返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

孤独のとなり76

时间: 2020-02-24    进入日语论坛
核心提示:主婦の立つ所わたしは前回、主婦の仕事は、男子に比して、無駄《むだ》に終わることも少なく、また一人思索の時や、読書の時を持
(单词翻译:双击或拖选)
主婦の立つ所

わたしは前回、主婦の仕事は、男子に比して、無駄《むだ》に終わることも少なく、また一人思索の時や、読書の時を持ちやすいのではないかと書いた。その考えに変化はないが、改めて感じたことがあるので書いてみたい。
若い男女が十人余りわが家に集まった時のこと。ある女性が、
「外で働く夫と、家事オンリーの主婦と、どちらが毎日精神力を必要とするだろうか」
といい出した。
「それはやはり、男だろうな」
煙草《たばこ》の灰を灰皿《はいざら》に落としながら、男性の一人が自信ありげにいった。
「そうね。男の人は一歩外へ出たら、七人の敵がいるというもの。いつも神経がピンと張っているわけでしょう」
他の女性も同調し、男性たちも、職場のきびしさをいろいろあげた。時間を拘束されているだけで疲れる。上司の絶え間ない監視の目は、無意識のうちにも心に圧迫を与えている。一日の仕事は、その日のうちに果たさねばならない。責任を追及される場合、すべて他人からであって、主婦が怠慢を夫に指摘されるような、生ぬるいものではない。
一つ一つもっともなことばかりである。が、最初の女性がいった。
「そういう条件は、もちろん、わたしにだってわかるのよ。でもね、毎日の生活に対する精神力が、どちらに多くかかっているかということなのよ」
「条件のきびしい男性にかかっていることは、いうまでもないだろうよ」
「でもそうばかりもいえないんじゃないかと思うのよ」
「そりゃ、主婦のほうが忙しく、きびしいこともあるだろうよ、例外的にね」
「いや、そういう例外をいってるんじゃなくてね、確かに楽な毎日に見える中の孤独ね、いや、孤独ったら少しずれるわね。そう、マンネリというかな。要するに他人が見張っていることがないだけに、同じことのくり返しは、男の人よりはるかに、一つの壁になりやすいんじゃないかしら」
「なるほど、そういう見方もある」
「生活のマンネリ化を克服するって、容易なことではないわ。しかもね、他律的でなくて、自律的にするということね、これ、大変だと思わない」
ということで、主婦が自覚的に生きるとしたら、それは大変な精神力を要するであろうことが、一同改めて納得させられたわけである。傍《そば》で聞いていたわたしもその一人であった。
確かに、主婦が、目をひらいて、日々新しく生きることはむずかしいことなのだ。無自覚に、のんべんだらりと毎日をくり返すのなら、それは安易でもあろう。いや、その安易さに知らず知らずに引きずりこまれる場が、主婦の場といえるかも知れない。それだけに、男よりも危険な場にいるとさえいえる。
好きな時にひるねをし、好きな時にテレビを見、好きな時に週刊誌をパラパラとめくる。むろんそんな現実は少ないかも知れないが、そうであればあるほど、主婦は退化し、知性も心情も錆《さ》びついていくということになる。
そうした危険を常に克服して、夫と足並みをそろえて進むこと、これは確かに大変な精神力を要することと痛感した。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%