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真夜中のサーカス61

时间: 2020-03-21    进入日语论坛
核心提示:火の輪くぐり五火は、浜通りの網小屋から出て、それが忽ちのうちに燃えひろがった。海からの風に煽られて、乾き切った家々の軒下
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火の輪くぐり

火は、浜通りの網小屋から出て、それが忽ちのうちに燃えひろがった。海からの風に煽られて、乾き切った家々の軒下を走る火の|迅《はや》さは信じられないほどだった。冬には珍しく風のない晩だったが、どういうものか火が出ると同時に大きなつむじ風のようなものが吹き募ってきた。
近隣の港町から、県道を消防車が続々と集まってきたが、町に燃えひろがった火勢はもはや手の施しようがなかった。思いもかけぬ大火になってしまった。
菜穂里の町は、浜通りから一番高台にある駅前まで、一と晩中、火の海になって燃えつづけていた。町の人々は、ほとんど裏山や町はずれの海べりへ逃げて、火事場を駈け廻っているのは消防夫や警官ばかりだった。
だから、あの片耳の赤犬が、燃えている窓枠をみつけては、そこをひらりと飛びくぐってチンチンをしながら、むしろ|欣然《きんぜん》と火事場をさまよい歩いていたことは、誰も知らない。
翌朝、煙に濁った空から、雪が落ちてきた。逃げていた人々が、一面の焼野になって白くくすぶっている町へ戻りはじめたころ、片耳の赤犬は、雪氷が|融《と》けてコンクリートがあらわになった街道に首を深くうなだれて、そこに染みついている魚の血の匂いを嗅ぎながら、南の方へ、のろのろと町を出ていった。
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