語り手のシン・チャラクは、パキスタンとの国境に程近い西北インドのアクヌールという小さな町の高校の校庭で、当時はまだ珍しかったテープ・レコーダーの前に長い列を作った高校生の一人です。インド全土に広く流布しているお話(AT1534A)で、大別して二つの型があり、北インド型では、この話のように、師匠と弟子(たち)とが登場し、なんでもかんでも同一価格で売られている国で、いかがわしい甘言に乗せられて自ら処刑される為政者の暗愚に力点が置かれていますが、南インド型では、通常、師匠と弟子とは登場せず、壊れた建築物をめぐる数々の責任転嫁と、無実であるにもかかわらず縛り首の縄に首が合うばかりに処刑される、大食いで怠け者の太った男——コーマティという商人階級の男のことが多いのですが——への嘲笑とに重点が置かれ、どちらの型でも、しばしば、いろいろな諺と結びついて語られています。なお、文中に「一キロ二パイサ」とありますが、一パイサは、現在、インドの最小貨幣単位です。
●暗愚国の話
語り手のシン・チャラクは、パキスタンとの国境に程近い西北インドのアクヌールという小さな町の高校の校庭で、当時はまだ珍しかったテープ・レコーダーの前に長い列を作った高校生の一人です。インド全土に広く流布しているお話(AT1534A)で、大別して二つの型があり、北インド型では、この話のように、師匠と弟子(たち)とが登場し、なんでもかんでも同一価格で売られている国で、いかがわしい甘言に乗せられて自ら処刑される為政者の暗愚に力点が置かれていますが、南インド型では、通常、師匠と弟子とは登場せず、壊れた建築物をめぐる数々の責任転嫁と、無実であるにもかかわらず縛り首の縄に首が合うばかりに処刑される、大食いで怠け者の太った男——コーマティという商人階級の男のことが多いのですが——への嘲笑とに重点が置かれ、どちらの型でも、しばしば、いろいろな諺と結びついて語られています。なお、文中に「一キロ二パイサ」とありますが、一パイサは、現在、インドの最小貨幣単位です。
語り手のシン・チャラクは、パキスタンとの国境に程近い西北インドのアクヌールという小さな町の高校の校庭で、当時はまだ珍しかったテープ・レコーダーの前に長い列を作った高校生の一人です。インド全土に広く流布しているお話(AT1534A)で、大別して二つの型があり、北インド型では、この話のように、師匠と弟子(たち)とが登場し、なんでもかんでも同一価格で売られている国で、いかがわしい甘言に乗せられて自ら処刑される為政者の暗愚に力点が置かれていますが、南インド型では、通常、師匠と弟子とは登場せず、壊れた建築物をめぐる数々の責任転嫁と、無実であるにもかかわらず縛り首の縄に首が合うばかりに処刑される、大食いで怠け者の太った男——コーマティという商人階級の男のことが多いのですが——への嘲笑とに重点が置かれ、どちらの型でも、しばしば、いろいろな諺と結びついて語られています。なお、文中に「一キロ二パイサ」とありますが、一パイサは、現在、インドの最小貨幣単位です。