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真夜中のサーカス45

时间: 2020-03-21    进入日语论坛
核心提示:赤い|衣裳《いしよう》二土曜日の夜明けがた、良作は小屋の中二階の寝床のなかで、ふっとひとりでに目が|醒《さ》めた。部屋の
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赤い|衣裳《いしよう》

土曜日の夜明けがた、良作は小屋の中二階の寝床のなかで、ふっとひとりでに目が|醒《さ》めた。部屋のなかはまだ暗くて、カーテンのない窓からみえる幾分暗さの薄れた空には、星が夜よりも白く光っていた。
ヒデの奴、ちょうどいまごろ家を出てくるわけだ、と彼は夜明けの星を眺めながら思った。朝の汽車に乗るためには、まだ夜が明けぬうちに家を出て、心細い山道伝いに駅のある|麓《ふもと》の町まで降りねばならない。彼の在所の村はそんなにも|辺鄙《へんぴ》な山奥なのだ。
在所の家の、背戸の板戸をこじ開けると、|足許《あしもと》から土間の明りが外の闇へ走り出て、その明りを背負った自分の影法師が目の前に長く伸びてゆらゆらする。忽ち山の冷気が首筋に流れ込んでくる——そんな旅立ちの朝の様子がまざまざと思い出されて、彼は薄い掛布団を鼻のところまで引き上げた。
けれども、町にいて、妹の身を案じていても仕方がなかった。なにも案じるほどのことはないのかもしれない。ヒデはおふくろから暇を貰って、喜び勇んで出てくるのだ。
すっかり夜が明けてしまうまでには、まだ大分間があった。もう一と眠りしようと思って目をつむると、耳許で、ひたひたという音がした。彼は目をあけて、首をもたげてみた。あたりにはなにもみえなかったが、音もまたきこえなくなっていた。すると、空耳だったのだろうか。
彼は、枕に頭を落ち着けて、目をつむった。すると、また、さっきとおなじようなひたひたという音がきこえてきた。彼は、目をつむったまま耳を澄ましていたが、音はどこからきこえてくるのかわからなかった。すぐ耳許でしているような気もするし、随分遠くからきこえてくるような気もする。
あれはなんの音だろう。なんだかしれないが、まるで猫が皿の汁を舐めているような音だと彼は思った。それとも、海に朝風が立ったのだろうか。風が出てくると、港内の海がわずかに騒いで、造船所の岸壁の裾でさざ波がぴちゃぴちゃとお|喋《しやべ》りをはじめる。けれども、波の音にしては少々せっかちすぎる。
彼は、また目をあけてみた。すると、窓から夜明けの星空がみえた。途端に、その音がなんの音であるかが、彼にはわかった。妹の足音だ。夜露の降りた山道をズック靴で急ぎ足にくだってくる妹のヒデの足音だ。
彼は、不思議な気がした。何十里もむこうの足音がこんなにはっきりきこえてくるなんて。そんな馬鹿なと思ったが、目をつむるとまた、ひたひた、ひたひた——それは、どう考えても妹の足音に違いないのだ。
彼は、目をつむったまま苦笑した。あんまり妹を案じるから、こんなことになるのだ。すると、さっきひとりでに目が醒めたのも、この足音のせいなのだなと、彼は思った。道理で——いつもなら朝日が|瞼《まぶた》を|徹《とお》して目に|滲《し》みてこないうちは目が醒めやしないのに、なんだか変だと思ったのだ。
こんな音に耳をくすぐられていたのでは、とても眠れたものではない。彼は、いさぎよく寝床を離れると、身仕度をして小屋の外へ飛び出した。けれども、別段なにもすることがなくて、岸壁伝いに隣のテトラポッド工場との境までいくと、そこから海の上にはみ出しているテトラポッドの大根足に|放尿《ほうによう》しながら、きょうもいいお天気でよかったと思った。海も|凪《なぎ》で、水平線の空が長い刀を横たえたように冷たい光を放っていた。
ヒデが帰れば、もうすぐ冬だ。彼はそう思って、ぶるっと身ぶるいをした。
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