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シャドウテイカー 黒の彼方20

时间: 2020-03-27    进入日语论坛
核心提示:18 あまり眠れない夜が明けた。学校へは行きたくなかったが、行かない理由もない。裕生《ひろお》は足を引きずるようにして、学
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18
 あまり眠れない夜が明けた。
学校へは行きたくなかったが、行かない理由もない。裕生《ひろお》は足を引きずるようにして、学校へ歩いていった。昨日の晩から、考えていたのは葉《よう》のことだった。自分に近づいてはいけないと彼女は言った。その言葉をそのまま受け取るなら、あの屋上にいたものと、彼女は関係があることになる。
しかし、どうしても葉があんなことをするとは思えなかった。たとえ、なにかにとりつかれているとしても、あの葉が誰かを傷つけるはずがない。
「おはよう」
声をかけられて振り向くと、みちるが立っていた。
「……おはよう」
誰かと口をききたい気分ではなかったが、裕生はどうにか口を開く。みちるはちょっと目を瞠《みは》った。
「またなにか心配事?」
「え?」
「こないだよりもっと暗いから」
「……そうでもないよ」
裕生《ひろお》は学校に向かって歩き出した。みちるは裕生の横に並ぶ。
「あの後輩《こうはい》の女の子のこと?」
「……え?」
「心配してたじゃない」
みちるの言う通りだった。しかし、裕生が心配したところで、もうどうしようもないかもしれない。
「結局、あたしが聞いても話してくれなくてさ。役に立てなくてごめんね」
昔から裕生が悩み事をしていると、みちるは妙に親切だと思う。理由はよく分からなかったが。
「そんなことないって。別に西尾《にしお》のせいじゃないよ」
もともと裕生がすべきだったことなのだ。葉《よう》と付き合いのないみちるを頼《たよ》ったこと自体、間違いだったのだと思う。
「あの子、変わってるけど悪い子じゃないよね」
「……」
葉は昔から内気だった。しかし、誰《だれ》かに嫌われたり憎まれたりしない。長く接していれば分かるが、他人に悪い感情を抱《いだ》くようなことはない。
「そういえばあの子、独《ひと》り言いったりしない?」
「どうして?」
「見間違いだと思うんだけど、あたしが話しかける前、一人で誰かと話してるみたいだったから」
裕生は「ヒトリムシ」のことを思い出した。考えなければならないことはもう一つある——葉はこれからなにをしようとしているのだろう。
 教室に入ると、佐貫《さぬき》が無言で裕生をずるずると教室の端《はし》に引きずっていった。
「昨日、なにがあったんだ?」
「うん。ちょっと」
「ちょっとじゃねえだろ。なんかあったのか」
「調べたいことがあったんだよ。放課後《ほうかご》行ったんじゃ間《ま》に合わなかったから」
それは嘘《うそ》ではない。あの火事の起こった部屋を見に行くために学校を出たのだ。
「ふうん」
今ひとつ佐貫は釈然《しやくぜん》としない様子《ようす》だったが、彼自身も関心が向いたことのためにたまに授業をサボることがある。まあ、そういうこともあるか、と結論づけたらしい。
「まあいいや。今度こそこれ、持っていってくれよ」
彼は昨日図書室で手渡しそこねた封筒を裕生《ひろお》の手に押しつけた。「カゲヌシ」の噂《うわさ》について書かれたレポートだった。この噂話をしている人間のほとんどは、これが本当にいる怪物だとは思っていない。
「それから、卵の話だけどな」
「……調査中じゃなかったっけ」
「いや、出所が分かった。そのことも書いてあるって言っといてくれるか」
「出所って?」
「この学校の中で誰《だれ》が言い出したのか分かったってこと」
答えを聞く前から分かっているような嫌《いや》な予感がした。
「苦労したんだぜ。一年の間で主《おも》に広まってるらしくて、結局最後はほら、お前の幼馴染《おさななじみ》に行き着いたぞ。あの子がクラスで喋《しゃべ》ったのが最初らしい」
裕生の頭の中に、あの団地のゴミ捨て場で見た卵が蘇《よみがえ》った——やっぱり、と裕生は思った。
「佐貫《さぬき》は三年生にも顔、広いよね」
「うん、まあ、お前よりは確実に広いな」
「田島《たじま》さんとか川相《かわい》さんっていう人、知ってる? 二人とも女の人だと思うんだけど」
「タジマとカワイ? そんなありふれた名前、何人もいるだろ。どこのクラスだ?」
そう言われて初めて、彼女たちの苗字《みょうじ》以外に自分がなにも知らないことに気づいた。彼は質問を変えた。
「じゃあ、三年生で、誰かがいなくなってるとか、そういう話って聞いたことある?」
「なんだそれ。お前、なに言ってんだ?」
佐貫はぽかんと口を開けている。裕生は首をひねった。あの病院の屋上で死んだ犠牲《ぎせい》者も含めれば、三人もの生徒が行方《ゆくえ》不明になっていることになる。クラスが同じではないにせよ、少しは話題にのぼっていてもおかしくないのではないだろうか。
「三年がどうかしたのか?」
と、佐貫が言った。
「……ううん。別に」
「隠《かく》すなよ。お前、柿崎《かきざき》先生からなんか言われたんだろ?」
「柿崎先生?」
どうしてここにあの先生が出てくるのだろう。
「いや、カンニングの話じゃないのか? まだあんまり知ってるヤツはいないけど、茶道《さどう》部のお前の先輩《せんぱい》があの先生に呼び出されたんだって?」
「……飯倉《いいくら》先輩が?」
裕生が驚《おどろ》いた声を出すと、佐貫の方が慌て出した。
「え、それで俺《おれ》からなんか聞こうとしてたんじゃないのか?」
「それ、どういうこと?」
佐貫《さぬき》はあたりを確認すると、裕生《ひろお》の顔をぐいっと寄せて話し始めた。
「犯人かどうかまでは分からないけど、あの先輩《せんぱい》がなんか知ってるんじゃないかって柿崎《かきざき》は思ってるみたいだぞ。何回か話を聞こうとしてるみたいだけど、なかなか言わないんだって」
裕生は柿崎と話をした時のことを思い出した。どうして学年の違う裕生にわざわざ話を聞いたのか、不思議《ふしぎ》に思っていた——あれはおそらく、志乃《しの》からなにか聞いているか探《さぐ》りを入れていたのだろう。
(柿崎先生と話してました)
裕生は愕然《がくぜん》とした。うちに住んだら、という話を部室でした時、葉《よう》は確かにそう言っていた。柿崎は葉と志乃が仲がいいことを知っている。もし順番を考えるなら、裕生より先に葉に話を聞こうとするだろう。
昨日葉と話したとき、誰《だれ》からカンニングの話を聞いたのか、彼女はしつこく聞きたがっていた。ひょっとして、彼女は志乃がカンニングに関係していることを、知っているのではないだろうか。
「……どうかしたのか?」
「ちょっと行ってくる」
裕生は昨日とまったく同じように、佐貫を残してその場から走り去った。
 柿崎は旧校舎の英語科準備室でホームルームの準備をしている。チョークを使わなければならないので、手袋をポケットに入れた。
(さて、今日も仕事に行きますか)
あまり張り切る気になれないのは、例のカンニングの事件のことがあるからだ。そろそろ犯人と目される生徒を問いつめなければならない。本人の責任とはいえ、気が重かった。
(まだ、バイクかっぱらって無期停の生徒の方がマシ……)
彼女の脳裏を、かつての不肖《ふしょう》の教え子の姿がちらりとよぎった。
(……でもないか。あれはあれで、すご————く大変だったし)
その時、準備室のドアが大きな音を立てて開いた。思わず彼女は飛び上がりそうになる。この登場の仕方は藤牧《ふじまき》・兄そのものだと思ったが、そこに立っていたのは弟のほうだった。
「どうしたの、藤牧・弟くん」
この呼び名を使っているのは、確かに藤牧・兄と混同してしまうせいもあるのだが、正直に言うと、ちょっと裕生の反応を楽しんでいるところもある。ボーっとしている彼は、彼女にとって少しからかいたくなるタイプだった。
普段《ふだん》なら裕生はあからさまに顔をしかめて、「その呼び方はやめてくれませんか」と言うところだったが、今日は違っていた。
(……あら)
彼女は内心目を瞠《みは》った。なにか思いつめたような、真剣な面持《おもも》ちだった。珍しく「男の子」の顔だと思った。
「この前、カンニングの話をしたの、飯倉《いいくら》先輩《せんぱい》のことだったんですか」
「誰《だれ》から聞いたの?」
即答を避《さ》けて、とりあえず質問で返してみたが、裕生《ひろお》は乗らなかった。正面からこちらを見返しているだけだ。
(なんか、藤牧《ふじまき》・兄と話してるみたいね)
こうして見ると、裕生と雄一《ゆういち》はやはり兄弟に見える。
「そうよ。飯倉さんは、あたしが一番話を聞きたい人だけど? これ、他《ほか》の人に言わないでよ」
「雛咲《ひなさき》に聞いた時は、飯倉先輩の名前を出したんですね」
これは引っかけ問題かしらね、と彼女は思う。実際は裕生に質問した時と同じように、遠回しに言っただけだった。
「違うわよ」
「じゃあ、雛咲は言わなくても気がついたんだ。ぼくと違って」
独《ひと》り言のように裕生は呟《つぶや》く。正解です、と心の中で彼女は言った。
「田島《たじま》さんと川相《かわい》さんっていう人も、カンニングと関係があるんですよね」
初めて彼女は虚《きょ》を突かれた。裕生の口からその名前が出てくるとは思わなかったのだ。
「どうしてその子たちを知ってるの?」
「ありがとうございました!」
彼は踵《きびす》を返して、走り出した。彼女はぼんやりとその後ろ姿を見送る。
「……一体なにしに来たの?」
と、彼女は呟いた。
 裕生は旧校舎の廊下《ろうか》を走っていた。志乃《しの》の教室へ向かうつもりだった。
(雛咲は、ぼくが飯倉先輩から聞いたと思ったんだ)
葉《よう》がなにをしているのか、裕生には分からない。ただ、次になにかが起こるのは志乃だという気がする。
「……ですか?」
裕生が慌てて立ち止まった時には、部室の前を通り過ぎて、階段を踊り場近くまで降りかけていた。夢中で走っていたので、もう少しで行ってしまうところだったが、確かに今葉の声が聞こえた気がした。
部室の中からだったと思う。突然、がらりとドアが開いて、青ざめた顔の志乃が飛び出してきた。そして、階段の途中に立っている裕生《ひろお》に気づく。
「……裕生くん」
志乃《しの》は口の中で呟《つぶや》いた。
「待って下さい!」
部室の方から葉《よう》の声が聞こえた。
志乃は猛然と階段を駆《か》け下りてきた。裕生の脇《わき》をすりぬけようとした瞬間《しゅんかん》に、彼はその腕をつかまえた。
「柿崎《かきざき》先生から、話を聞きました。英語のテストのこと」
と、裕生は素早《すばや》く言った。ぎょっとしたように志乃が顔を上げる。一瞬の間《ま》を置いて、彼女は裕生の耳元に囁《ささや》いた。
「後で連絡するから」
そして裕生の手を振り払うと、走り去っていった。志乃を追ってきたらしい葉が階段の上に現れた。
「雛咲《ひなさき》」
彼女は階段の上に立ちすくんだが、気を取り直したように裕生をにらみつける。
「邪魔《じゃま》しないでって言ったでしょう」
と、低い声で呟いた。しかし、裕生が一歩階段を上がると、彼女は一歩遠ざかった。
「団地のゴミ捨て場に、卵みたいなものがあった」
裕生の静かな声が、人気《ひとけ》のない階段に響《ひび》いた。
「雛咲が捨てたんだね」
「……わたしは」
彼女の声が震《ふる》える。その言葉の続きを口にすることができないようだった——だから彼女の代わりに、裕生が言った。
「雛咲は『カゲヌシ』にとりつかれてるの?」
 突然、葉はくるりと方向を変えて、廊下《ろうか》を走り出した。いきなり背を向けるとは思っていなかった裕生は、虚《きょ》を突かれて反応が遅れた。慌てて階段を駆け上がった時には、もう廊下に葉の姿は見えなかった。
やはり間違っていなかったのだと裕生は思った。本当にどこかから怪物がやってきて、それが人間にとりついているのだ。
裕生はしばらくその場に立ち尽くしていた——方法は分からない。しかし、すべきことは一つだった。彼は制服のポケットから携帯《けいたい》を出した。
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