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シャドウテイカー フェイクアウト23

时间: 2020-03-29    进入日语论坛
核心提示:5 裕生は重苦しい気分で玄関の戸を開けた。家の中は静まりかえっている。「ただいま」答えはなかった。葉の姿を捜《さが》した
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 裕生は重苦しい気分で玄関の戸を開けた。家の中は静まりかえっている。
「ただいま」
答えはなかった。葉の姿を捜《さが》したが、彼女が使っている部屋にもキッチンにもいない。居間のクーラーは点《つ》けっぱなしだった。
(どこに行ったんだろう)
裕生は居間の真ん中に立ちすくんだ。まだ体の調子《ちょうし》もよくないはずだし、そうでなくともどこかへ出かけるはずがないのだが。
何気《なにげ》なく窓の外を見る——葉がベランダに立っていた。普段《ふだん》家で着ているブラウスとジーンズに着替えている。ほっと安堵《あんど》の息を洩《も》らしながら窓を開けると、葉が振りかえった。
「ただいま」
「……お帰りなさい」
嬉《うれ》しそうに葉が微笑《ほほえ》んだ。
「具合は?」
「もう大丈夫だと思います」
裕生《ひろお》は葉《よう》の顔を覗《のぞ》きこんだ。朝に比べると、顔色はだいぶよくなっていた。
「先輩《せんぱい》はどうでした?」
「え?」
一瞬《いっしゅん》、裕生は虚《きょ》を衝《つ》かれたが、すぐに「蜥蜴《とかげ》のカゲヌシについて調《しら》べにいく」と言って団地を出たことを思い出した。
「うん……あの時間神社にいたことが分かってる人は、全員カゲヌシとは関係ないみたいだった。でも、神社は自由に人が出入りできるし、契約者がたまたまあそこに見物に来てて、葉に気が付いたんだと思う」
口が重くなるのを我慢《がまん》しながら裕生は言った。今は本当のことを教えるわけにはいかなかった。
「そうですか……」
葉はベランダの外を見た。曇《くも》り空の下に見慣《みな》れた町並みが広がっている。ずっと先の方にぽつんと緑に覆《おお》われた鶴亀山《つるきやま》が見えた。
(明日のこと言わなきゃ)
裕生は自分に言い聞かせた。彼女を明日の祭りに連れていかなければならない。しかし彼が口を開く前に、
「あの、先輩」
おずおずと葉が言った。
「わたしのこと、怒ってますか?」
「えっ?」
裕生は目を瞬《またた》いた。思いも寄らない言葉だった。
「記憶《きおく》がなくなってること、わたしがなかなか話さなかったから」
「怒ってないよ。なんでそんなこと考えるの」
正直なところ、怒りの気持ちがないわけではない——ただしその対象は葉ではなく、彼女に取りついた「黒の彼方《かなた》」であり、呑気《のんき》に構えていた自分自身だった。
「最近、先輩がわたしになにか隠《かく》してる気がして」
裕生ははっと胸を衝かれたが、表情は変えなかった。
「そんなことないよ。葉には隠し事なんかしない」
「本当ですか?」
明日までの辛抱《しんぼう》だと裕生は思った。明日、うまく「黒の彼方」を倒すことができれば、ちゃんと説明して謝《あやま》ることができる。それまでは隠さなければならない。それは自分でも納得《なっとく》したつもりだったのだが。
「……うん。本当だよ」
葉は安心したように両手を胸に当てた。
「よかった。なんだか先輩《せんぱい》が変だったから、どうしても聞きたかったの」
「……」
彼女の笑顔《えがお》を見ていると、例の話を持ちかける勇気は湧《わ》いて来なかった。
「そういえば、今朝《けさ》はごめんなさい」
と、葉《よう》が言った。
「え?」
「わたし、寝てて作らなかったから。おじさんたち、ご飯はどうしたんですか」
「ああ、ぼくが適当に作って食べさせたよ……って、それ午前中も」
言ったと思うけど、という言葉を裕生《ひろお》はぎりぎりのところで呑《の》みこんだ。胸のあたりに冷たいものを押しつけられた気分だった。
(時間がないんだ)
ためらっている暇《ひま》はない。茜《あかね》の話を聞いた限りでは、カゲヌシが消えても記憶《きおく》が戻るわけではない。裕生にできることと言えば、これ以上症状が進まないうちに「黒の彼方《かなた》」を倒すことだけだ。
裕生は覚悟を決めた。
「あのさ、葉。実は話があるんだけど——」
 その日の夕方。バイトを終えたみちるは、鳥居《とりい》をくぐって神社の外へ出た。今日で仕事は終わりで、宮司《ぐうじ》の来山《きやま》からバイト代も受け取っている。彼女だけではなく、葉の分も一緒《いっしょ》に貰《もら》っていた。「一応、働いてもらったし、少しだけど彼女にも渡して下さい」と、来山に頼まれたのだった。
みちるは暗い気持ちで考える——多分、明日には葉に会うはずだ。その時に渡せばいいだろう。
神社は鶴亀山《つるきやま》の中腹にあり、鳥居の先はアスファルトのなだらかな坂道になっている。歩道を歩いていくみちるの目に、二台の大型のタンクローリーが列を作って神社に向かって上って来るのが見えた。
轟音《ごうおん》を立てながらすれ違う大型車を、みちるは首をかしげながら見送った。この道の先には鶴亀神社と鶴亀山公園しかないはずだ。どちらもあんな車に関係のある場所とは思えない。どこへ行くのか見届けようと思った時、肩から下《さ》げたバッグの中の携帯が鳴っていることに気づいた。
タンクローリーのことを忘れて、みちるは慌《あわ》てて携帯を出した——裕生の自宅からの電話だった。
「あ、藤牧《ふじまき》?」
つながってすぐに話しかけると、沈黙《らんもく》が流れた。なんだろう、と思っていると、
『……あの、雛咲《ひなさき》です』
妙にくぐもった声が聞こえた。一瞬《いっしゅん》、みちるは唇《くちびる》を噛《か》みしめた。
「ごめんごめん。藤牧《ふじまき》んちの電話番号だったから……体、大丈夫?」
『はい。もう大丈夫です……その、昨日のことは……』
みちるは思わずぎゅっと携帯を握りしめる。あの龍子主《たつこぬし》のことを言っているに違いない。
「うん……まあ、びっくりしたけど、正直あたしもびっくりしてたからよく憶《おぼ》えてないんだよね。藤牧は色々事情があるって言ってたし、あたしもああいうことに係《かか》わりたくないし。とにかく、誰《だれ》にも言わないから安心して」
『……』
その説明で葉《よう》が納得《なっとく》するかどうかは分からなかった。本来の西尾《にしお》みちるなら、目の前で起こった出来事に、こんな風に無関係を装《よそお》うことはないはずである。嘘《うそ》と分かっていても不愉快《ふゆかい》だった。
「あ、用事ってそのこと?」
あまりそれについては話したくなかったので、みちるは話題を変えた。
『いえ……あの、お祭りのことって聞いてますか?』
みちるは大きく息を吸いこんで、ふうっと吐き出した。確《たし》かにすでに聞かされていた。さっき神社を出る前に、佐貫《さぬき》と電話で話したからだ。むろん、天明《てんめい》との駆《か》け引きがどういうものだったのかも聞いている。
「うん、雛咲さんも誘《さそ》って四人でいこうかって話は聞いたけど。結局どうなったの?」
『わたしもいきます』
「あ、そうなんだ」
『それで……あの……』
さっきから葉が声を低くして喋《しゃべ》っていることに、みちるは気づいていた。多分、裕生《ひろお》に隠《かく》れて電話しているのだろう。ますます気が重くなった。
『……浴衣《ゆかた》、着たいんですけど』
恥《は》ずかしそうに葉は言う。やっぱり、とみちるは思った。ひどくやりきれない気持ちだった。彼女はただお祭りにいこうと誘われたと思って、本当に楽しみにしているのだ。
「うん。いいよ。うちの母さんも喜ぶだろうし」
『ありがとうございます。それで、あの……』
「なに?」
『浴衣のこと、藤牧|先輩《せんぱい》には内緒《ないしょ》にしてもらえますか? ……びっくりさせたいから』
一瞬《いっしゅん》、みちるはなにもかもぶちまけたくなり——どうにかその衝動《しょうどう》をぎゅっと抑えこんだ。
「……うん。分かった」
やっとのことでそれだけ言った。
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