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シャドウテイカー フェイクアウト05

时间: 2020-03-29    进入日语论坛
核心提示:4 深夜。窓から月の光が射《さ》しこんでいる。葉《よう》は布団の中で起き上がると、自分の手を見下ろす。(わたしは雛咲《ひ
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 深夜。窓から月の光が射《さ》しこんでいる。
葉《よう》は布団の中で起き上がると、自分の手を見下ろす。
(わたしは雛咲《ひなさき》葉)
彼女は心の中でつぶやき、天井《てんじょう》を見上げる。
(ここは加賀見《かがみ》団地の藤牧《ふじまき》さんのうち。今わたしが住んでるところ)
自分の記憶《きおく》がおかしいと思い始めてから、彼女は目覚めると自分がどういう人間であり、どういう状況にあるかを自問するくせがついていた。眠っている間に、日常生活に支障をきたすようなことを忘れているのが怖かったからだ。
(今は八月三日の夜。夏休み。わたしは加賀見高校の一年三組。昨日は登校日だった……)
今のところ、自分自身については特に忘れていることはない。彼女自身を一冊の本だとするなら、そのうちの何ページかが破りとられている程度——今のところは。
それでも、昼間よりも少し落ち着いた気持ちだった。裕生《ひろお》になにもかも話すことができたからだろう。裕生が言った通り、本当はもっと早く言うべきだったと思う。それでも、優《やさ》しい裕生がもっと自分のために悩むのは嫌《いや》だったけれど。
(わたしは二ヶ月前から「カゲヌシ」に取りつかれてる。わたしの中にいるのは……黒の彼方《かなた》)
その名前を思い浮かべた瞬間《しゅんかん》、彼女の胸がずきりと痛んだ。裕生《ひろお》が書いた「くろのかなた」の内容をはっきり思い出せなくなったのが、なによりも辛《つら》かった。
前半はともかく、後半はよく分からない。時々、彼女は自分の部屋に隠《かく》してある裕生のノートを読んでいる。それでも元のように完全に憶《おぼ》えるのは難《むずか》しい。「忘れていく」というよりは、「憶《おぼ》えにくい」状況になっているのかもしれない。今のところ失われているのは、昔のことよりも最近の記憶《きおく》が多い気がする。
ふと、かすかな物音を聞いた。
(今のは窓のひらく音)
葉《よう》は立ち上がって部屋を出た。
(今は夜。わたしが歩いているのは廊下)
そう自分に言い聞かせながら、暗い居間に入った。そこには誰《だれ》もいない。
奥の和室へ通じるふすまはぴたりと閉まっていた。
(あそこは雄一《ゆういち》さんと吾郎《ごろう》おじさんが寝てる部屋)
彼女は暗がりに目が慣《な》れるのを待って、ゆっくりと部屋の中を見回していった。
(あれはテレビ。あれはテーブル。あれは窓)
あれは——。
「……裕生ちゃん」
彼女は初めて声に出してつぶやいた。
窓の外のベランダに、パジャマ姿の裕生が立っていた。彼女は窓に近づこうとして、ぎくりと足を止めた。
裕生はベランダの柵《さく》にもたれて、彼女の方に横顔《よこがお》を向けている。今まで見たことがないような思いつめた目つきだった。ひどく怒っているようにも、今にも泣き出しそうにも見える。葉の胸のあたりがひやりと冷たくなった。
(……裕生ちゃん?)
その時、部屋を振り返った裕生が、葉の姿に気づいた。彼の顔に穏《おだ》やかな笑《え》みが広がる。彼女は安心して窓へ近づいていった。
「どうしたの?」
ベランダへ出た葉に、彼が言った。こうして間近で見るといつもの裕生だった。さっきは見間違えたのかもしれないと彼女は思う。
「ちょっと目が覚めたんです……先輩《せんぱい》はなにしてるんですか」
彼の隣《となり》に並びながら葉は尋《たず》ねた。
「……ぼくもちょっと目が覚めたから」
裕生は満月から少し欠け始めた月を見ている。もうすぐ夜が明ける時間だった。新聞配達らしいバイクの音が団地のどこかから聞こえる。
夏にしてはひんやりとした風が、二人の髪をかすかに揺《ゆ》すっていった。
こんな時間はいつまで続くんだろう、と彼女は思った。わたしはいつまでこの時のことを憶《おぼ》えていられるだろう。
わたしがわたしでいられるのは、いつまでだろう。
「葉《よう》」
裕生《ひろお》が口をひらいた。
「ぼくはただの人間だ」
葉は彼の顔を見上げる。相変わらず、彼は月を見上げていた。
「人間に力はない。でも、力がなかったら……」
彼の言葉がとぎれる。一瞬《いっしゅん》、さっきと同じ暗い影《かげ》が顔をよぎり、すぐ元の表情に戻った。なんだろう、と葉は思った。
「……ぼくは葉を助けるよ」
裕生は彼女に笑顔《えがお》を向ける。
戸惑《とまど》いながら、葉はこくりとうなずいた。
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