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海嶺215

时间: 2020-03-19    进入日语论坛
核心提示:一一「自殺!? それはいけない! それは罪です!」ギュツラフが叫んだ。ギュツラフとキングが、船員の知らせで岩吉たちの船室に
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一一

「自殺!? それはいけない! それは罪です!」
ギュツラフが叫んだ。ギュツラフとキングが、船員の知らせで岩吉たちの船室に駈《か》けつけたのだ。激しく泣く声が、ドアの外に洩《も》れていた。
「しかし、ミスター・ギュツラフ。日本の役人が大砲を撃った。恥ずかしいことをしました。悪いことをしました。わたしたちは役人たちに代わって、死んでお詫《わ》びをしたいのです」
岩吉はゆっくりと英語で言った。
「かわいそうに!」
キングが声を詰まらせた。力松や、音吉が目を泣き腫《は》らしている。
「岩吉、あなたたちの気持ちはよくわかります」
ギュツラフは岩吉と音吉の肩を抱いて言った。
「しかし、自殺は罪です。神は喜びません。役人たちの罪は、役人たちが負わねばなりません。あなたたち関係がない。あなたたちが大砲を撃ったのではありません。撃たれたのです」
「しかし、申し訳がなくて、顔向けができません。同じ日本人として……どうやってお詫びをしていいか。ご親切なミスター・キングや皆さんに……」
「岩、早まってはいけない。それよりも、どうにかして家族の所に帰ることを考えましょう」
キングがやさしく言った。
「ミスター・キング、日本に帰ることは、皆|諦《あきら》めました」
「諦めた!? それはいけません。わたしたちみんなで相談しました」
ギュツラフが言った。力松がしゃくり上げながらまだ泣いている。
「相談? どんな相談とです?」
「庄蔵、その一つは、人のいない浜に、あなたがたを上陸させることです」
七人は顔を見合わせた。誰もいない砂浜は、ない訳ではない。だが、そこから上がって何処《どこ》へ行けと言うのか。辿《たど》り辿ってわが家に帰り着いたところで、たちまち役人の手に捕らえられる。
「それから、もう一つ考えました。通りがかりの船に乗り移るのです。船乗りなら、話がわかるかも知れません」
誰もが首を横にふった。人気《ひとけ》のない浜に上がることも、他の船に乗り移ることも、それがどれほど危険であるかを、岩吉たちは浦賀での砲撃に思い知らされたのだ。あれほど多勢の日本人が船に訪れて、何の悪意もないことをよく見て行った筈《はず》だ。大砲もなければ鉄砲さえない。しかも、役人が来るようにと、何人かの人々にカードを手渡しさえした。その翌朝の激しい砲撃だった。だが、カードは役人に手渡されてはいなかった。その間の事情はキングたちはむろんのこと、岩吉たちも計り知ることが出来なかったのである。
天保の飢饉《ききん》の中で、幕府は年々外患に対する備えを固め、外国との接触に、より一層きびしい目を光らせていた。その点、浦賀の住民たちと岩吉たちとには大きな差があった。住民たちは誰一人として、モリソン号を訪れたことなど、役人に届けた者はなかった。パンを食ったことも、ブドー酒を飲んだことも、ましてや外国の貨幣や更紗《さらさ》をもらったことなど、告げた者は一人もなかった。カードを受け取った者も、家に持ち帰ってひそかにしまっておいた。そして、幾日も経た後に、名主と相談の上で、もらった品を恐る恐る役人に届け出た。しかも、それはモリソン号を訪ねて受け取ったのではなく、真っ暗な雨の夜の中で、大船の傍《そば》を小舟で通っていた時に、投げこまれた品だと届け出た。それが異国船と知ったのは、後のことだったと、五村の名主連名の書類に書かれてあった。むろん、最後まで届け出をせぬ者も多かった。異国との関わりを持つことは、それほどに厳禁されていたのである。キングたちが渡したカードや、ギュツラフが投げこんだ水を乞《こ》うキャンバスが、役人の手に渡ったのは、はるかに後のことであった。だが岩吉たちもキングたちも、それを知る筈《はず》はなかった。
岩吉たちが、無人の浜に上陸することも、他の船に乗り移ることも、賛成しないのを見てキングが言った。
「では、大砲のない所に船を着けて、交渉しましょう。実はあの砲撃は、果たして日本政府の意向か、どうか、疑っているのです。浦賀の役人が勝手に、わたしたちを攻撃して来たのではないかとね」
何とかして、岩吉の自殺を思いとどまらせようとして、キングは希望的な案を次々と述べた。交渉さえまとまれば、岩吉たちは死ぬほどの責任を感じないですむ。そうなれば、遠からず肉親に再会もできる。キングたちは、どんなことをしてでも、この七人を幸せにしてやりたいと思った。
「ばってん、日本の役人が、自分の一存で、異国船を打ち払うこつはなか」
庄蔵が呟《つぶや》くように言ったが、ギュツラフは笑顔を見せて、
「このまま諦《あきら》めるのは早過ぎます。もう一度神に祈って、日本と交渉してみましょう」
ギュツラフとキングの、真実こもる言葉に、岩吉たちの顔にようやく生気《せいき》が戻《もど》った。
「したら、舵取《かじと》りさん。鳥羽《とば》はどうやろ」
久吉が言った。
「ああ、鳥羽か。そうやな。鳥羽はいいやろ」
岩吉は、たくさんの千石船《せんごくぶね》が潮懸《しおがか》りしている見馴《みな》れた鳥羽の港を思い浮かべながら答えた。この鳥羽と小野浦は目と鼻の先だ。
「鳥羽はいいな、鳥羽は」
音吉も声を弾ませた。
鳥羽は、言ってみれば、小野浦出身の音吉たちにとって故郷のようなものだ。泳いで渡れると言っていい近さだ。涙にぬれた顔を見合わせ、音吉と久吉はうなずき合った。
「では、先ず船を鳥羽に向けましょう。安心して食事を取りなさい。決して死ぬなどと考えてはなりません」
ギュツラフが幾度も念を押した。
「申し訳もありません。ご心配をおかけしました。大砲のこともどうかお許し願います」
岩吉たちは両手をついて、深々と頭を下げた。
「いやいや、わたしたちがあれほどの激しい砲撃を受けたのは、アメリカの捕鯨船《ほげいせん》が、この近海で何か悪いことをしたためかも知れません。理由もなくあんなに攻撃する訳はありませんからね」
キングは大きく手をふった。アメリカ捕鯨船が日本の近くまで来ていたことは事実だった。が、その捕鯨船が日本に害を及ぼしたことはなかった。むしろイギリス捕鯨船が物議《ぶつぎ》をかもすことが幾度かあって、幕府が外患を説く一因にはなっていた。
やがて、雲の吹き払われた日本の陸地が再び見え始めた。
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