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シャドウテイカー 黒の彼方15

时间: 2020-03-27    进入日语论坛
核心提示:14 裕生がドアを開けて外へ出ると、もう太陽はだいぶ傾いていた。ゴミの集積所に向かって歩き出そうとした時、建物の上のほうで
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14
 裕生がドアを開けて外へ出ると、もう太陽はだいぶ傾いていた。
ゴミの集積所に向かって歩き出そうとした時、建物の上のほうでドアの開く音がした。おそらく、裕生たちの部屋の玄関だろう。階段を降りてくる軽い足音が聞こえる。裕生は階段の一番下で、なんとなく息を詰めて待っていた。
「あれ、裕生くん。久しぶり」
思ったとおり、現れたのは西尾《にしお》夕紀《ゆき》だった。会うのは高校を卒業して以来だった。襟の大きなブラウスとロングスカートを身に着けて、うっすらと化粧もしている彼女は、別人のように大人《おとな》っぽく見える。
「今、帰りなんですか」
緊張《きんちょう》で裕生の心臓《しんぞう》が少し高鳴っている。
「うん。話しこんでたら、遅くなっちゃった」
雄一《ゆういち》と一体なにを話しこんでいたのか聞きたかったが、そこまで立ち入る勇気もなかった。
「裕生くんはなにしてるの」
裕生ははっと我に返った。生ゴミの袋を手にしている自分が、とてつもなくみっともなく思えた。
「そこの部屋に知り合いっていうか、茶道《さどう》部の後輩《こうはい》が住んでて、そこにいたんですけど、ちょっとゴミを出さなきゃいけなくて」
しどろもどろに説明すると、夕紀がいたずらっぽく微笑《ほほえ》んだ。笑顔だけ見ると、みちるに似ていなくもなかった。
「みちるから聞いてるけど、すごく可愛《かわい》い子なんでしょう。こんな近くに住んでたんだ。裕生くんの彼女?」
「か、彼女じゃないですよ。なに言ってるんですか」
慌てたせいか舌を噛《か》みそうになった。
「ふうん。でも、すごく仲がいいって聞いたわよ」
「そういうんじゃないですよ……なんていうか、幼馴染《おさななじみ》ですから」
そう言いながら、否定している自分になんとなく引っかかるものを感じた。
「ただの」幼馴染です、とは言えない気がする。
「茶道《きどう》部の人、みんな元気?」
みんな、と言っても、夕紀《ゆき》が知っているのは裕生《ひろお》と志乃《しの》しかいない。元気ですよ、と言いかけて、裕生はふと志乃のことを思い出した。
「ぼくは元気ですけど、飯倉《いいくら》先輩《せんぱい》が……」
と、裕生は口ごもった。
「志乃ちゃん、どうかしたの?」
「今日、昼休みに会いましたけど、保健室に行くって言ってましたよ。具合が悪そうだし、それに、最近なんか変なんですよね」
彼女の様子《ようす》はあきらかにおかしかった。単に体調が悪いだけではない気がする。
「やっぱり、そうなんだ」
夕紀は表情を曇《くも》らせる。
「志乃ちゃんとはよく電話で話してるんだけど、最近なにかあったみたいだから、ちょっと気になってて」
「最近って、いつぐらいからですか」
「この一週間ぐらいかな」
テストの始まる直前だった。裕生はその頃《ころ》志乃と会っていないが、葉《よう》ならなにか知っているかもしれない。
そういえば、このところ志乃は葉を避《さ》けているようだ。テストが始まる前まで葉と仲がよかったが、ここ数日一緒にいるところを見なかった。
「なにがあったのか、裕生くんは知らないんだよね」
「……分からないです」
「そうだよね。ごめんね、変なこと聞いて」
「別に変じゃないですよ。ぼくも気になってるし」
卒業するまで、夕紀は志乃ととても仲がよかった。この町を出たとはいえ、後輩の様子が気になるのだろう。なにかあったら連絡して、と言い残して、夕紀は帰っていった。
 夕紀と別れてから、裕生はゴミの集積所へと歩いていった。裕生たちの住んでいる棟《とう》からは少し離れた場所にある。確か明日が燃えるゴミの収集日だった。生ゴミを狙《ねら》ってカラスが飛んでくるので、なるべく当日の朝にゴミを出すように自治会から言われている。そのせいか、まだ集積所にはほとんどゴミは出されていなかった。
裕生《ひろお》は手にしていたゴミ袋を集積所の隅《すみ》に軽く放った。
(収集日でもないのに生ゴミの袋を捨ててる)
都市伝説の説明をした時の、雄一《ゆういち》の言葉が頭に蘇《よみがえ》る。今の裕生のように、ということだろうか。ため息をつきながら背を向けようとした瞬間《しゅんかん》、
(それも中身が見えないような袋に入れて)
彼の動きが止まる。集積所の端《はし》の方に、少し小さめのゴミ袋が置いてあった。他《ほか》のゴミと明らかに違っている——半透明のビニール袋が、何重にもかぶせてあって、中が見えないようになっていた。何日も前から置いてあるらしく、埃《ほこり》にまみれている。
その袋の中身はサッカーボールほどの大きさであり、
(ゴミ袋に生首《なまくび》が詰まってたら)
ちょうどあれぐらいではないだろうか。裕生はごくりと唾《つば》を飲みこんだ。いや、そんな馬鹿《ばか》な話があるはずない。あれは兄のたとえ話だったはずだ。確かにディテールがやけに具体的だったけれど——。
一瞬《いっしゅん》、裕生は自分の頭に浮かんだ恐ろしい想像を振り払った。もちろん兄がそんなことをするはずがない。何もかもただの偶然だ。馬鹿馬鹿しい。
裕生は急ぎ足で立ち去りかけて、何メートルも行かないうちに結局足を止めた。言いようのない不安めいたものが胸にわだかまっていた。
ここ数日、自分たちのまわりでなにかが起こっている気がする。どうしてそう思うのか、うまく説明はできない。これという徴候《ちょうこう》があるわけではない。
しかし心の奥底で、この袋の中を見ろという声がする。このまま立ち去ってしまえば、なにかが手遅れになってしまう気がした。
(……どうしたんだろ)
裕生は頭を一つ振って、ゴミ袋に近づいていった。彼はうずくまって袋の口に手をかける。ゴミ袋の中身はひどく軽かった。手触《てざわ》りは妙に固く、プラスチックかなにかのようだった。少なくとも生首ではなさそうた。裕生はほっと息をついた。こわれた電気のカサだとか、そんなものに違いない。
それでも中身を確認しようと、固く結んである袋の口を開けた。その下からまた袋が現れる。それを繰《く》り返すうちに面倒《めんどう》になって、力をこめて袋を破き始めた。これを開いて、なにもなければおかしな不安も消える。ただの思い過ごしだと笑うことができる。裕生はそう思いながら、最後のビニールを破って、袋の中身を外気にさらした。
ほら、結局なにもなかった、という安心を最後まで期待していたと思う。
「……え?」
裕生はかすれた声を上げた。現れたものは、一度も見たことがないものだった。
大きさはやはりサッカーボールぐらいだったが、いびつな楕円形《だえんけい》をしている。色は真っ黒だった。表面には刻みこまれた文様《もんよう》のような凹凸《おうとつ》があり、そして重要なことに、その「なにか」をほとんど一周するほどの大きな裂け目が入っている。ぎざぎざした裂け目の表面に目を近づける——外側から力が加わったのではなく、間違いなく内側から破られた跡だった。
卵だ。
裕生《ひろお》は突然、そう理解した。なにかこの中に入っていたものが、外へ生まれ出たのだ。そして、この卵がこの世界にありえないものである以上、中にいたものもありえないものに違いない。
彼の背筋《せすじ》に悪寒《おかん》が走った——では、ここから出て行ったものは、今どこにいるのか。彼はぐるりとあたりを見回した。かたかたと震《ふる》える両手から、黒い卵がつるりと滑る。
「……あっ」
声を上げた時にはもう遅かった。卵はコンクリートの地面に音もなく激突《げきとつ》し、ばらばらの破片となって散っていた。奇妙に強い風が吹く。彼の目の前で、その破片はさらに小さな塵《ちり》となって、跡形《あとかた》もなくどこかへ飛んでいってしまった。
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