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海嶺186

时间: 2020-03-19    进入日语论坛
核心提示:三 夕焼け空を映して、今日も二階の窓から見る海が赤い。「ここの冬は極楽やな。毎日いい天気がつづくわ」久吉の言葉に、岩吉が
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 夕焼け空を映して、今日も二階の窓から見る海が赤い。
「ここの冬は極楽やな。毎日いい天気がつづくわ」
久吉の言葉に、岩吉が答える。
「菊《きく》日和《びより》やな」
マカオの至る所、今は菊の盛りである。
隣のギュツラフの家から、子供たちの話し声が賑《にぎ》やかに聞こえてきた。
「おう、晩飯やな」
岩吉は、子供たちの声に耳を傾けた。女の子の声が多い。その中に、元気な男の子の声も混じる。窓に倚《よ》っている岩吉の顔が和《なご》んだ。
三人がギュツラフの家に初めて来た時には、子供たちはいなかった。冬休みでそれぞれ自分の家に帰っていたのだ。その子供たちが帰って来て、もう十日余りになる。
ギュツラフ夫人は、去年の九月から、自宅にミッション・スクール(キリスト教主義の学校)をひらいていた。まだ始まったばかりの学校で、女子が十二人、男子が数人の寺子屋のような小さな学校だった。清国人《しんこくじん》はまだ白人を恐れる者が多く、この学校に子供を進んで通わせようとはしなかった。だがギュツラフ夫人は、イギリスの小学校に準じた教育を、熱心に子供たちに施《ほどこ》していた。その上、清国人の教師を傭《やと》って、漢文をも教えていた。その漢文を、岩吉たち三人も、共に習わされた。経費は、印度《インド》及び東方女子教育振興ロンドン淑女《しゆくじよ》協会という伝道団体から出ていた。
三人が来た時は、生徒たちは冬休みで、全員家に帰っていたので、岩吉たちはギュツラフの家を、只《ただ》大きな家だと思っていた。その生徒たちが帰って来る二、三日前から、ギュツラフ夫人は、姪《めい》のキャサリンやイザベラと共に生徒たちの布団を干したり、寝台を整えたり、大童《おおわらわ》だった。見かねて岩吉たちも、掃除《そうじ》を手伝ったり、物を運んだりした。
「確かスクールと言うたわな」
音吉はその時、久吉の耳にささやいた。
「言うた、言うた」
「何や、ホテルみたいやな。ベッドまであるんやで」
二人には、全寮制の学校というものが、のみこめなかったのだ。
いよいよ生徒たちが帰って来る日、夫人はカレーライスを作って、そわそわと待っていた。そして白い長袖《ながそで》の上着を着、髪を整え、高貴の客でも迎えるように、身を整えた。岩吉たちは、子供たちが皆、身ぎれいな金持ちの子であろうと想像した。が、夫人が外に立って待っていた子供たちは、想像の外であった。垢《あか》にまみれた服を着、顔に吹き出物だらけの子供もいた。だが夫人は、どの子をも一様に、両手の中に抱きしめ、頬《ほお》ずりをして喜び迎えた。その様子を、岩吉たち三人は、驚いて眺《なが》めたものだ。
「自分の子にだって、ああはできせんな」
眺めながら久吉が言い、
「ほんとや」
音吉はため息をついた。
「よその国の子供なのにな。何であんなに可愛いんやろ」
「わからんなあ。不思議な人や」
「わしらだって、考えてみれば、居候《いそうろう》や。どこから金を稼いでくるわけでなし……」
その時、三人はそう言って感心したものだった。
が、それから今日に至るまでの十日余り、三人が見たギュツラフ夫人と、そしてその姪《めい》のキャサリンとイザベラの毎日は、更《さら》に大変であった。子供たちの日課は、先ず朝の洗面から始まる。数少ない便所に並ぶ子供たちの中には、耐えきれなくなって粗相《そそう》する者もいる。寝小便をする子もいる。食事の時に皿を落とす者もいる。その一人一人に、夫人たち三人は笑顔を絶やさない。一日で洗濯物《せんたくもの》が山のようになる。その上、生徒たちに、英語、算術、地理、歴史など、時間割りに従って、懇切に教えていく。見ているほうが疲れるほどの働きぶりであった。
この子供たちの名前を、岩吉たちは間もなく覚えた。特に男の子たちは三人に親しみを見せた。清国人と日本人の顔はほとんど同じだ。その子供たちに、ギュツラフ夫人は何か日本の競技を教えてほしいと頼んだ。器用な岩吉が早速軍配を作り、ひょうきんな久吉が行司役《ぎようじやく》を買って角力《すもう》をとらせることにした。庭の片隅《かたすみ》に棒切れで土俵の輪を描き、久吉が大声で呼び出しをした。
「ひがーしー、木曾《きそ》の川。にーしー、富士の山ー」
呼んでから、久吉は頭を掻《か》き、ぽかんとしている男の子たちを見、
「音、これでは通じせんわな。イーストやウエストでは感じが出んしな」
音吉も岩吉も笑った。結局は、ギュツラフ夫人に通訳をしてもらって、呼ばれたら順々に東と西から出てくるようにさせた。
こうして久吉は、日本語で醜名《しこな》を男の子たちにつけ、今日までに三度角力をとらせた。この中に久吉に「ちびの山」と醜名をつけられた男の子がいた。その子は|容※[#「門<宏のつくり」、unicode958e]《ユンウイン》と言い、生徒たちの中で、一番年下であった。容※[#「門<宏のつくり」、unicode958e]は、マカオの西にあるパテラ島の貧しい家の子であった。入学した時泣いてばかりいたというこの容※[#「門<宏のつくり」、unicode958e]は、体は小さかったが、眉《まゆ》の秀《ひい》でた額のひろい子で、なかなかの利《き》かん気だった。誰と角力を取っても容※[#「門<宏のつくり」、unicode958e]は負けたが、負けても負けても、全身に闘志をみなぎらせて相手に組みついた。一度音吉が相手になって簡単に負けてやると、|容※[#「門<宏のつくり」、unicode958e]《ユンウイン》は怒って、再び音吉に挑《いど》んだ。
「利《き》かん奴《やつ》やなあ」
それを見て岩吉が、珍しく声を立てて笑った。もう一人、この容※[#「門<宏のつくり」、unicode958e]に負けぬ利かん気の子がいた。それはキャサリンやイザベラの弟ハリーだった。ハリーは十歳で体もどっしりとして、角力《すもう》も強く、頭もよかった。すべての面でハリーは群を抜いていた。
夕焼け雲を映していた海も、いつしか暗くなっていた。
「そろそろ、飯やな。腹が減ったわ」
久吉が腹をなでながら、椅子《いす》から立ち上がった。生徒たちの食事が終わると、大人たちの食事が始まるのである。
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