うばわれた二つの魔法の品をこん棒でとり戻すお話で、多くの国で語り継がれています。魔法の品は、テーブルとろばとこん棒の話が一般的ですが、それぞれの国にゆかりの深いものとして、雄鶏や粉ひき臼(うす)や羊などが登場することもあり、農業国アルバニアの話では、大きなかぼちゃがごちそうをだします。
トルコは、歴史的にも地理的にも東西文化の接点で、アラビアの「千一夜物語」や、ペルシャの「トゥーティーナーメ」などの影響のうえにヨーロッパ民話が重なっていて、東西の要素がまじりあっています。
この話は、トルコとブルガリアの国境近くに住む人びとのあいだで語られている話を、一九六〇年頃、アノゲル・カラリーティフが採集したものです。
主人公が「おーふ!」とため息をつくと、井戸や泉から老人があらわれる話は、東欧やロシアの「悪魔とその弟子」にもみられます。