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シャドウテイカー アブサロム10

时间: 2020-03-27    进入日语论坛
核心提示:2 玉置《たまき》梨奈《りな》が出て行ってから、雄一《ゆういち》はため息をついた。ソファから立ち上がって窓の外を眺めた。
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 玉置《たまき》梨奈《りな》が出て行ってから、雄一《ゆういち》はため息をついた。ソファから立ち上がって窓の外を眺めた。
午前の講義《こうぎ》が終わって、学生たちが大勢歩いている。彼のいる教授棟からは大学の正門が見える。数人の職員《しょくいん》が集まって、門柱を指差しながらなにか相談《そうだん》しているようだ。雄一は裏門から入ってきたので見ていないが、なにかあったのかもしれない。
はた目からは分かりにくかったが、雄一は昨日の晩から落ち込んでいた。「親」という言葉にも過剰《かじょう》に反応してしまった——悪いことをした。
雄一はちらりと自分の右手を見下ろす。昨日父親を殴《なぐ》ってしまった手だった。確かに吾郎《ごろう》のせいで葉《よう》の話はできなくなってしまったが、だからといって無抵抗の人間を殴っていい理由にはならない。吾郎にも悪気《わるぎ》があったわけではないし、そもそも連れて行った自分の読みが甘かった気がする。
(今度は俺《おれ》だけであの店に行ってみっか)
と、彼が思いかけた時、携帯の着メロが鳴った。誰《だれ》からかかってきたのか、確《たし》かめもせずに手探りで携帯をポケットから出して、
「あい」
と、力のない声で答える。
『……こんにちは』
涼しげな女性の声が聞こえたとたん、びしっと雄一の背中が伸びた。
「おー。西尾《にしお》か」
電話の相手は西尾|夕紀《ゆき》——雄一の高校時代の後輩《こうはい》だった。
「どした?」
『わたし、午後から休講になっちゃったんですけど、一緒《いっしょ》にお昼食べませんか』
今までの憂鬱《ゆううつ》がどこかに吹き飛んだ気がした。夕紀は東桜《とうおう》大学からさほど離《はな》れていない女子大に通っているのだが、先月から二人は付き合っていた。授業がない時は必ずと言っていいほど、連絡を取り合ってデートしている。
「別に構わねーよ。俺も午後は授業ねえから」
『よかった。ほんとはもう駅まで来てるんです』
東桜大学は新宿《しんじゅく》からJRで一駅のところにある。すぐに行く、と言いかけて、雄一は自分が「師匠《ししょう》」から留守番を言いつかっていることを思い出した。
「あー、でも、ちょっとまだ出られねんだよ。すぐに行けると思うんだけど」
雄一《ゆういち》は窓の外を見ながら考える。
「じゃあ、こないだ行った喫茶店あんだろ。駅のそばの。あそこで待っててくれ」
『分かりました。じゃあ、後で』
電話が切れる。ほとんど同時にドアが開いて、きちんとスーツを着込んだ白髪の初老の男が顔を出した。手にぶら下げている弁当屋の袋が不似合いだった。
「お、師匠《ししょう》。お帰んなさい」
雄一は立ち上がる。「師匠」という珍奇な呼び名にも気に留めた様子《ようす》もなく、男——丸橋《まるはし》教授は穏《おだ》やかに笑顔《えがお》を返した。
「留守番ありがとう。悪かったね。休講《きゅうこう》なのに足止めして」
温厚な紳士然《しんしぜん》とした丸橋と、雄一の組み合わせはいかにも奇妙だったが、二人はあまり気にしていない。
「いや、いいッスよ。あ、これさっきタマキ……さんから」
雄一は梨奈《りな》から預かったレポートを渡す。
「ありがとう……そういえば、君がまとめた加賀見《かがみ》市の『カゲヌシ』伝説のレポートね」
そう言いながら、丸橋はぽんぽんと雄一の肩を叩《たた》いた。
「いやあ、よく短い期間であそこまで集めたねえ。理論的にはちょっと問題あるけど、フィールドワークとしては努力|賞《しょう》かな」
にやっと雄一は笑った。先月、雄一は「影《かげ》を乗っ取って、人間を食ってしまう怪物」をめぐる都市伝説を調査《ちょうさ》するために実家のある加賀見市に戻っていた。全国に広まっているが、関東では主に「カゲヌシ」と呼ばれている。雄一たちにとっては、「カゲヌシ」は興味深《きょうみぶか》い「噂《うわさ》話」でしかない。
「あのレポート、どこらへんがまずかったっスかね」
「『カゲヌシ』の語源を『影踏《かげふ》み』の地方方言としていたけど、必ずしもそうとは限らないんじゃないかな。その方言が使われていない地域でも『カゲヌシ』という呼び名が使われているようだからね。もっとも、この都市伝説そのものが加賀見から派生した可能性もなくはないが……」
神妙な顔つきで雄一は頷《うなず》く。丸橋は彼にとって文字通り信頼できる「師匠」だった。
「そういえば、『黄色いレインコート』の噂は聞かなかったかね?」
「なんスか、それ」
「他県での『カゲヌシ』伝説の調査結果に出てきたんだけどね、比較的低|年齢《ねんれい》の子供たちの間で広まっているらしいんだけど、『カゲヌシ』の居場所を教えてくれる者の噂なんだ。いつも黄色いレインコートを着ていて、顔は絶対に分からないとか」
雄一は首をひねる。彼が調査対象にしていたのは主に中学生や高校生だった。小学生にはほとんど聞いていない。
「……いや、聞いてないっスね。今度|調《しら》べときますよ。どうせ夏休みにまた加賀見《かがみ》に戻るんで」
ちらりと雄一《ゆういち》は時計を見る。あまり夕紀《ゆき》を待たせたくなかった。
「そんじゃ、失礼します」
と、急いで廊下に出る。もう頭の中にあるのは彼女のことだけだった。今すぐ行く、と電話するつもりだったが、携帯の電源が入らなかった。どうやらバッテリーが切れているらしい。そういえばこのところ充電するのを忘れていた。
(まあ、いいか)
待ち合わせ場所は決まっている。雄一はエレベーターに向かって歩いていった。
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