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海嶺155

时间: 2020-03-18    进入日语论坛
核心提示:五 朝食が終わった。今朝《けさ》は島民たちの姿はなく、艦長、二名の士官、ブラウン牧師夫妻、岩吉たち三人の、計八人の食事だ
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 朝食が終わった。今朝《けさ》は島民たちの姿はなく、艦長、二名の士官、ブラウン牧師夫妻、岩吉たち三人の、計八人の食事だった。山羊《やぎ》の乳も焼き立てのパンの味も、三人にはわからなかった。今、これから、自分たちが艦長に言い出そうとしていることが、大きく胸を占めていたからだ。
昨夜、岩吉は、一人そっと外に出た。満天の星空の下に、黒い闇《やみ》だけがあった。が、三歩と歩まぬうちに、たちまち岩吉を遮《さえぎ》った者がいた。
「誰か!」
錆《さび》のあるその声は、歩哨《ほしよう》の声であった。
「どこに行くのか」
歩哨は岩吉の傍《そば》に近よって、その肩をおさえた。
「廁《かわや》です」
一旦《いつたん》はぎくりとしたが、岩吉は静かに答えた。
結局、岩吉たち三人は、牧師館を逃れ出ることができなかった。朝起きて、三人は牧師館のすぐ傍《そば》に教会堂を見た。広い芝生を隔てて教会堂は建っていた。その尖塔《せんとう》に白く輝く十字架があった。
「音! 見てみい。あれはキリシタンのしるしや」
おののく久吉の声に、音吉も岩吉も窓から顔を出した。青い朝空の下に十字架が輝いていた。
「ほんとや、ほんとや。あれがほんとのキリシタンのチャーチや。パーソンというのは、キリシタンの坊さんのことや」
「えらい所に泊めてもろうたな」
「お上《かみ》に知れたら、大変なことになるで」
「これは内緒にせんとならん」
「そうや、内緒や内緒や」
万里《ばんり》の海を隔てても、三人にとってお上の存在は恐ろしかった。キリシタンの禁令は恐ろしかった。それだけに三人は、イーグル号に送られて日本に帰ることが、更《さら》に恐ろしい気がした。毎日曜日、イーグル号では礼拝を守る。そんな船に送られて、日本に帰ってはならないのだ。
「舵取《かじと》りさん、こうなったら、艦長《キヤプテン》に頼むより仕様があらせんで」
「そうやな。艦に帰ったら、声をかける暇はあらせんからな。ここに泊まったのは、熱田さま、仏さまのお蔭《かげ》やで。事を分けて話をすれば……しかし、俺は言葉が下手だでな。やっぱり音がいいな」
三人は話し合って、この朝の食卓にのぞんだのだった。
食事が終わった時、三人は、つと椅子《いす》を立った。
「艦長《キヤプテン》、おねがいです」
岩吉が言うや否や、三人は床に手を突いて土下座《どげざ》した。艦長をはじめ、士官も、牧師夫妻も、何事かと驚いた。
「椅子にお坐《すわ》りなさい。人間が人間を拝んではいけません」
ブラウン牧師が言った。が、三人は土下座したままだ。音吉が言った。
「艦長《キヤプテン》、わたしたちを、ここから真っすぐ日本に帰して下さい。おねがいです」
音吉は胸が迫って声が詰まった。お上《かみ》に直訴《じきそ》するような、大それたことを今なしつつあると思った。ブラウン牧師が、無理矢理三人を椅子に坐らせた。そして牧師は艦長に言った。
「艦長、三人の話をよく聞いて上げて下さい」
艦長はうなずいて、
「ここから真っすぐ日本に帰りたいということは、つまり、イーグル号から降りたいということかね」
「はい。イーグル号から降りて、ここから真っすぐ日本に帰りたいのです」
「と言うのは、イーグル号に何か、不満があるのかね」
「ありません。只《ただ》、一日も早く日本に帰りたいのです。岩吉には、年取った両親と、妻と、幼い子がいます。岩吉が早く帰らなければ、つらい貧乏をつづけなければなりません」
「なるほど」
「私にも久吉にも、年取った親がいます。私の父は病気です。久吉の妹も、私の妹も、まだ小さいのです」
「ああかわいそうに、この人たちが一日も早く帰りたいと思うのは、当然ですわ」
牧師夫人が、早くも目に涙をためてうなずいた。
「私たちは、国を出てもう二年経ちました。あと一年もかかって日本に帰るのは、長過ぎます」
音吉は必死だった。
「その上、日本はキリスト教を禁じています。毎週礼拝を守っている船に乗っていること、これだけで恐ろしいのです。私たちには命にかかわることです」
自分の言葉が、どれだけ相手に通ずるかはわからなかった。音吉は夢中になって、覚えているだけの言葉を並べて訴えた。腕を組んで、じっと聞いていた艦長は、しばらく考えていたが、やがておもむろに言った。
「わかった。君たちの気持ちはよくわかった。わたしも船に乗っている身だ。故国を離れた者の心はよくわかる。だが、わたしは、君たちをロンドンに乗せて行く約束で、イーグル号に乗せた。マクラフリン博士との固い約束だ。その約束を君たちも知って乗った筈《はず》だ。その約束を破るわけにはいかないのだ。その上、捕鯨船《ほげいせん》は安全とは言えない。捕鯨船の者たちは、日本の役人と交渉する力はない。決して悪いようにはしない。早く帰りたいのはわかる。しかし、問題は無事に帰ることだ。君たちが、礼拝に出たくないのなら、出なくてもよい。とにかく、焦ってはいけない。捕鯨船などに乗って、万一難破でもしたら、君たちは永遠に日本には帰れない」
生まれて初めて、人に土下座をされた艦長は、三人の心に打たれた。その言葉にも表情にも真実がみなぎっていた。
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