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シャドウテイカー アブサロム14

时间: 2020-03-27    进入日语论坛
核心提示:6 ボルガは「黒の彼方《かなた》」と同じぐらいの大きさだった。どことなく人を和《なご》ませる外見は、人を食うカゲヌシには
(单词翻译:双击或拖选)
 ボルガは「黒の彼方《かなた》」と同じぐらいの大きさだった。どことなく人を和《なご》ませる外見は、人を食うカゲヌシにはとても見えない。しかし、外見の印象とは裏腹に、鳥は俊敏に動いた。両翼《りょうよく》で力強く空気を叩《たた》き、一気に垂直に上昇する——茜《あかね》の頭上で一瞬《いっしゅん》だけ静止し、まっすぐに裕生《ひろお》に向かって襲《おそ》いかかってきた。
(危ない)
葉《よう》は裕生を庇《かば》うように立ち、「ボルガ」と呼ばれるカゲヌシと向かい合う。彼女の唇がほとんど無意識《むいしき》に言葉を形づくった。
「……黒の彼方《かなた》」
彼女の意識が境界を失い、分離《ぶんり》していたもう一つの意識が流れこんでくる。それと同時に彼女の影が濃《こ》くなった。そして、その中から大きな双頭の黒犬《くろいぬ》が姿を現す。二つの首のうち、左側は目を閉じて完全に首を折っている。「黒の彼方」は右の首だけで咆哮《ほうこう》しながら地面を蹴《け》り、獲物《えもの》に飛びつく猟犬のように空中のボルガに牙《きば》を剥《む》いた。
しかし青い鳥は二枚の翼《つばさ》を大きく動かして空中で向きを変える。身をよじるようにして「黒の彼方」の攻撃《こうげき》を避《よ》けると、空中を大きく旋回して茜のところまで戻った。
「『契約者』はあんたの方だったんだね」
茜は葉に向かって言った。
「もうちょっとで騙《だま》されるとこだったよ。あんたみたいな女の子が、あんなことしたなんて」
「……待って」
と、葉は言う。間違いなくなにか誤解されている。この天内《あまうち》茜は自分たちに恨みを抱いているらしい。しかし、葉《よう》には「あんなこと」と言われるような心当たりはない。
「話を聞い……」
しかし、その言葉は途切《とぎ》れた。攻撃《こうげき》されたからではなく、「黒の彼方《かなた》」が茜《あかね》に向かって走り出したからだ。葉ははっと我に返る。先月、ヒトリムシと戦った時も、「黒の彼方」は契約者である志乃《しの》を狙《ねら》おうとしていた。
(待って!)
彼女は黒犬《くろいぬ》に必死に呼びかける。がくんとつんのめるように怪物は停止した。行動を邪魔《じゃま》された黒犬の怒りが葉の中に流れこむ。葉の意識《いしき》は一瞬《いっしゅん》のうちにその感情に塗りつぶされそうになる。彼女はぎゅっと目を閉じて、その感情の奔流《ほんりゅう》に耐えた。
その隙《すき》を突いて、ボルガが「黒の彼方」に襲《おそ》いかかる。眠っている首に前脚が振り下ろされる。「黒の彼方」も大きく顎《あご》を開いて反撃する。爪《つめ》と牙《きば》の一瞬の交錯《こうさく》の後で、二匹の怪物はそれぞれの主人の傍《かたわ》らに侍《はべ》った。
「黒の彼方」の左側の額《ひたい》がぱっくり割れていた。葉は痛みに顔をゆがめながら、顔の片側をおさえる。彼女自身が直接傷を負うわけではないが、カゲヌシとは五感を共有している。
しかし、ボルガの方も無事ではなかった。腹のあたりに食いちぎられたような傷が開いていた。
「いったー」
茜《あかね》が自分の腹を押さえながら言った。葉は再び身構えたが、ボルガは襲ってこなかった。茜は目を細めて、葉と「黒の彼方」を見比べている。
「その犬って見た目強そうだけど、うまくコントロールできてないでしょ。さっきもあたしらが近づいてきたのに、全然気がついてなかったよね」
葉の背筋が冷たくなった。この相手はヒトリムシよりも手ごわい。ほんのわずかな間でもうこちらの弱点を見抜いてしまった。
「まあ、その犬がどんなワザ持ってるか分かんないけど、時間もかけらんないし」
「黒の彼方」には空気の振動によって敵《てき》を攻撃する武器がある。それを使えば空中にいるボルガにダメージを与えることもできるが、振動の範囲《はんい》にいる者に無差別に被害を与えてしまう。人間である「契約者」が近くにいれば使うわけには行かない。
「……そろそろ本気出そうかな」
葉の全身に緊張《きんちょう》が走る。その時、裕生《ひろお》が二人の間に割って入った。
「すいません、ちょっと」
茜が裕生に視線を移す。「黒の彼方」が再び動こうとする。注意の逸《そ》れた隙《すき》を突くつもりなのだ。しかし、葉は歯を食いしばってそれを押しとどめた。自分よりも裕生がボルガに近い場所にいる。戦いになれば彼を巻きこむかもしれない。
「あの、ほんとに分からないんですけど」
「ううん。君は分かんなくてもその子は分かってると思うよ。それとも君も共犯?」
「そうじゃなくて」
「だから聞くってば。致命傷与えたら」
うんざりしたように茜《あかね》は言い、ボルガが翼《つばさ》を動かした。葉《よう》も覚悟を決めた。とにかく、この鳥を倒すことが先決だ。その後で話を聞けばいい。
「雛咲《ひなさき》、まだ待って」
葉が身構えた気配《けはい》を感じたのか、裕生《ひろお》が振り向いて言った。
「なんの話だか分からないけど、雛咲に関係ないと思います。ぼくたちはカゲヌシにとりつかれてる人を助けに来たんです」
「あたしみたいな人ってこと?」
裕生は頷《うなず》いた。ボルガの動きが止まり、茜は眉《まゆ》を寄せて考えこんだ。
「うーん……じゃあ、ちょっと君に聞きたいことあるんだけど」
「少しはこっちの話を……」
「すぐ済むからさ」
茜は屋上をまっすぐに横切って、鉄製の大きな直方体の前に立つ。そこから校舎に向かって太いパイプが何本も伸びている。
「これ、なんて言うんだっけ」
「給水タンク……かな」
「やっぱりそうだよね。ってことは」
と、彼女は嬉《うれ》しそうに言った。
「この中、水だよね」
その瞬間《しゅんかん》、青い鳥がタンクの上に飛び、爪《つめ》の生《は》えた肢《あし》で器用に丸い蓋《ふた》を跳ね飛ばした。重いはずの蓋が放物線を描いて、フェンスの向こうへ落ちていった。ずっと下の方から誰《だれ》かの悲鳴が上がる。葉は手すりに走っていって、思わず校舎の下を見た——中庭の灌木《かんぼく》に蓋が引っかかっている。
悲鳴を上げたのは、すぐそばのベンチに座っていた女子学生のようだった。誰も怪我《けが》はしなかったらしいが、誰かに当たっていたら確実《かくじつ》に死んでいた。
「なにするんですか!」
葉は茜に向き直って言った。
「大丈夫だって。人に当てるようなドジはしないよ」
茜はひらひらと手を振った。ボルガは給水タンクの上に止まったままだった。
「ボルガはねー、近くにある水を操《あやつ》る力があるんだよ。水を集めて飛ばしたりとか」
葉は黒犬《くろいぬ》を自分たちの前に立たせる。もし、ボルガが水の奔流《ほんりゅう》を武器として使うのであれば、防ぐ方法はそれしかない。
「あ、なにを警戒《けいかい》してるのか分かるけど、それ間違いだから」
葉《よう》ははっとした。ボルガが開けたタンクの入り口から、白い煙《けむり》のようなものが流れ出している。
「正解はこれです!」
まるで爆発《ばくはつ》するように、タンクから白い塊《かたまり》がどっと噴《ふ》き出した。その塊は乳白色の津波となって瞬時《しゅんじ》に葉たちに迫り、逃げ出す間も与えずに彼女たちを呑《の》みこんでいった。
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