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シャドウテイカー ドッグヘッド07

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:6 裕生は「喜嶋《きじま》バー」と書かれた看板《かんばん》の前に立っていた。ステンドグラスをはめ込んだドアには「準備中」
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 裕生は「喜嶋《きじま》バー」と書かれた看板《かんばん》の前に立っていた。ステンドグラスをはめ込んだドアには「準備中」のプレートがかかっており、店内の明かりも消えている。
喜嶋バーは新大久保《しんおおくぼ》の駅のすぐそばの、小さな二階建ての一階にある。二階はツネコの住まいになっていた。
ドアを開けるのになんとなく抵抗感がある。さっき電話した時のツネコの怒りを思い返すと、どうしても気後《きおく》れしてしまうのだった。
(ここで立ってるわけに行かないんだから)
裕生は意を決して、静かにドアを開けた。
「店の前でなにやってたの」
いきなり声をかけられて、裕生《ひろお》は飛び上がりそうになった。
喜嶋《きじま》バーはカウンターだけの小さな店なのだが、そのカウンターの向こうに紺《こん》の縞柄《しまがら》の着物を着たツネコが腕組みをして立っていた。外にいる裕生をドア越しに観察《かんさつ》していたらしい。
「こ、こんにちは……いえ、別に」
ふうん、とツネコは鼻を鳴らす。電話で話した時と同じように不機嫌《ふきげん》そうだった。といっても、機嫌のいいツネコを見たことはほとんどない。
「あの、天内《あまうち》さんは?」
「二階。今、眠ってるわよ」
「怪我《けが》はしてないですか?」
蔵前《くらまえ》に会ったのだとしたら、無事で済むとは思えなかった。
「別に怪我はないみたいだけど。かなり疲れてるみたいね」
「そうですか……」
裕生は少しほっとした。今すぐ話を聞きたいところだったが、目を覚ますまで待った方がいいかもしれない。
「そうですかじゃなくて、あの女の子はあんたのなんなの? ひょっとしてうちの姪《めい》っ子とあの子で両手に花でよろしくやってるわけ?」
「ち、違いますよ! ただの知り合いです」
ツネコは、葉《よう》に手を出すな、と釘《くぎ》を刺す一方で、葉以外の女の子に手を出すな、とも釘を刺していた。二本の太い釘に挟まれて裕生は身動きが取れなかった。
「へええ? 『裕生ちゃん』とか呼ばせてたけど?」
「あれは天内さんが勝手《かって》に……」
「あー、そう。女のせいにする気?」
裕生は口をつぐんだ。どう答えても地雷を踏みそうな気がした。
「とにかく、そこに座んなさい」
ツネコは顎《あご》でカウンターの反対側を指し示した。裕生は背筋を伸ばしてスツールの端に腰を下ろす。ぐっとツネコが裕生の方へ上半身を乗り出してきた。
「まあ、ゆっくり聞かせてもらうわ。時間はたっぷりあるんだし」
裕生の背筋に冷や汗が流れた。刑事に問いつめられる容疑者の気持ちが少し分かった気がした。
 カゲヌシのことを口に出さずに茜《あかね》との関係を語るのは困難《こんなん》をきわめた。葉と一緒《いっしょ》に雄一《ゆういち》の大学へ行った時に「偶然知り合った」女の子で、それ以来連絡を取り合っている、と説明したのだが、我《われ》ながら疑わしいと思った。
「さっき、葉を連れてこないでって言ってたのはなんなの?」
「それはぼくにもよく分からないんです。本人に聞かないと……」
「へえ」
ツネコは不信の目を裕生《ひろお》に向けている。確《たし》かに言《い》い訳《わけ》にしか聞こえない。どう切り抜けようか思いを巡《めぐ》らせていると、裕生の携帯《けいたい》が鳴った。慌ててバッグから携帯を出す——佐貫《さぬき》からだった。
「すいません、ちょっと……」
裕生は逃げるように外へ出ると、通話ボタンを押した。
「もしもし」
『よう。今日《きょう》どうしたんだよ、お前』
佐貫の声が聞こえてきた。
「え?」
『いや、学校休んだから、なんかあったのかと思って。病気か?』
そういえば、佐貫たちには休んだ理由をまだ説明していなかった。
「ううん。病気じゃないよ。ちょっと用事があって」
『そっか。ま、どうせ後で連絡来るんだしって思ってたんだけど、西尾《にしお》が心配して電話しろしろってうるさくてよ』
やめてよ、というみちるの声がかすかに聞こえた。どうやら佐貫のすぐそばにいるらしい。どうしてわざわざ佐貫にかけさせるんだろう、と裕生は思った。
その時、電車の発車ベルが聞こえた。喜嶋《きじま》バーの裏には電車のホームがある。
『ん、お前今外にいるのか? なにやってんだ?』
「それが……色々あって」
裕生は一瞬《いっしゅん》ためらった。茜《あかね》には葉《よう》に秘密にしろと言われたが、他《ほか》の人間に隠せと言われたわけではない。
「天内《あまうち》さんのこと話したの、憶《おぼ》えてる?」
『ああ、当たり前だろ。『ボルガ』の元契約者だっけ?』
「天内さんが蔵前《くらまえ》に襲《おそ》われたらしくて、今|新宿《しんじゅく》の葉の叔母《おば》さんの家に来てるんだよ。話があるって言うから、ぼくがここに来たんだけど」
『へえ。じゃあ、俺《おれ》も行く』
いきなり佐貫は言った。時計を見るとまだ一時前だった。昼休みが終わる少し前。
「でも、まだ午後の授業あるよね?」
『こっちの方が大事だろうが。俺も天内さんって人と直接話してみたいって思ってたし』
裕生は喜嶋バーのドアを振り返った。中ではツネコが待ち構えているはずだ。もし佐貫が一緒《いっしょ》なら、ツネコにあれこれ追求されずに済むかもしれない。
「うん……ありがとう。場所知ってたっけ?」
『新大久保《しんおおくぼ》の駅のそばだろ? 駅に着いたらまた連絡するから』
そう言って佐貫《さぬき》は電話を切った。はあ、と裕生《ひろお》はため息をついた。今から来ると言っても、かなり時間がかかることには変わりがなかった。少なくともそれまではツネコの話をじっと聞かなければならない。
「……ちょっと」
背中から声をかけられて、裕生は慌てて振り返った。細めに開いたドアから、ツネコが顔を出していた。
「す、すいません。友達から電話かかってきて……」
長く席を外《はず》しすぎたかも、と思った。
「そうじゃなくて」
と、彼女は言った。
「あの天内《あまうち》って子、目を覚ましたわよ。あんたと話したいって」
 ふと、葉《よう》は我《われ》に返った。
彼女は団地のベランダにもたれて、建物の下の道路を見ていた。通行人はほとんどいない。薄手《うすで》の緑色《みどりいろ》のコートを着た、髪《かみ》の長い女性が一人だけこちらに歩いてくるのが見えるだけだった。
(わたし、ここでなにしてるの)
まるで誰《だれ》かが来るのを待っている気もしたが、はっきり思い出せなかった。空を見上げると太陽は真上からかすかに動いている。窓越しに居間の時計を振り返る——午後一時過ぎ。
(裕生ちゃんは?)
ふと、急いで玄関から出て行こうとする裕生の姿がかすかに頭をかすめた。あれはなんだったのだろう。
記憶《きおく》代わりの手帳を見なければならない。どこに置いたのか憶《おぼ》えていなかった。彼女は居間に戻ろうとして、思い直してスカートのポケットを探った。手帳は左のポケットに入っていた。
彼女は最初から順番にページをめくっていった。今日《きょう》の日付、自分のいる場所、自分の周囲にいる人たち、置かれている状況を五分ほどかけておおまかに把握する。
今日は十月五日。
裕生はしばらく学校を休むことにしたらしい。
雄一《ゆういち》は奥の部屋で寝ている。
最後のページに行き着いた時、葉は首をかしげた。一番新しい書き込みの意味がよく分からなかった。
 これから裕生ちゃんと一緒《いっしょ》に出かける。
これから裕生《ひろお》ちゃんの帰りを団地で待つ。
 まるで反対のことが書いてある。自分は今、どちらのことをしようとしていたのだろう。ベランダにいたということは、裕生の帰りを待っていた気もする。しかし、それならどうしてすぐ上に反対のことが書かれているのか。
時間をかけたところで思い出せそうにない。彼女は部屋の中に戻った。
後ろ手にサッシを閉めた瞬間《しゅんかん》、奥のふすまががらりと開いた。寝ぐせのついた頭をがりがりかきながら、雄一《ゆういち》らした。
「おお、葉か」
雄一は白い歯を見せて、それから大あくびをした。
「……おはようございます」
葉はやっとそれだけ言った。彼について憶《おぼ》えていることはほとんどない。ほとんど見知らぬ他人と言ってよかった。
雄一が彼女の方へ近づいてくる。慌てて後ろに下がろうとしたが、背中が窓ガラスにぶつかった。
「まー、そうビビんなって。なんにもしねーよ」
笑顔《えがお》のままで雄一は言い、それから葉の頭をぐりぐりと撫《な》でた。一瞬、葉は肩をすくませたが、思ったよりも嫌《いや》な感じはしない。なんとなく懐《なつ》かしい気分ですらあった。前にもこんなことがあったのかもしれない。
「お前は忘れてっかもしんねーけど、俺《おれ》ァお前がオムツしてる頃《ころ》から知ってんだぞ? はっきり言って俺の妹みてーなもんだ」
ふと、雄一は部屋の中を見回した。
「で、俺の弟はどこ行ったんだ? 裕生の奴《やつ》は?」
「どこかに行ってる……みたい」
雄一は不審《ふしん》げに眉《まゆ》をひそめた。
「っかしーな。あいつ、学校休むって言ってたぞ。しばらくお前のそばにいたいんだってよ」
葉は顔がほころぶのを必死に我慢《がまん》した。そばにいたい——しかし、同時に不安も覚えた。だとしたら、どうして裕生は一人で出かけたのだろう。
(わたしも出かけなきゃいけなかったのかも)
なにか大事なことを忘れてしまったせいで、ここに取り残されたのかもしれない。
そう思うといても立ってもいられなくなった。
「裕生の奴、どこに行ったんだろーな」
と、雄一は言った。それは葉の考えていることと一緒《いっしょ》だった。
その時、チャイムが鳴った。葉は急いで玄関に走って行く。ドアを開けると、先ほど団地の下を歩いていた、髪の長い女性が目の前に立っている。
葉《よう》を見た途端《とたん》、彼女は戸惑《とまど》った表情を浮かべた。
「あの、わたし西尾《にしお》といいますけど、雄一《ゆういち》さんは……?」
「……夕紀《ゆき》」
いつの間にか葉の後ろに立っていた雄一がつぶやいた。
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