日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

孤独のとなり73

时间: 2020-02-24    进入日语论坛
核心提示:ありがたい年賀状十二月も二十日を過ぎて、郵便局から問い合わせがあった。年賀状をいつ配達したらよいかというのである。年賀状
(单词翻译:双击或拖选)
ありがたい年賀状

十二月も二十日を過ぎて、郵便局から問い合わせがあった。年賀状をいつ配達したらよいかというのである。
年賀状は元旦《がんたん》に配達されるべきものとは思っているが、世間の事情が変わっているし、元旦ぐらいは、誰《だれ》でも休みたいにちがいないと思って、年末配達を指定した。
すると、十二月三十日、七百枚程の年賀状が束になって配達された。毎年千枚余り来るから、あとの三百枚はさみだれ式に配達されるのだろう。
私はその厚い束を見ているうちに、一種の感動を覚えた。七百枚の年賀状は、いうまでもなく七百人の人々によって書かれたものである。この年賀状の束には、七百人の生活が関《かか》わっているのだ。一体この年賀状の主たちは、どんな一年を過ごして、こうした年賀状を書いたのか。人はそれぞれ、その人にしかない人生がある。そう思って、私はいい難い感動を覚えたのだ。
さて束の中には、新珠三千代さん、池内淳子さん、大空真弓さんからのものもあったし、家出をして来て、私の家に泊まって行った何人かの青年男女たちから来た年賀状もあった。三十年以上、結核で臥《ふ》している人のもあれば、母国を遠く離れて、日本に骨を埋めようとしている外人宣教師からの立派な日本文の年賀状もあった。
夫に自殺されて、路頭に迷っていた婦人、新婚早々の夫婦、何十年えん罪を叫びつつ獄にある人、事業に失敗して一家離散の憂き目にあった人、一枚一枚、年賀状は実に多種多様の方からのものである。
そして、昨年は幸せそうに年賀状をよこした何人かが、本人が亡くなり、家族が亡くなられて、今年はその名を見ることのできない方もあった。
七百枚の年賀状には、活版刷りもあれば、手製の版画もある。ペン字もあれば、達筆な毛筆もある。家族と共に写した写真が刷りこまれているのもあれば、びっしりと細字で一面に書きこまれたのもある。
そうした中の一枚に、旭川将棋会館理塀久男と、すばらしい書体で書かれた名前があった。葉書の右肩には金泥《きんでい》で鮮やかな草書体で書かれた「寿」という字、そして、銀泥で描かれた高い峰と低い山があり、低い山には松の木立が書き添えられている。秀峰の左の元旦という書も、空に舞うカラスも、見事というほかはない。
この理塀さんという方を、私たち夫婦は深く敬愛している。というのは、実は理塀さんは、生まれて一歳にならぬうちに小児|麻痺《まひ》にかかられ、足が不自由なのである。立つことができないのである。右肩にも麻痺が来ているとか聞いたが、にもかかわらず実に性格の明朗な方だ。いつもニコニコと、明るい笑顔で人に接する理塀さんにお会いすると、私たちはそのたびに、生きる姿勢を正されるような思いがする。
緑橋通りという、いわば街のどまん中に将棋会館を開いていて、三段の腕前である。更に特筆すべきことは、右肩が不自由であるというのに、書道は師範の免状を持っていられるのである。細字は右手で書くが、大字は右肩が悪いので、左手で書くそうだ。その左手で書いた横額が、旭川将棋会館に飾られている。
将棋の好きな三浦が、二年余り前から、時折り理塀さんの所にお邪魔するようになったが、その額をはじめて見て来た時の驚きようといったらなかった。三浦は多趣味で、書道もいささかたしなむものだから、そのうまさがよくわかったのだろう。「何ともいえないいい字だよ。綾子、一度見に行ってごらん」と言った。
以来三浦は、しばしば理塀さんの書をほめ、人柄をほめる。理塀さんは、書と共に絵もなさるのだろう。水墨画も部屋にかかげていられる。
私は、理塀さんが心をこめて書かれた年賀状を眺《なが》めながら、一つの芸術を見るような厳粛な思いがした。一字を学ぶのに、その一字を何百回となく書いたものだとおっしゃっていたのも思い出される。その根気強い練習があって、理塀さんは師範の免許を取られたわけだが、それを思いこれを思ってこの一枚の年賀状を眺めると、言葉にはいい尽くし難い思いが、私の胸に湧《わ》くのである。
どの年賀状もありがたい。だが「ありがたい」という言葉を文字どおり感じさせるのは、この年賀状であった。「あることが難い」とは、これなのだと私は自分自身にいいきかせて、三浦と共に、理塀さんの年賀状をくり返し眺めたのである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%