これもリス族の話で、木春富(ムーチユンフ)が採録整理したものを段伶(ドウアンリン)が中国語に翻訳したものです。獲物のキツネにひどいめにあわされそうになった狩人の話で、狩りをなりわいとするリス族らしい話です。キツネが化けた若者が身に着けている真珠のネックレスや[シャコ]貝のベルトは、遠くビルマ沿海から運ばれた貴重品で、リス族の盛装です。
この話では、家の入口の敷居がふしぎな予知能力を持つものとして、主人公の命を救っていますが、貴州省のスイ族には門が同じような活躍をする話があります。
なお、この話にリスの社会にいたことのない皇帝が出てくるのは、漢族をはじめ周辺民族からの影響でしょう。