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海嶺185

时间: 2020-03-19    进入日语论坛
核心提示:二 朝食を終え、時計の針が九時半を指した時、約束どおりギュツラフは岩吉たち三人の前に姿を現した。その一階の大部屋は、日曜
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 朝食を終え、時計の針が九時半を指した時、約束どおりギュツラフは岩吉たち三人の前に姿を現した。その一階の大部屋は、日曜日|毎《ごと》に礼拝をする部屋であった。三人は椅子《いす》に腰をおろし、机の前に座ったギュツラフを見た。ギュツラフはいつもの親しみ深い微笑を見せて聖書をひらいた。
「今日から、わたしがマカオにいる限り、毎日この時間に聖書を学ぶことにします。よろしいですね」
三人は仕方なくうなずいた。
「聖書は神の御《み》言葉が書かれています。この本ほど大事な本は、どこにもありません」
久吉は頭をひねって、隣の音吉にささやいた。
「どうしてそんなことわかるんやろ。日本のお経だって、ありがたい本だわな」
音吉がうなずく前で、ギュツラフが尋《たず》ねた。
「久吉、何か疑問がありますか」
「いえ、別に」
久吉があわてて答えた。
「しかしこの聖書には……」
ギュツラフは言葉をつづけた。
「あなたがた三人が体験したような、船で遭《あ》った嵐のことも、書かれてあります」
「へえー、それは知らんかった」
久吉が思わず日本語で言った。
「知らなかったですか、久吉」
ギュツラフも日本語で言った。三人の興味ありげな表情にギュツラフは満足して、再び英語で語った。
「では使徒行伝の第二十七章を、先《ま》ず読んでみましょう。これは使徒パウロが、暴風雨に遭ったが、信仰をもって神に依《よ》り頼み、遂に二百七十六人が無事に助かった話です」
ギュツラフは説明し、ゆっくりと読みはじめた。
〈……幾日ものあいだ、船の進みがおそくて、わたしたちは、かろうじてクニドの沖合にきたが、風がわたしたちの行く手をはばむので、サルモネの沖、クレテの島かげを航行し……〉
ギュツラフの英語は、三人には聞きやすかった。三人はうなずきうなずき聞きいった。遠州灘《えんしゆうなだ》で嵐に遭った日のことが思い出された。
〈……すると間もなく、ユーラクロンと呼ばれる暴風が、島から吹きおろしてきた。そのために、舟が流されて風に逆らうことができないので、わたしたちは吹き流されるままに任せた。それから、クラウダという小島の蔭《かげ》に、はいりこんだので、わたしたちは、やっとのことで小舟を処置することができ、それを舟に引き上げてから、綱で船体に巻きつけた。また、スルテスの洲《す》に乗り上げるのを恐れ、帆をおろして流されるままにした。
わたしたちは、暴風にひどく悩まされつづけたので、次の日、人々は積み荷を捨てはじめ、三日目には船具までも、てずから投げすてた。幾日ものあいだ、太陽も星も見えず、暴風は激しく吹きすさぶので、わたしたちの助かる望みもなくなった〉
三人は真剣に耳を傾けた。わからぬ言葉もあるが、おおよそはわかる。話は、みんなが希望を失った中で、パウロが全員を激励する場面に移った。パウロは語る。
〈……昨夜、わたしが仕え、また拝んでいる神からの御使いが、わたしのそばに立って言った。「パウロよ、恐れるな。あなたは必ずカイザルの前に立たなければならない。たしかに神は、あなたと同船の者を、ことごとくあなたに賜《たまわ》っている。だから、皆さん、元気を出しなさい。万事はわたしに告げられたとおりに成って行くと、わたしは、神かけて信じている。われわれは、どこかの島に打ちあげられるに相違ない」〉
ギュツラフは読みつづけた。パウロの言ったとおり、一同は十五日目にマルタ島に上陸して、遂に救われた。
読み終わってからギュツラフは、地図を書き、出航した港、途中寄った島、嵐に遭《あ》った海、そして辿《たど》りついた島を示しながら、わかり易《やす》く説明した。そして日本語で言った。
「暴風の話、興味ありますか。どう思いましたか」
「バイブルに、こんな嵐の話が書いてあるとは、ほんとに思わんかったわ」
久吉が日本語で呟《つぶや》き、音吉がそれを英語で告げた。
「おもしろい話でした」
岩吉が言った。久吉は、
「けど、たった十五日なら、楽やな」
と、また日本語で言った。が、すぐに英語で言いなおした。ギュツラフは大きくうなずき、
「あなたがたは、十四か月も漂流したのですからねえ。ほんとうに大変でしたねえ」
「それはまあそうですが……ところでミスター・ギュツラフ、これは何千年も昔の話ですね。そんな昔から二百何十人も乗れる帆船があったとは、驚きました」
「千八百年|程《ほど》前のことですが、確かに大きな船があったものですね。けれども、それより何千年も前に、ノアの箱舟という、有名な大きな船があったのですよ」
「ああ、それは聞いたことがあります。な、音、ドクター・マクラフリンに聞いたわな。フォート・バンクーバーでな」
久吉が英語と日本語をちゃんぽんに使って言った。
「ああ、聞いた、聞いた。けど、あれは帆船ではなかったわな。大洪水《だいこうずい》が来るということで、造った船やったな。水の上に浮かんでさえいればよかった船な」
「ミスター・ギュツラフ、船の話はおもしろいです。もっとほかに、船の話はありませんか」
久吉が身を乗り出した。ギュツラフが、嵐の場面を読んだのは成功であった。三人は俄《にわか》に聖書に興味を抱いたのである。
「あります、あります」
ギュツラフは大きくうなずきながら、部厚い聖書の頁《ページ》を繰った。
「昔々、ジーザス・クライストの生まれる何百年も前の話です。ニネベという悪い町がありました。この町は『血を流す町』とか『掠奪《りやくだつ》の町』とか言われるほどの悪い町でした。それで神は、ヨナという人に、ニネベへ行き、この町は滅びると、大声で告げなさいと、命じました。ところがヨナは、神の言葉を聞きませんでした。なぜか、わかりますか」
久吉はうなずいて、
「わかるわな、音。わしらだって、お江戸に行って、この町は悪い町だで、滅びるでなどと、言えせんわな。お上《かみ》につかまって牢屋《ろうや》にぶちこまれるでな」
「そうやろな。町の人も怒るやろな。つかまる前にたちまち袋叩《ふくろだた》きに遭《あ》うわな」
「そうや、桑原《くわばら》桑原や」
ギュツラフはその日本語がわかったのか、わからないのか、つづけて言った。
「ヨナは、ニネベには行かずに、タルシシという遠い遠い所へ逃げ出そうとしたのです。そして、港に行き、タルシシ行きの船に乗りました。ところがです……」
ギュツラフはヨナ書の数節を読み始めた。
〈時に、主《しゆ》(神)は大風を起こされたので、船が破れるほどの激しい暴風が海の上にあった。それで水夫たちは恐れて、めいめい自分の神を呼び求め、また船を軽くするため、その中の積み荷を海に投げ捨てた。しかしヨナは船の奥に下り、伏して熟睡していた。そこで船長が来て言った。
「あなたはどうして眠っているのか。起きて、あなたの神に呼ばわりなさい。神があるいは、われわれを顧みて助けてくださるだろう」〉
ギュツラフは三人の顔を見た。久吉が、
「嵐の最中に、一人ぐっすり眠っていたとは、胆《きも》っ玉《たま》の太い男やなあ」
と、感歎《かんたん》して言った。ギュツラフがつづけた。
「しかし、波も風もますます荒れ狂ったのです。それで人々は言いました。急にこんな大風に見舞われたのは、誰かのせいだ。誰のせいか、くじを引いて調べよう。さあ、くじは誰に当たったと思いますか? ヨナに当たったのです。みんなはヨナに詰めより、お前の仕事は何か、どこから来たか、どこの国の者か、と鋭く問いました。問われるということはつらいことです。ヨナはみんなに言いました。わたしを海に投げ入れてください。そうしたら、海は静まるでしょう。嵐はわたしのせいなのです、と」
「それで、ヨナは投げこまれたんですか」
久吉が、話の先を尋ねた。
「いいえ、人々は船を漕《こ》ぎました。陸に戻《もど》そうとしました。けれども、海はますます荒れ狂うばかりです。とうとう人々は、神さまに許しを乞《こ》いながら、ヨナを荒れ狂う海に投げ入れました。するとどうでしょう。海はうそのように静まってしまったのです」
音吉は、ふと利七のことを思い浮かべた。辰蔵と、狂った利七が、大海の只中《ただなか》に身を投じた日のことが、鮮やかに思い出された。
「さて、海の中に投げこまれたヨナは、どうなったことでしょう。彼は大きな魚にのみこまれたのです。そしてその腹の中で、ヨナはようやく悔《く》い改めました。すると神は、そのヨナの祈りを聞き、ヨナを吐き出すように魚に命じました。助かったヨナは、改めてニネベの町に行き、この町は滅びると、神の言葉を伝えたのです」
やがて話が終わり、ギュツラフが去ると、音吉がつくづくと言った。
「舵取《かじと》りさん、何や恐ろしい話やったな」
「うん。まあな」
「ほんとやな、音。わしら、バイブルを日本語になおすの、手伝いたくないと思うているけどな、キリシタンの神さまから、逃げられせん言われたみたいな気がするな」
「うん。きっと逃げられせんわ。キリシタンの神さまって、この世界を造った神さまやいうで、どこまで逃げても、役目が終わらんうちは、追っかけて来るかも知れせん」
音吉と久吉は、顔を見合わせて吐息をついた。が、久吉は言った。
「けどな、ヨナは命が助かったわな。やっぱり神さまのいうこと聞いてたほうが、無難《ぶなん》かも知れせんな」
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