日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

聖岩 Holy Rock16

时间: 2020-02-21    进入日语论坛
核心提示:遥かなるものの呼ぶ声 京大霊長類研究所の鈴木晃氏が、タンザニア西部で夕日を眺めるチンパンジーを見たと報告している。若い雄
(单词翻译:双击或拖选)
遥かなるものの呼ぶ声

 京大霊長類研究所の鈴木晃氏が、タンザニア西部で夕日を眺めるチンパンジーを見たと報告している。若い雄のチンパンジーが、川辺の林のひときわ高い樹の|頂《いただき》近くまで登って、山の彼方に沈んでゆく夕日を、ひとりだけでじっといつまでも見つめていたという。
その文章を読んだのは最近のことだが、さらにその何年も前、五十代の終りに近いある日、東京世田谷の自宅の居間で、私は不意に心の中にタ日を見た。冬の終りの弱い日ざしが室内まで射しこんでいたと思うが、わが家の居間から落日は直接には見えない。心眼にいきなり赤く黄色くほとんど金色にくるめく大きなタ日が見えたのである。しかもそれは一望の砂漠の地平線に沈んでゆく夕日だった。
以前から私は砂漠を撮った写真やテレビの記録映像を好んで見てきたが、砂漠に行ったことはなかった。なぜその時、実際には見たことのない砂漠の夕日が、それほど異様にありありと見えたのか、自分でも理解し難かった。ただそんな強烈なイメージを見たという事実、そのことは明瞭に記憶に残った。というのは、その翌日、ある旅行椎誌の編集部から電話がかかってきたからである。
「シルクロードに行きませんか」と編集者は言った。
「有名な敦煌やトルファンの観光ルートなら興味はないな」
と答えてから、咄嗟にこう言っていた。
「もっと奥、タクラマカン砂漠なら行きたい」
相手は困ったらしく、「少し待って下さい」といったん電話を切った。砂漠は旅行会社向きの場所ではない。きっと断ってくるだろうと思ったところ、意外に早く返事がきた。
「結構です、タクラマカン砂漠で」
その瞬間も、とても異様な気がしたものだ。前日私の心に思いがけないイメージを送りつけた何かが、ほとんど同時に、そのイメージの現場に行く手段をも、この物理的現実に用意したみたいだった。
特定の自覚症状はなかったが、少し前から何となく体調がよくなく精神状態も不安定だったので、旅程は一週間だけにした。一週間では往復の旅程に時間をとられて、連絡よく行きつけても現地滞在は、三日目午後、四日目一日と五日目午前中しかとれない。だが特別に開かれた意識状態で特別の場所を訪れる場合、いわば出会いの一瞬で何かを感じることができることを、これまでの経験から私は知っていた。
この旅行には最初から何か常ならぬ力が働いている、という感覚を強く覚えながら、四月初めの晴れた日、旅行雑誌の若い編集者K君と、成田空港を発った。
その夜は北京に一泊。翌日北京空港発、中国北西部の最も奥の新疆ウイグル自治区の行政中心地ウルムチに飛ぶ。北京=ウルムチ直行便はモンゴルとの国境近く、ゴビ砂漠の南端を横断するらしい。旅客機の窓から見えたのはひたすら乾いた黄褐色の地面だった。時に一部砂丘のある砂漠もあったが、町や人家をほとんど見ない。中国十二億の民はどこに行ってしまったのか、とさえ思う。
ウルムチに着いたのは夕暮近く、曇って寒かった。市外の空港に近いホテルに入る。そのホテルが、ロシア人が設計したという大柄でいかにも頑丈そうだが、装飾的な要素の全くない武骨な要塞のような建物。他に泊り客はほとんどなく、いかにも辺境の要塞のように冷え冷えと静まり返っている。人影のない薄暗く広い廊下を歩くと、高い天井と厚そうな石造の壁に、靴音だけが陰々と反響した。
そのせいか、大食堂の隅でほとんどK君とふたりだけが客のような食事をとったあと、寒む寒むとしただだっ広い部屋で、明日天山山脈を南に越えればいよいよタクラマカン砂漠なのだ、と考えても気持ちが一向に弾まない。自分から無理にこの地を希望しておきながら、理由もなく遠い辺地に追放されたような理不尽な気分。本当に自分はこんなところに来たかったのだろうか、と|訝《いぶか》しい気さえして、旅行案内書をベッドで読み返していると、タクラマカンとはウイグル語で「大いなる死の土地」という意味だと書いてあった。
部屋は三階で窓から、まだ葉の出ていないポプラの高い梢の並びとその下の民家の灯が二つ三つぼんやりと見えていたが、その灯も次々と消えるとユーラシア内陸部の硬質の闇の無限の奥行だ。
目的の地の手前まで来ながら自分でもよくわからぬ黒々と不安な思いのために、神経安定剤をのんでやっと寝ついたと思ったら、ひどくなまなましく心乱れたこわい夢をみ続けた。意識の深層が異常にうごめいている。まるでこれから、地表上の一地域ではなく未知の異界に入ってゆくかのように怯えている。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%