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孤独のとなり35

时间: 2020-02-24    进入日语论坛
核心提示:夜の訪問者 ぐずぐずと床の中にいると、「ごめんくださーい」と男の声である。今|迄《まで》日曜に訪ねてくる人は殆《ほとん》
(单词翻译:双击或拖选)
夜の訪問者

 ぐずぐずと床の中にいると、
「ごめんくださーい」
と男の声である。今|迄《まで》日曜に訪ねてくる人は殆《ほとん》どいない。玄関には錠がかかっている。わたしはぐったりと天井を見ていた。
と再び男の声、
「ごめんなさーい」
それがいやにはっきりと聞こえた。玄関のドアの向こうの声ではなく、内に入っている声だ。わたしはぎょっとした。
去年の秋以来、この附近は空き巣や忍びに百何十軒も入られている。たしかにドアの錠はかかっているはずなのに、まさしくあの声は家の内に侵入? した声だ。
わたしは飛び起きた。こうなると疲れも何もない。はっきりと目が醒《さ》めた。何しろ、何年か前に、二人で二階にいて、泥棒に入られた経験がある。その時は、わたしがねむっていて、三浦はラジオをイヤホーンで聞いていた。玄関には鍵《かぎ》をかけてあった。いやにガタガタ階下がうるさい。三浦に、
「泥棒じゃないの?」
というと、
「隆子が帰ってきたのだろう」
という。隆子は当時わが家にいた三浦の姪《めい》である。
「でも隆ちゃんは鍵を持って行かなかったわよ。変よ、泥棒よ」
三浦はのん気にふらりと階下に降りて行った。泥棒は今、テラスの戸をあけて、逃げる準備をととのえてから仕事にかかろうとしているところだった。
そんなことがあったから、
「また、やられたか!」
わたしはそう思い、直《すぐ》に玄関の上の部屋の窓を開け、
「どちらさんですか」
と大声を出した。が、階下はしんとして音がない。
「どちらさんですかあ!」
外に向かって叫べば泥棒なら逃げるだろうと思った。と、階段をドシドシ上がってくる音がする。思わず身構えた時、
「いないの、誰もいないの」
という声が踊り場でした。部屋から顔を出すと赤とピンクのカーネーションの束を持ったS君がいた。
「母の日だから、小母《おば》さんにカーネーション持ってきたんだ」
わが家を建ててくれたカーペンターのS君は、教会も同じで十年来、親しく出入りしているよき男なのである。なぜ、その声がわからなかったのだろう。ほっとしたわたしにS君は、
「玄関のドアの鍵をかけたまま、ドアが開いていたよ。ちゃんとしておかなきゃ、不用心だよ」
わたしは彼にたしなめられた。ドアをピッチリしめて鍵をしたつもりで、開けたまま鍵をしていたのだ。それはともかく、子のないわたしたちに、「母の日」を憶《おぼ》えてカーネーションを持ってきてくれた彼にわたしはほのぼのとした暖かさを感じて嬉《うれ》しかった。
電話のプレゼント[#「電話のプレゼント」はゴシック体] 
 その夜、九時近くに、電話がきた。夕食を終えて、わたしは三浦の枕もとで頭を冷やして上げていた。夜の電話は、大てい九州や関西、その他とにかく遠いところからの読者が多い。
しかも、それが大てい飲み屋からで、長い長い電話が多いのだ。出ようか、出まいか、わたしは迷った。読者の電話はありがたいが、何せ、飲んでいると、電話が長い。
長い人になると四十分以上、延々とかけてくる。
どうやら、三浦は流感の熱らしく苦しそうだ。ひたいの手拭《てぬぐ》いはすぐに熱くなる。わたしも、食事の支度やら、三浦の胸や背の湿布やら、頭を冷やすやらで、疲れている。
ここで、ながながと電話をかけられては、体が参ってしまう。だが、至急の電話かも知れぬ。親戚《しんせき》、知人の危篤か死の報《しら》せでないとも限らぬ。また読者からの人生相談かも知れぬ。
疲れた体を引きずるようにして、電話口に出ると、
「モシ、モシ、マサハルダヨ。アソビニユクカラネ、コンド」
という幼い声。神奈川に住むわたしの甥《おい》の子供からの電話だ。ほっとして、
「あ、正治くん。待っているよ。遊びにおいで」
つづいて、正治の父の勲が出た。
「叔母《おば》ちゃん、元気? 叔父さんは?」
消息を交わし合って最後に彼は言った。
「今日はさ、母の日じゃない? だから、電話したんだよ。せめて、電話だけと思ってね。親代わりだから……」
電話が終わった時、わたしは不覚にも涙がこぼれた。
三十七になるこの甥は、きょうだいのようにして育ったのだが、彼には父母はいない。
彼の父であるわたしの次兄は陸軍大尉で戦病死し、その出征中に母は結核で死んだ。その上彼は、姉、妹、弟の三人を亡くし、孤独な境涯《きようがい》であった。
母のいない甥は、子のいないわたしに、
「母の日だから……」
と電話をかけてきたのである。
S君夫妻からは、カーネーションをもらい、甥からは遠い神奈川から電話をもらい、子のないわたしにも、やさしさの流れてくるような母の日であった。わたしは深い感謝の中に、床に就きながら、
「それにしても、疲労というのはおそろしい。人間を駄目《だめ》にする」
と思った。暖かいこの二人の、花と電話のプレゼントを、わたしは疲れていて、危うく受け損なうところであった。親切な暖かい訪問や電話を受けたいならば、たとえ疲れていても、少々迷惑な訪問や、電話にも応じねばならぬ。人生、甘い汁のみ吸うことは、何人《なんぴと》にも許されてはいない。聖書にも〈われわれは神から幸いを受けるのだから、災いをも受けるべきではないか〉とあったなどと思ったことであった。
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