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海嶺133

时间: 2020-03-18    进入日语论坛
核心提示:四 マクラフリン博士の家で、三人は豪華な夕食を馳走《ちそう》になった。そして、砦《とりで》の外にあるイギリス人の家につれ
(单词翻译:双击或拖选)
 マクラフリン博士の家で、三人は豪華な夕食を馳走《ちそう》になった。そして、砦《とりで》の外にあるイギリス人の家につれて行かれた。三部屋だけの平屋だが、そこには鳶色《とびいろ》の目のイギリス人と、インデアンの妻が住んでいた。当時、ハドソン湾会社の、責任ある地位にある者は、現地人を妻とする慣《なら》わしになっていた。三人はそのことを後になって知った。それは日本の武将たちが、敵の武将の娘を娶《めと》るのに似ていた。責任者たちは、近くに住む部族の酋長《しゆうちよう》の娘を妻としていた。ラーマ号から降り立った音吉にしがみついた少年ラナルドの母がインデアンであったのも、同様の理由からであった。
三人はその夫婦の笑顔に迎えられ、自分たちの部屋に案内された。南と東に窓のある十二畳|程《ほど》の部屋であった。そこにはベッドが三つ置かれてあり、壁にはランプが二つ明るく点《とも》されていた。ラーマ号が三人を救助に向かった時、マクラフリン博士は、この家のこの部屋に、三つのベッドを入れるように、いち早く指示しておいたのである。
「立派な寝床やなあ。三段寝床とちがうわ」
久吉は驚きの声を上げた。夫婦は微笑し、部屋の隅《すみ》を指さして何か言った。そこには、壁に鏡が吊《つ》るされ、洗面器をのせた台があった。台の下には大きな取っ手のついた水差しがあり、水が入っていた。コップが三つあり、歯《は》刷子《ブラシ》がそれぞれのコップの中に立ててあった。
「ははん、ここで顔を洗うのか。だけど、三人が顔を洗うには、水が足らんな」
久吉が心配そうに言った。音吉も、三人が顔を洗うには、この水差し一つの水では足らないと思った。歯刷子は船の中で与えられたが、三人共日本では歯刷子を見たことがなかった。あのざらざらしたものを口の中に入れる気にはならなかった。だから、まだ一度も使ったことがない。その歯刷子がここにもある。
(やっぱり、この土地の人のするようにせんならんやろな)
同じことをしなければ、人々に馬鹿にされ、仲間|外《はず》れにされるような気がした。そうは思っても、この歯刷子だけはありがたくなかった。この家の夫婦たちが、
「グッドナイト」
と、やさしく言って出て行くと、三人は何となく顔を見合わせた。
先ず岩松が靴《くつ》を脱いで、窓際の寝台の上にあぐらをかいた。久吉も音吉も、岩松を真似《まね》て寝台の上に上がった。
「ほんとにこの履物《はきもの》はかなわんな。下駄《げた》か草履《ぞうり》が欲しいわ」
久吉の言葉に、岩松も音吉もうなずいた。が、音吉が言った。
「だけど、そんなこと言うたら、罰《ばち》が当たるかも知れせんで。岬とちがって、待遇《たいぐう》がちがうでな。まるで大事な客扱いや」
「そうやな。確かに客扱いや」
言いながら岩松が服を脱ぎ、ズボンを脱ぎ、枕《まくら》の傍《そば》にあった薄いパジャマに着替えた。
「へえー、新品やで、これ」
久吉も早速パジャマに着替えた。そして言った。
「な、音。褌《ふんどし》がないのは、どうも落ちつかんな。こんな股引《ももひ》きを短くぶった切ったようなものは、しまらんわ」
と、わざと腰をふらつかせて見せた。ひょうきんなその恰好《かつこう》に、思わず岩松と音吉が笑った。フラッタリー岬で下帯《したおび》まで取り上げられてしまったのだ。
「何がおかしい。そう思わんのか。日本男児は褌がなけりゃ……な、舵取《かじと》りさん」
「ま、そうやな。褌をしめてかかれという言葉もあるでな」
岩松は寝台の上に大の字になった。三人共疲れていた。馴《な》れぬ船旅を幾日もつづけてこの村に着いたのだ。そして様々なことがあった。異人の服装になったこと、マクラフリン博士の質問に、絵や手真似で答えたこと、見るもの食べるもの悉《ことごと》く三人を疲れさせた。その癖、神経が冴《さ》えて眠くはなかった。
「舵取《かじと》りさん、何よりありがたいのは、ここには蝮《まむし》がいないということやな」
音吉が大きな枕《まくら》に頭をつけて言った。だが岩松は、
「アー・ダンクはいないが、しかし人間の住む所だでな。どんな蝮がいるか知れせん」
と、気を許さぬふうであった。
「なるほど、そう言えばそうやな。何の縁もゆかりもない俺たちに、少し親切過ぎるわな」
久吉もうなずいた。岩松が言った。
「そこや。何でこんなに親切にするのか、いささか薄気味が悪い。ここがもし日本やったら、一番先に入れられる所が牢屋《ろうや》やで。その上お白洲《しらす》で取り調べや。そのあと故里《くに》に帰れるとしても、お調べはきびしいで。それがどうや、あんな立派な部屋で、立派な腰かけに坐《すわ》らせて、にこにこしながら、何やら聞いてくれた。そしてそのあと、あの大ご馳走《ちそう》や」
三人は、博士や船長や、その他の主だった者たちと共に、食事をして来たのだ。一番先に、皿にどろりとした汁が入れられ、次々に肉や野菜が出た。珍しい果物も出た。もっとも今日の夕食に出た肉は、三人には気持ちの悪い肉だった。血が滲《にじ》んでいたのだ。日本にいた時、四つ足の肉を食べては地獄に落ちると聞かされていた。だが、フラッタリー岬では、みんなの余した肉や魚を食わなければ、飢えるより仕方がなかった。岬では鮭《さけ》や鯨《くじら》や、その他小魚を与えられたが、時に鹿の肉を食わせられた。始めは肉をよけて食ったこともあったが、何か月かのうちに、いつしかその肉を三人共食うようになった。が、それでも、血の滲《にじ》むような肉は一度もなかった。
(こんな血がついた肉を食う人間は、恐ろしい人間ではないやろか)
音吉は改めて、やさしそうな博士や船長の顔を盗み見たのだった。ラーマ号の中での肉は、煮こみが多かった。今日のように、柔らかい血の滲むような肉はなかった。それでも恐る恐る口に入れた肉は、意外にうまかった。岩松は全部平らげ、久吉も大半食べた。しかし音吉は二切れしか食えなかった。
「だけどふしぎやなあ」
音吉が呟《つぶや》いた。
「何や。何が不思議や」
「だって、あの肉を食うというのに、みんな手を合わせて祈っていたやろ。何やら知らんけど、ごそごそ言うて、アーメンと言うたやろ。日本であんなことしたら大変やろ、久吉」
「そうや、わしもそう思うていた。日本ではな、四つ足の肉を食うた時は、何十日やったか神にも仏にも祈ってはならん。体が汚れているで、心の中に神仏を思うてもならんと聞かされていたわな」
「そうやろ。それなのに、あの人たち、平気な顔して祈ってた。いつも四つ足を食うとるのにな」
「ははあ、わかったわ、音。あれは四つ足を食べるから堪忍《かんにん》してえと、祈っとるんや。こっちの神はああやって食えば、毎度毎度許してくれる神様やないのかな。なあ舵取《かじと》りさん」
「そうやなあ。所変われば品変わると言うでな。所変われば神も変わるかも知れせん」
「けど、なあ舵取りさん。わしらが着いた時、すぐにここの頭《かしら》が祈ったわな。あれは何の祈りやったろ」
「大方、俺たちが無事に着いて、よかったとでも祈ったんやろ」
「なるほど、お礼参りか。けど変やな。神棚《かみだな》も仏壇もない所で手を合わせるんやからな。そこがどうもわからん」
言いながら音吉は、この家にも神棚がなかったことに気がつき、何か無気味な思いで、明るいランプの光を見た。
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