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シャドウテイカー アブサロム20

时间: 2020-03-27    进入日语论坛
核心提示:2「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていません」裕生《ひろお》はため息をつきながら携帯をしま
(单词翻译:双击或拖选)
「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていません」
裕生《ひろお》はため息をつきながら携帯をしまった。
(こういう時に限って)
雄一《ゆういち》の携帯には繋《つな》がらなかった。一応メッセージを残しておいたが、あの兄のことだ。いつ聞くか分かったものではない。
裕生は新大久保《しんおおくぼ》の駅のすぐそばにいる。夜になってから人通りも増えてきたが、聞こえてくるのは日本語だけではなかった。このあたりは外国人が多く住んでいるらしい。ガード下にぼんやり立っている裕生を、人々がちらちら見ながら通りすぎていく。
(どうしよう)
兄のアパートは確《たし》か中野《なかの》にあると聞いているが、住所までは知らない。本当は今夜は一度|加賀見《かがみ》まで帰って、明日また出直した方がいいのだろう。しかし、裕生は大学で会ったあの天内《あまうち》茜《あかね》が気になっていた。勘違いだと納得《なっとく》して去っていったが、いかにも思い込みが激《はげ》しそうだった。もう一度気が変わって、葉《よう》を襲《おそ》わないとも限らない。そもそも、裕生は彼女がどうして東桜《とうおう》大学にいたのか、まったく知らないのだ。
葉はまだ眠っているはずだった。あの「喜嶋《きじま》バー」からあまり離《はな》れるわけにはいかない。裕生がガード下から出ようとした時、頬《ほお》に冷たいものが当たった。
「……雨だ」
ますますいやな気持ちになった。どこで一晩を過ごすかはともかく、コンビニでカサぐらい買った方がいいかもしれない、と思った時、突然頭の上にビニールのカサが差しかけられた。
「え?」
裕生が振り返ると、見覚えのある顔がにこにこ笑っていた。
「ねえ、なにやってんの」
傘を持っているのは、天内茜だった。
「ふーん、じゃああたしより一コ下か」
タクシーの中で茜《あかね》が言った。裕生《ひろお》はまじまじと彼女を見る。明るい色のくるくるカールの長い髪の下にはピアスが見える。裕生のまわりにはあまりいない派手《はで》なタイプの女の子だった。自分と一歳しか違わないようには見えない。
「これってどこに向かってるの」
裕生は行き先がどこなのか知らなかった。喜嶋《きじま》バーを追い出されたことを説明すると、「じゃあ、ついてきて」と、タクシーに乗せられたのだった。ついていくのは危険な気もしたが、彼女から色々と聞きたいこともあった。窓の外を見ている限りでは、タクシーはどこかの住宅地へ入ろうとしている。
「それより、どうしてあたしがあそこにいたか聞かないの?」
「ぼくたちを追いかけて来たんだろ」
葉《よう》はカゲヌシの気配《けはい》を発しているはずだ。自分たちには気づかれずに後を追うのはさほど難《むずか》しくない。
「まあね。話も途中だったしさ。でも、変に近づいたらまた飛びかかってくるかもしれないし。どうしようかなーって思ってたら、君が店から出てきたの」
茜は裕生の顔を横目で見ながら微笑《ほほえ》んだ。カゲヌシに意識《いしき》を乗っ取られているわけではなさそうだった。しかし、カゲヌシは人間を食って成長する怪物であり、油断はできないと思った。
「天内《あまうち》さんは」
「茜《あかね》でいいよ」
「……天内さんは、なんであそこにいたの」
どこまで信用していいのか、まだ分からない。なにしろ自分たちを殺そうとした人間なのだ。茜は身を乗り出して、裕生《ひろお》に顔を寄せた。透《す》けるような白い肌から、かすかに香水の匂《にお》いがする。
「言ったでしょ。あたしの家族を殺したヤツを探しに来たんだよ。そいつも多分《たぶん》、カゲヌシとの契約者なの」
感情のない低い声で茜は呟《つぶや》いた。
「二ヶ月ぐらい前、中学生の女の子が殺されたの知らない?」
裕生は頷《うなず》いた。昨日ニュースで見たばかりだった。両親が行方《ゆくえ》不明になっていたとは聞いたが、被害者に姉がいたという話は初耳だった。
裕生が黙《だま》っていると、彼女はバッグを開けて、一枚の紙を差し出した。ファックスの用紙らしい。暗い車内で目を凝《こ》らすと、下手《へた》な文字が次々と流れていく街路灯の光に浮かび上がった。
「お前の家族を皆殺しにした者は、東桜《とうおう》大学にいる」
 子供が書いたような字だった。いや、大人《おとな》でも左手で書けばこうなるかもしれない。
「昨日の晩、それがうちに来たの」
と、茜は言った。
「誰《だれ》から?」
裕生も茜に顔を近づけた。
「犯人でしょ」
と、彼女はあっさり言った。
「家族がみんな死んだこと知ってるの、あたしと犯人だけだもの」
「……両親は行方不明ってニュースでは言ってたけど」
茜の顔がかすかに歪《ゆが》んだ。
「後で詳しく話すけど、あたしは父さんと母さんが死んでるところを見たの。でも気がついたら、二人ともいなくなってた……多分、犯人のカゲヌシが食べたんだと思う。残ってたのは妹だけだった」
「……このマークは? 東桜大学の門にも、同じマークがあったけど」
「それは分かんない。でも、これもカゲヌシに関係したことだと思うよ。こういうマークがある場所には、カゲヌシがいるってことなんだよ、きっと」
「あ、ここで停《と》めて」
茜《あかね》が運転手に言う。停止したタクシーから外へ出ると、マンションの入り口だった。
「……ここは?」
裕生《ひろお》は料金を払って降りてきた茜に尋ねる。
「あたしんち」
と、彼女は言った。
「泊まるとこないんでしょ。うちに泊めてあげるよ」
タクシーが走り去る。裕生は呆然《ぼうぜん》と立ち尽くしていた。
「気にしなくていいよ。あたしとボルガしかいないし」
むしろそれは気にしなければならないと思う。そういえば、昨日も似たようなことがあった気がする——しかも、相手は両方ともカゲヌシの契約者の女の子だった。
「ちょっとそんな……」
「あ、そうだ。いいもの見せてあげる」
茜は裕生の話を最後まで聞かずに、裕生の腕を引っ張っていく。そして、入り口の自動ドアのガラスの隅《すみ》を指差した。
「これって……」
裕生は目を瞠《みは》った。奇妙なマークが白いスプレーで落書きされていた。丸の中に正三角形が一つ描かれている。東桜《とうおう》大学の校門に描かれていたものと形は違うが、大きさはだいたい同じだった。
「何度消しても、いつのまにかまた描《か》かれてるんだって」
と、茜は言った。
「多分《たぶん》、これがあたしとボルガがここにいるっていうマークなんだよ。誰《だれ》がつけたのか知らないけど」
カゲヌシの居場所が分かるということは、このマークをつけた者もカゲヌシにとりつかれた人間に違いない。しかし、カゲヌシの契約者がこんなマークをつける意味はない気がする。カゲヌシ同士では居場所を察知することができる。むしろ、人間に対する警告《けいこく》に思えた。
「どうしたの? 入るよ」
茜は自動ドアの前に立っている。裕生は慌《あわ》ててその後を追った。
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