは思えないくらい元気で働き者で物知りのおばあちゃんです。ちょこんと座って小柄な体をゆらし、リズムをとりながら謡ってくれました。これもカムイユカラ(神謡)とよばれるものです。リフレインの部分を採譜してもらいましたので、謡ってみてください。
この話をしたあとの、おばあちゃんの言葉からもわかるように、小さい子どもでも、それなりに家の仕事をして孝行するもので、怠ければ、ばちがあたると教え諭す話になっています。
ところで、ものぐさなために神さまにこらしめられる子どもの話は、北海道全域に、また旧樺太にも伝承されています。なかでも水くみをいやがったために、手桶をもったまま月の中にとじこめられた話は世界に広く分布しています。そう思って満月を見ると、手桶をもった子どもの姿が見えてきます。