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海嶺169

时间: 2020-03-18    进入日语论坛
核心提示:六 ウエストミンスター寺院を出た三人は、昨年焼けたという国会議事堂の説明をマッカーデーから受けた。国会議事堂はウエストミ
(单词翻译:双击或拖选)
 ウエストミンスター寺院を出た三人は、昨年焼けたという国会議事堂の説明をマッカーデーから受けた。国会議事堂はウエストミンスター寺院の近くにあったのだ。が、国会議事堂という言葉が三人には理解できなかった。
馬車はそこから西に向かい、セントジェームス・パークを右に見、バッキンガム宮殿の前を通って、ハイド・パークの中に入った。
「ここがハイド・パークだ」
美しい広い池の畔《ほとり》に降り立ったマッカーデーが、胸に大きく空気を吸いこんで、三人をかえりみた。
「音、ハイド・パークって何や。さっきも何とかパークの傍《そば》を通ったな」
「そうやな。聞いてみよか。……ミスター・マッカーデー、お尋《たず》ねしてもいいですか。ハイド・パークって、何のことですか」
マッカーデーはちょっと音吉の顔を見て、
「日本にはパークはないのかね」
「さあ……」
「個人のはガーデンだね。パークはみんなのガーデンだ。ここで、休んだり、遊んだり、散歩をしたりする。日本にはそういう所はないのかね」
「そうやなあ……」
音吉が首をかしげた時久吉が手を叩《たた》いて、
「あるある! 八幡様の境内《けいだい》や、良参寺の境内がそやないか」
「熱田神宮の境内も、みんなで休んだり、遊んだりするわな」
音吉がそのことを告げると、
「パークはちょっとちがう。みんなのものなんだよ。ここもね、元はウエストミンスター寺院のものだった。鹿狩りなどをしていてね。今は貴族や紳士《ジエントルマン》たちが、自分の馬車の自慢をするために、ここに集まるよ」
「ジェントルマン?」
「ジェントルマンは言わば、貴族のちょっと下の階級さ」
三人には貴族もジェントルマンもよくわからなかった。
ゆるやかに起伏する緑の野が遠くまでひろがっていた。馬栗、ニレ、プラタナスなどの木立が、風に若葉をひるがえしている。聞き馴《な》れぬ小鳥の声が雀《すずめ》やカラスの声にまじって聞こえた。
「おおよそ、二キロに一キロ位の広さはあるかな。ここでは時々決闘があるよ」
「決闘!?」
「うん。誇りを傷つけられたり、恋人を取り合ったりして闘うわけだ」
岩吉はマッカーデーの傍《そば》に腰をおろしながら、決闘の様子を思い浮かべた。
「舵取《かじと》りさんも決闘したわな。そして勝ったわな」
久吉は、熱田の截断橋《せつだんばし》の上でならず者から自分を助けてくれた岩吉の、勇ましい姿を思い出した。が、岩吉は久吉の言葉にかすかに笑っただけだった。あれはイギリスでいう決闘ではなかった。
久吉には、あの時の岩吉と今の岩吉が別人のように思われる。あの時の岩吉はちょん髷《まげ》を結い、浴衣《ゆかた》を着流して、見とれるような粋《いき》な姿だった。それが今、髪も服装も、イギリス人と同じなのだ。あの時は近づき難い男に思われたものだが、今はちがう。久吉はその時の様子をマッカーデーに話して聞かせた。酒を飲んだ乱暴男に突きあたって怒りを買い、久吉は川の中に叩《たた》きこまれそうになった。その男に岩吉は、
「餓鬼《がき》を相手に阿呆《あほ》な野郎だ」
と笑った。男は怒って短刀《どす》を抜いた。岩吉は無手だった。折《おり》からお蔭参《かげまい》りの幟《のぼり》を持っていた男が通りかかり、岩吉にその幟を放ってよこした。幟を拾うや否や、岩吉は男の胸に幟をぴたりと突きつけた。岩吉がひと突きすると、男は橋の上に仰向けに倒れた。
「強かったなあ、舵取りさん」
語り終わって久吉が言った。岩吉は傍《かたわ》らの道を行く馬車の上の男や女たちを見ながら、
「截断橋か……」
と、呟《つぶや》いた。岩吉には、ならず者を懲《こら》しめたことよりも、あの後自分を探しに来た絹と、土手の上で会ったことのほうが忘れられなかった。何か月ぶりかに会った絹の必死なまなざしが、今も瞼《まぶた》に残っている。まさか自分が今ロンドンの街中で絹を思っているなどとは、絹は夢にも思うまいと、胸が痛んだ。
マッカーデーが言った。
「やはりねえ。岩吉は思ったとおりの男だねえ。それはそうとして、君たちは実に英語がうまい。確かフラッタリー岬から救い出されたのが、去年の五月だった筈《はず》だ。それから一年と一か月とは、とても思えない。驚いたね」
音吉と久吉は交々《こもごも》答えて言った。
「毎日二時間、ミスター・グリーンに教えてもらいました。ドクター・マクラフリンの所で、学校もあったし……」
「特に、ミスター・グリーンが親切に教えてくれました。ミスター・グリーンはこんなふうに教えてくれたんです」
音吉はミスター・グリーンの教え方を思い出しながら説明した。確かにミスター・グリーンの英語の教え方は優《すぐ》れていた。一語も英語のわからぬ三人に、先ず身の廻《まわ》りの物の名を徹底的に教えこんだ。目の前にない物は図に示して教えた。動詞を教える時には、必ず動作をまじえた。掘るという言葉には掘る動作を、書くという言葉には書く動作を必ずして見せた。三人の体に彫りつけるように教えてくれたのだ。それを三人は、お互いに復習し合って、一心に覚えた。しかも周囲は英語を話す者ばかりであった。特に若い久吉と音吉は覚えるのが早かった。もの真似《まね》のうまい久吉の発音も三人の進歩に役立った。
「なるほど。特別に叩《たた》きこまれたというわけか。しかしそれにしても、うまいものだ。日本人は優《すぐ》れている」
またしてもマッカーデーは率直にほめてくれた。
池には鴨《かも》や白鳥など、たくさんの水鳥が泳いでいる。その水鳥の引く水脈《みお》が、他の水脈にまじわっては消える。
「ぼくの親戚《しんせき》がね、このハイド・パークの傍《そば》に、近くロンドン一のホテルをつくると言っているんだ。名前も、ハイド・パーク・ホテルと決めてね」
「近々というと、来年あたりですか」
「来年? まさか。五十年後か百年後位のことだろうよ」
「五十年後か百年後!? それが近々ですか」
三人は思わず顔を見合わせた。何世紀に亘《わた》る家系を誇る貴族出のマッカーデーにとって、五十年や百年は、さして長い年月ではなかったのだ。
やがて馬車はハイド・パークを出、公園を左に、高級住宅街を右に見ながら走り、オックスフォード・ストリートを右に折れた。住宅街の庭園にバラが咲き、植木が傘《かさ》や、鞠《まり》のような形に刈りこまれているのが、三人には珍しかった。真四角に刈りこんだ生け垣を見た久吉が、
「あの上に寝てみたいわ」
と、冗談を言ってみんなを笑わせた。
「エゲレスって、日本とは何から何までちがうのやなあ。食べ物がちがう。着る物がちがう。住む家がちがう。肌《はだ》の色がちがう。目の色がちがう。髪の色がちがう。そして言葉がちがう。ちがうことばかりや」
音吉が指を折りながら、つくづくと言った。
「ほんとや。信じてる神さまがちがうしなあ。日本にはどこにでもあるお寺や神社が、ひとつもあらせんしなあ」
「けど、音、久。それでも心は通うで。ドクター・マクラフリンも、ミスター・グリーンも、みんな心が通ったやろ」
岩吉の言葉に二人はうなずいた。すべてがちがっているのに、心が通うことが不思議だった。
「ロンドンって、大きな、立派な街ですね」
音吉は英語で、マッカーデーに話しかけた。
「そうかね。しかしねえ、ロンドンも一六六六年の大火のお蔭《かげ》で、きれいになったんだよ。何しろ、その前の年ときたら、ペストが大流行してね。ペストは鼠《ねずみ》の持ってくる疫病《えきびよう》だ。十万人も死んだんだ。その頃《ころ》ロンドンには四十万の人がいたんだがね。しかし、神さまは確かにいられるよ。あのままだとロンドンはペストのために全滅したかも知れない。ところが翌年の大火で、四日燃えつづけた。それで鼠が死んでロンドンは助かった。それ以来、煉瓦《れんが》造りや石造りの建物以外は、建築が許されなくなって、お蔭できれいになったわけだよ」
馬車は大英博物館に近づいていた。
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