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孤独のとなり25

时间: 2020-02-23    进入日语论坛
核心提示:傲慢《ごうまん》ではないつもりですその日も雪は降っていた。明日出さねば締め切りに間に合わぬというのに、まだ五十枚は書かね
(单词翻译:双击或拖选)
傲慢《ごうまん》ではないつもりです

その日も雪は降っていた。
明日出さねば締め切りに間に合わぬというのに、まだ五十枚は書かねばならない。わたしは筆を急がせていた。
そこへ三浦の姪《めい》が入ってきた。この姪は、十年以上も前から、わが家の家事を担当してくれている。が、わたしがものを書いている間は、わたしの部屋に入ることを禁じてある。わたしは咎《とが》めるように姪を見た。
「仕事中すみません。本州から来た方が……」
本州からわざわざ訪ねてくれるのはありがたいが、突然では会いかねる。たとえ十分でも、仕事を中断されては、もとの調子に戻《もど》るのに二時間も三時間もかかる。下手をすると全く戻れぬことさえある。書くという仕事はそういうものなのだ。
それに、本当に会いたい人なら、決して突然に訪ねてくることはないはずである。突然では、こちらが旅行や所用で留守ということもあるからである。わたし自身、どうしても会いたい人を訪ねる時は、事前に先方と連絡をとる。
「でも、どうしても会いたいって。何か思いつめている様子で……」
姪は困ったようにいう。今までに、家出娘や、自殺志望? の青年たちが幾人も訪ねて来ている。こういう人たちは、予《あらかじ》め家出しますなどという便りを、よこすわけがない。突然玄関に現われて泣き出したり、しょんぼりと影のように立っているのが定石だ。放っておくと、自殺しかねない者もいる。が、会って話し合った結果は、今までのところみんな幸せになって、時々便りをくれたりしている。
思いつめている様子と聞いて、今夜はまた徹夜をしなければ間に合わぬと思いながらも、わたしは急いで階下に降りて行った。
 客間に、長髪の青年が、青白い顔をしてすわっていた。
「すみません、お忙しいところ」
それでも、彼は一応そう挨拶《あいさつ》をした。そして訪ねてきた理由を話しはじめた。
人間なんて信じられない。人間だれも、愛し合って生きてはいない。政治家も教育家も宗教家も、みな堕落している。自分は、教師も親も、だれ一人尊敬する気になれない。みんな自分勝手だ。
何だか、この世がつまらない。一体何のために自分は生きているのか、わからない。が、このままでは自分はだめになる。自分は変わりたいと思って北海道に来た。北海道の自然の美しさが、自分を変えてくれるかと思った。しかし、美しい自然も、自分を変えてはくれない。
とにかく、何とか変わりたい。だから、どんな痛い言葉でもよい。自分に忠告してほしい。ぼくの考え、ぼくという人間を、あなたはどう思うか。彼はざっとこういった。
なるほど思いつめた目ではある。が、どこか呑気《のんき》だ。正直のところ、だれ一人尊敬できないという人間を、わたしは信用できない。
「我以外皆我師」
吉川英治氏はこの言葉が好きだったという。わたしはこういう謙遜《けんそん》な姿勢の人間が好きだ。それはともかく、この青年は忠告をしてほしい。自分を変えたいといっているのだ。
で、わたしは、あなたは教師も親も尊敬できないというが、それは周囲の人がみなぐうたらということか。恐らくそうとは限らないのではないか。だれしも人間だから、それぞれ欠点はある。けれども長所も必ずあるはずだ。吉川英治氏のように「我以外皆我師」という謙遜な態度に学んではどうか、とすすめた。
すると彼は、たちまちむっとして、
「吉川英治のように謙遜に? じゃ、ぼくの今までの生き方が、傲慢《ごうまん》だとでもいうんですか。そうですか。そんなふうに見えますか。ぼくは少なくとも傲慢ではないつもりです。傲慢じゃないからこそ、ここまで訪ねてきたつもりです。じゃ、もういいです」
と、挨拶もろくにせず帰って行った。
 あっという間もない。わたしは呆気《あつけ》にとられた。が、やがてなるほどと思った。
彼は、忠告などしてほしかったのではない。耳に痛いことを聞きにきたのではない。彼の望むところの忠告とは、
「本当に、この世は信頼に足る人間なんか、いないんですもの。あなたのような気持ちになるのは無理もないわ。若いのに、求道の志を持って、はるばる北海道まで来て偉いのね」
という賛辞ではなかったのか。
「どんな痛い言葉でもかまいません」
と彼はいったが、まさか、その言葉を額面どおりに受けとるバカがいようとは、彼は思わなかったにちがいない。
だれもが、自分は正しいと思っている。浮気をしている夫でさえ、それを責める妻のほうが悪いという者もある。ある凶悪な殺人犯が「自分は正しい。ああするより仕方がなかった」
といって死んでいった話を聞いたことがあるが、皆、自分のための弁護の言葉は、いかなる時にも沢山《たくさん》用意している。だれも自分を悪いなどと思って生きてはいない。わたしも同様である。その事実を、この青年は改めて明確にわたしに刻みつけてくれたのだ。
(人間が住むには、清らかすぎる)
わたしは窓の雪を見て思わず呟《つぶや》いた。
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