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シャドウテイカー アブサロム43

时间: 2020-03-27    进入日语论坛
核心提示: すでに深夜近くになっている。ツネコは相変わらず「喜嶋《きじま》バー」のカウンターで考え事をしていた。そして、突然ぽつり
(单词翻译:双击或拖选)
  すでに深夜近くになっている。ツネコは相変わらず「喜嶋《きじま》バー」のカウンターで考え事をしていた。そして、突然ぽつりと呟《つぶや》いた。
「……親子三人、揃《そろ》いも揃って似たようなこと言って」
ツネコが暗がりの中で一人で苦笑いを浮かべていると、
「あの」
不意に声をかけられて、飛び上がりそうになった。いつのまにか階段を降りてきた裕生が、店の中を覗《のぞ》きこんでいる。
「どうかしたの?」
「あの、水|貰《もら》ってもいいですか」
「なんか飲みたいんだったら、そこの冷蔵庫にウーロン茶入ってるわよ」
「ありがとうございます」
そのまま、裕生の顔が引っ込もうとする。
「『人助け』はうまく行ったの?」
彼の動きがぴたりと止まった。立ったまま眠っているのかと疑いたくなるほどの沈黙《ちんもく》の後で、裕生は呟いた
「……分かりません」
暗がりの中でどんな表情をしているのかは分からなかった。しかし、頼りないその声は、むしろ助けられるべきなのは裕生たちの方ではないかと思わせた。確《たし》かに二人の身になにか大変なことが起こっているかもしれないと思う。だからこそ、二人は身を寄せ合うように一緒《いっしょ》にいようとしているのではないか。
「……まあ、あんたたちの気の済むようにやんなさい」
「すいません」
裕生はぺこりと頭を下げた。それから、おずおずと付け加えた。
「あの、葉《よう》にも飲むもの持っていっていいですか? 喉《のど》渇いてるみたいだけど、起きるの辛《つら》そうだったから」
「好きになさい」
もう一度軽い会釈《えしゃく》をした後《あと》で、今度こそ彼はキッチンへ姿を消した。
(名前で呼んでたかしら)
自信はないが、昨日二人が店に来た時は「葉」ではなく「雛咲《ひなさき》」だった気がする。まあ、どちらでもいいことだが。
「ちょっといい?」
と、ツネコは声をかける。慌《あわ》てたように冷蔵庫を閉める音が聞こえ、再び裕生《ひろお》が顔を出した。
「はい」
「あのね、あの子のことなんだけど」
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