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シャドウテイカー リグル・リグル13

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:2「四年前、船瀬《ふなせ》千晶が加賀見《かがみ》からいなくなった日は、雛咲《ひなさき》さんのお父さんがいなくなった日とま
(单词翻译:双击或拖选)
「四年前、船瀬《ふなせ》千晶が加賀見《かがみ》からいなくなった日は、雛咲《ひなさき》さんのお父さんがいなくなった日とまったく同じなんだってよ」
廊下を歩きながら佐貫が言った。彼は青い患者衣《かんじゃい》を着て、ギプスを首から吊《つ》っている。まだ顔色は悪く、足元も少し頼りなかった。
「船瀬|智和《ともかず》がいなくなったのはその一ヶ月前。父親がいなくなってから、千晶はしばらく一人で生活してたらしい」
「誰《だれ》から聞いたの?」
と、裕生が言った。二人は清史《きよし》の病室に向かっているところだった。
「警察《けいさつ》の人だよ。さっき事情|聴取《ちょうしゅ》に来てさ。聞いたら教えてくれた」
「佐貫の腕を折った『母親』はまだ誰なのか分からないんだよね?」
赤のリグルに操《あやつ》られていた中年の女性も病院に収容されている。清史と違って重傷を負ったせいか、まだ意識は戻っていなかった。
「そっちはまだ調《しら》べてるって言ってたな。まあ、そのうちに分かるんじゃねえか……悪《わり》ィ、ちょっと休んでいいか?」
佐貫《さぬき》は立ち止まって廊下の手すりをつかむ。背中で大きく息をしている。
「やっぱり、佐貫は病室に戻った方がいいんじゃないの? 昨日怪我《きのうけが》したばっかりなんだから」
「いや、体の具合は大丈夫。昨日の晩から飯食ってないだけなんだ……今日《きょう》、午後から腕の手術することになってて」
「え……手術?」
ますます大丈夫ではない気がする。
「無理しちゃダメだよ。ぼくが送っていくから、佐貫は自分の病室に戻った方が」
「俺《おれ》は役立たずか?」
突然、佐貫が言った。あまりにも強い口調《くちょう》だったので、裕生《ひろお》は驚《おどろ》いた。
「俺が大丈夫って言ったら大丈夫なんだよ。ちゃんと考えてるからそんなにムチャもしてない。でも、一緒《いっしょ》に行って役に立たないんだったら、戻っておとなしく寝てやる」
「役に立ってるのは当たり前だよ。でも……」
「じゃ、行くぞ。第一、俺の怪我を心配する前に、雛咲《ひなさき》さんのこと心配しろ。俺の怪我なんかどうせ放っといても治るんだからよ」
さっき葉《よう》と抱き合った時のことが頭をよぎって、裕生は口をつぐんだ。
佐貫はその隙《すき》にさっさと歩き出す。一瞬《いっしゅん》迷ってから裕生はその後を追った。佐貫は葉のことを第一に考えろと言いたいのだと思う——それが佐貫の希望ならそうするべきだと思った。
 清史《きよし》はベッドの中で目を開けていた。病室に入った裕生たちがベッドのそばに立つと、目だけを動かして二人を見上げた。
「……やあ、裕生くんか」
少ししゃがれた声で清史は言った。
「俺のこと、憶《おぼ》えてますか?」
と、佐貫が尋《たず》ねる。清史はしばらく佐貫の顔を注視していたが、やがて首を振った——憶えていないらしい。
「昨日、裕生と俺で会いにいったんスけど」
彼は戸惑《とまど》ったように佐貫を見ているだけだった。この四年間の記憶《きおく》が完全に抜け落ちているというのは本当らしかった。船瀬《ふなせ》智和《ともかず》を名乗っていた時とはまるで別人のように見える。佐貫はポケットから一枚の写真を出して、清史に見せた。あの家でも見せた船瀬親子の写真だった。
「この写真に写っている二人に見覚えはないスか? 特にこの女の子の方なんスけど」
清史は目を細めながら写真の方へ首を曲げた。
「……父親の方は知っている」
「え?」
と、裕生《ひろお》は言った。
「船瀬《ふなせ》智和《ともかず》という男だ。この町にいたわたしの友人の一人で、医者をやっていた」
裕生は写真の船瀬を見る。清史《きよし》は自分の友人のふりをさせられていたことになる。
「彼は産婦人科医でね。もともとはわたしの妻の主治医だった。それが縁《えん》で親しくなったんだ。それが、四年前に家族を残して突然行方不明《ゆくえふめい》になって……」
清史は言葉を切り、自嘲《じちょう》気味に笑った。
「わたしと一緒《いっしょ》だな。その後、彼は帰ってきたか?」
「いえ……行方不明のままみたいです」
「そうか……」
ふと、裕生は昨日《きのう》ツネコが清史から聞いたという話のことを思い出した。
「あの、悪い夢ってなんですか?」
裕生は清史に尋《たず》ねた。清史の表情がかすかにゆがんだ。
「怪物に遭《あ》う夢だ。黒い海を通って、黒い島に流れ着く。そこには怪物が待っている……そんな夢を何度も繰り返して見た」
最後に怪物が出てくるところを除けば、裕生の見る夢とそっくりだった。
「皇輝山《おうきざん》天明《てんめい》も同じ夢を見ていました。知り合いだったんですよね? それに、ぼくもその夢を見てるんです」
「知っているよ」
清史はかすかに微笑《ほほえ》んだ。
「こっそり葉《よう》が隠していたノートを読んだことがある。『くろのかなた』だったかな」
「え……」
裕生は絶句した。
「わたしの使っていなかったアタッシュケースの中に隠してあった。君が書いたものなんだろう? ノートには君の名前が書いてあったな」
雛咲家《ひなさきけ》の葉の部屋で、黒いアタッシュケースを見た時のことを思い出した。葉には不釣り合いなものに思えたのだが、おそらくあの中にしまってあったのだろう。
「天明はどうしている?」
「警察《けいさつ》に捕まりました。その……色々あって」
「裕生くん」
清史は物思いに沈んだ目でつぶやいた。
「今、君は幸せか?」
唐突《とうとつ》な問いに裕生は戸惑《とまど》った。
「どういう意味ですか?」
「あの黒い島の夢を見た者は、なぜか皆不幸になるようだ。あの夢を見てから、わたしにもなにかがあったようだし、天明《てんめい》も……それに、船瀬《ふなせ》も」
「船瀬って人も夢を見てるんスか?」
佐貫《さぬき》が口をはさむと、清史《きよし》はうなずいた。
「彼が一番|詳細《しょうさい》に見ているだろうな。そして、彼が一番のめりこんでいた。夢の中で見た奇妙な文字のことを、よく話してくれたものだった」
裕生《ひろお》は慌ててバッグから一冊の和装本を取り出した。なにも書かれていないその表紙を見た瞬間《しゅんかん》、清史は大きく目を見開いた。
「それはどこで?」
「皇輝山《おうきぎん》天明から貰《もら》ったんです」
清史はシーツから右手を出すと、表紙を懐《なつ》かしそうに撫《な》でた。
「もともとこれは船瀬の頼みでわたしが作ったものだよ。彼は夢で見た文字を紙に書いて、わたしのところへ持ってきたんだ。記念に本の形にしたいと言ってね。わたしは和装本の装丁《そうてい》のやり方を少し知っていたから、遊びのつもりでこれを作ったんだよ」
清史は遠い目をしながら言った。
「しかし、完成した時には船瀬はすでに失踪《しっそう》していた。それで、同じようにあの夢を見ている天明にこの本をやったというわけなんだ」
「ちょっと待って下さい」
裕生は驚《おどろ》いて口をはさんだ。
「じゃあ、雛咲《ひなさき》さんもこれになにが書かれてるのか知らないんですか?」
「知らないね。船瀬も自分が夢で見たものをそのまま書いてきただけで、読めたわけではなかったと思う。ただ……」
なにかを思い出すように、清史は目を閉じた。
「順番、と船瀬は言っていた」
「なんの順番なんスか?」
と、佐貫が尋《たず》ねる。
「そこまではわたしにも分からない……とにかく、なにかの順番らしい、としか聞いていないんだ」
裕生は少し落胆《らくたん》した——まさか、『皇輝山文書』を作った本人が内容を知らないとは思ってもみなかった。
「他《ほか》になにか聞いたことはありませんか?」
「いや……なにも聞いていないな」
清史は首を振りながら言った。それ以上のことは、本物の船瀬|智和《ともかず》から聞くしかなさそうだった。
「もしよかったら、その本をしばらくわたしに貸してもらえないか? 見ているうちになにか思い出すかもしれない」
一瞬《いっしゅん》、裕生《ひろお》と佐貫《さぬき》は顔を見合わせる。別にいいんじゃないか、というように佐貫は軽くうなずいた。
「分かりました。どうぞ」
裕生は『皇輝山《おうきざん》文書《ぶんしょ》』を清史《きよし》に手渡す。清史は本を開いて書かれている文字を確認《かくにん》し始めた。
沈黙《ちんもく》が流れる——携帯《けいたい》の時計を見ると、正午になろうとしている。ツネコと葉《よう》が病院に到着する頃《ころ》だった。そろそろ潮時《しおどき》だと思った。
しかし、ここを出る前に一番|肝心《かんじん》な質問をしなければならない。
「カゲヌシについてなにか知っていることはないですか?」
と、裕生は言った。
清史は『皇輝山文書』からふと顔を上げ、
「カゲヌシ……?」
と、口の中で噛みしめるように繰り返す。裕生は息を詰めてその続きを待った。
しかし、その続きは素《そ》っ気《け》ない一言だけだった。
「……聞いたことはないな」
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