日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

真夜中のサーカス17

时间: 2020-03-21    进入日语论坛
核心提示:寸劇三玄関の外で、「今晩は。奥野さん、今晩は。」という女の声がする。一枝が立っていって、温泉旅館の女中の声で、「はい、ど
(单词翻译:双击或拖选)
寸劇

玄関の外で、「今晩は。奥野さん、今晩は。」という女の声がする。一枝が立っていって、温泉旅館の女中の声で、
「はい、どちらさまでしょうか?」
しばらくして客を送り出し、戻ってくると再び地声で、
「街燈の集金。」
「なんぼだった?」
「あとでいいよ。」くすっと笑って、「奥さん……だってさ。」
「え?」
「奥さんだと。さっきの人がさ。」
「姉ちゃんのことを?」
「おまえの嫁さんのことをだよ。山の部落にいればただの百姓の嫁っこでも、町へ出てくりゃ奥さんって呼ばれるんだもんねえ。」
「……そんなこと、どうでもいいじゃねえかね。|他人《ひ と》が勝手にそういうんだから。」
「奥さんもいいけど、たまには仏壇ぐらい掃除したらどうかと思ってね。指で字が書けるくらい|埃《ほこり》が|溜《た》まってるじゃないか。」
「……仏壇を使うのは婆ちゃんだけだからな。」
「だから、掃除も婆ちゃんにさせようっていうのかい、七十八の婆ちゃんに! それに、あの婆ちゃんの寝部屋、随分隙間風が入るじゃないの。あれじゃ……。」
「それはどの部屋もおなじだぜ。家がおんぼろなんだから仕方がねえだろ?」
そのとき、玄関が開いて、伸子が帰ってくる。けれども、伸子はひとりきりだ。一枝は気落ちして、
「あんた、ひとり……。」
「はい……。厭だあ、姉さん。誰かと一緒だと思ったんですか?」
「誰かとって、婆ちゃんを連れてくると思ったから。」
「だって、婆ちゃん、みつからないんだもの。心当りのところを片っ端しから廻ってみたんだけど。」
三人、あとは言葉もなく互いに顔を見合わせている。やがて、一枝が隣の三畳間へ駈け込むように入っていって、鉦を一つ敲いて戻ってくる。
「姉ちゃん。」と作造。「そんなとこに立ってねえで、炬燵に入んなよ。蝋燭は消してきたろうな?」
「おらが消さなくても、どうせ隙間風が消してくれるだろうけどさ。」
伸子が遊びから戻った子供のように、炬燵のなかで両手を|大袈裟《おおげさ》にこすり合せて、
「おお、寒かった。」
「伸子。」と作造は、とてもいたたまれないというふうに、「酒、持ってこ。」
「え?」
「酒、持ってこって。」
「酒? 酒はあんた、やめたはずじゃない。」
「いいから、持ってこって。」
「駄目だあ。今度の怪我をきっかけにして、酒はきっぱりやめるって誓ったじゃないの。」
「そんな……つべこべいわねで、持ってこったら持ってこ。今夜だけ……おらはこうして寝てるんだから、なんにも心配|要《い》らねって。」
「……どうしよう、姉さん。」
「酒は、怪我には悪くないんだろうか。」
と一枝がいうと、作造は笑って、
「脚の傷に飲ませるんじゃねえって、姉ちゃん。平気だよ。」
「じゃ、おらも気つけに一杯貰おうかな。」
「そらみろ、気つけだって。」と作造は伸子にいう。「なんつうこともねえんだよ。」
伸子は不服げに、それでも台所の方へいきかけながら、
「冷やでいいね? それに|肴《さかな》はなんにもねえけんど。」
「肴なんか、漬物でいいよ、漬物で。」ほくほく顔で、「姉ちゃん、自慢じゃねえが、おらんとこの漬物はな、お|前《め》さん、デパートで売ってる……。」
「作造。」
「え?」
「おまえ、車にはねられたとき、酒飲んでたんかね。」
「飲んでたって……ちょっとだけな。」
「酔っ払って、ふらふら往来を歩いてたんじゃないのかい?」
「冗、冗談じゃねえ。ちっとばかしの酒で、このおらが酔っ払うかって。」
「……飲んでたなんて、ちっとも知らなかった。」
作造が乾いた笑い声を上げたとき、伸子が一升瓶とコップと漬物を運んでくる。
「はい、お待ち遠さん。なんの話?」
「いや、なに、酒は冷やに限るって話さ。さあ、姉ちゃん、勝手に注いでやってけれ。」
自分は伸子が注いだのを一と息に飲み干して、独り言のように、
「……とうとう飲んじまった。」
一枝は|呆《あき》れて、
「へえ……。」
「どしたい、目を丸くして。」
「おまえ、いつからそんなに酒飲むようになったんだい?」
「いつからって、もうずっと前からだ。」
「山の部落にいたころから?」
「そりゃあ、町へ出てきてからだけどね。村にいたころはオホ(濁酒)を茶碗に半分も飲めなかったが……。」
「三十にもなって、十七、八の若い者とおんなしじゃないのさ。町へ出てくれば途端に酒はおぼえる、煙草はおぼえる……。」
「姉ちゃんだって、酒も煙草ものむだろう。」
「そりゃあね、おらみたいに二十年も温泉場の女中してれば、厭でも……。」
すると、不意に伸子が叫ぶように、
「警察……やっぱり警察に届けた方がいいんじゃねだろうか。」
作造と一枝は、ぎくりとしたように顔を見合わせる。
「な、なにいうんだ、警察なんて……。」
「だけど、これ以上、おらたちになにができる?」
「だけど、警察に頼むって、お|前《め》……。」
「おらも。」と一枝が伸子に向き直って、「警察に頼むのは反対だよ。警察に頼むなんて、そんな|匙《さじ》投げたようなことは、おらにはできん。」
「おらはべつに匙投げたなんて……。」
「だけど、警察に頼むなんて、もう最後の最後の手段じゃないのさ。それを最初からいい出すなんて……。」
「おらはなにも最初から、警察、警察いうてるんじゃねえです。おらたちにできることは全部してしまったから、そういうたんです。」
「全部だって? おらたちにできることは全部? じゃ、なんでおらはここへきたんだろ。おらは、あんたらが打った電報に|招《よ》ばれてきたんだよ。」
「まあ、姉ちゃん。」と作造は手を上げて、「そりゃなあ、なにをどう決めるにも、おらたちだけじゃ決め兼ねるからだよ、姉ちゃん。姉ちゃんの意見|訊《き》かんと、おらたちにはなんも決められねえさ。」
「だったら、おらの意見も訊いてみたらどうかね。意見も訊かないで、いきなり警察だなんて……。」
すると、伸子はまた叫ぶように、
「あんたらがあんまり暢気だからよ。酒の話ばっかりしてて……。おらは朝っぱらから脚を棒にして歩いてきたっていうのに……。」
そういっているうちに、涙声になってしまう。
「そりゃあ、あんたは御苦労さんだったよ。」と一枝。「だけど、おらだって、こうして出かけてきてるんだしさ。いると思ったところにいなかったからって、すぐ警察なんていわずにさ、なんかほかに方法がねえもんか、三人でゆっくり考えてみようじゃないかね。」
「んだ、んだ。」と作造は|頷《うなず》いて、「めそめそするなって。なんとかなるよ。」
「なんとかって?」
「うん、そらまあ……姉ちゃん、やってけれ。」
と一枝のコップに注いでやり、自分も自分のコップになみなみと注いで飲む。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%