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真夜中のサーカス54

时间: 2020-03-21    进入日语论坛
核心提示:小人の曲芸四その日がなかなかやってこなければいい、そう思っているときに限って日が経つのが早いもので、あれよあれよというま
(单词翻译:双击或拖选)
小人の曲芸

その日がなかなかやってこなければいい、そう思っているときに限って日が経つのが早いもので、あれよあれよというまにその日がやってくる。
約束の土曜日の夕方、六時すこし前に、チサはちょっと友達のところへいってくるといって家を出た。勿論、家を出てくる前に、網小屋へ行って、宝箱から十二個の消しゴムをビニール袋に移してきた。
たかが消しゴムとはいえ、それが十二個にもなると、結構|嵩張《かさば》る。それで、六個ずつ、ふた袋にして、半袖の上っ張りのポケットとズボンのポケットに一と袋ずつ入れてきた。
弁天様は、港のむこう側のちょっとした|岬《みさき》の鼻にある。なるほどそこは、沈船防波堤には最も近い陸地である。弁天様の崖下からボートにでも乗せられるのだろうか。
チサは、正直いって、沈船防波堤などへはいきたくもなかった。べつに祟りをおそれているわけではなく、そんなところにはまるで興味がないからであった。しかも、せっかく溜めた消しゴムを一つ残らずポケットに入れて、沈船防波堤まで出かけていくなんて——これが克江の命令でなかったら、到底思いも及ばないことだ。
いったい、消しゴムを持って沈船防波堤へいって、どうしようというのだろう。チサには一切わからなかったが、克江の命令通りにしないわけにはいかなかった。盗みのことを克江に知られている以上、命令に背けばどんなことをされるかわかったものではないからだ。
チサは、人通りのすくない裏道伝いに、伏目になってすたすた歩いた。十二個の消しゴムのために、いつもより躯が重たいという気がして、そのことに気がつくたびにチサは後悔の吐息を洩らしたが、いまさらどうなるものでもなかった。
弁天様の境内には誰もいなくて、|蟋蟀《こおろぎ》だけが鳴いていた。小道伝いに崖下へ降りると、すこし離れた岩山の上に克江が腰を下ろして、立てた|膝《ひざ》に頬杖を突いて沖の方を眺めているのが、暮れはじめた空にくっきり浮かんでみえていた。チサは、岩山のそばまでいくと、道の上から、「ほい。」と克江に声をかけた。都会なら、「ねえ、ちょっと。」というところを、このあたりでは「ほい。」といっているが、克江は振り向きもしなかった。きこえなかったのかもしれないとチサは思った。なにしろ大っぴらな用できたのではないのだから、どうにも声に力が入らないのだ。
チサは岩山へ登っていった。克江のすぐうしろまで近づいて、
「おらは、きたえ。」
といった。すると、克江は沖の方へ目を向けたまま、
「きたのは、さっきからわかってたよ。ほんとに、ひとりできたな?」
といった。
「ひとりできたえ。」
「嘘でねな?」
「嘘でね。」
「……だったら、誰かあとをつけてきた奴がいねか、よくそこらを見てみ。」
チサはあたりを見廻したが、暮れかけた崖の斜面にも崖下にも、人影らしいものはみつからなかった。
「誰もいね。」
とチサはいった。
ようやく克江は立ち上った。
「こっちゃ|来《こ》。おらのあとについて|来《こ》。」
ところが、克江のあとから岩山をむこう側へくだっていくと、そこに|艪舟《ろぶね》が一|艘《そう》、|舫《もや》ってあった。それは、かねて予想していた通りだったが、チサが驚いたのは、その艪舟に、すでに二人の女の子が乗っていたことであった。しかも、その二人はどちらも顔見知りで、ひとりは美和という六年生、もうひとりはおなじ五年生だが隣のクラスの小夜子であった。
克江は沈船防波堤へ連れていってやるといったが、ただ遊びや見物にいくのではないことは初めからわかっていた。なぜなら、これまでに盗んだものを残らず持参せよという条件がついていたからである。遊びや見物ではなくて、それでは目的はなんなのか。それはわからなかったが、どうせ碌なことではなさそうだった。だから、小舟で沈船防波堤へ渡るにしても、まさか一緒にいく仲間がいるとは思わなかったのだ。
「あいやあ……。」
と、チサは小夜子の顔をみて思わず驚きの声を上げ、それから、この思いもしなかった二人の連れのことをどう考えればいいのかわからなくて、ちょっとべそをかくように笑った。
自分は盗人で、克江はおそらく自分が盗人であることを知っているこの世でたったひとりの人間である。だから、連れの二人も、多少は盗みに関係のある連中だと思いたかったが、その二人に限って、それは不可能なことであった。
なぜなら、美和は中学校の教師の娘であり、小夜子は大きな呉服屋の一人娘だったからである。
舫い綱が解かれ、克江が自分で艪を操って、舟は夕凪の海へ滑り出た。
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