日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

記憶の絵02

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:祖母薄い、骨のような膝の上に私は乗っていて、細い、かさかさした手が私を抱いている。私は緋色地に薄紅色の暈《ぼか》しのある
(单词翻译:双击或拖选)
 祖母

薄い、骨のような膝の上に私は乗っていて、細い、かさかさした手が私を抱いている。私は緋色地に薄紅色の暈《ぼか》しのある白い大きな牡丹の模様の、メリンスの綿入れを着ていて、まるで綿の団子のようだ。抱いているのは祖母で、茶の間のボンボン時計の下である。
(もういくつ寝るとお正月)と、祖母が歌っている。祖母の声は撫でるように優しいが、私の暈《ぼんや》りと開いている眼は、祖母の顔から何かを視、祖母の声の中から何かをききとっていた。それは祖母が、その痩せた、骨のような胸の中にもっていて、彼女が隠さなくてはいけないと思っているものだ。祖母は、私とは異う母をもった兄を哀れんでいた。彼女は私をも愛していたが、愛していながら、愛することが出来ない。そこから彼女の寂しさが生れ、冷たさが生れた。その冷たさを私は陽の当る縁側から差し込む温い光で、牡丹の花が明るく浮き出ている、メリンスの肌目《きめ》と一緒に、吸いこんでいた。祖母が、藍色の男帯を小さく結んだ、痩せて小さな背中を見せて草むしりをしている。苔の中に出てくる、小さな白い蕾《つぼみ》のついた雑草を一本一本引きぬくのである。いつもそうやっているから、私は「又いた」と思う。そばへ行くと「於菟《おつ》ちゃんに遊んでお貰い」と、後を向いたままで言った。(兄さんなんかいやしない)私はそう思って、彼女のそばを離れた。観潮楼と言っていた二階へ上がる梯子段は急で、途中で一度よじれていて、曲るところは段の右側が三角形に尖っていた。私は上野の山の森まで見える明るい二階の廊下へ出るうれしさを夢みながら、よく一人でその暗い梯子段を(もう一つ、もう一つ)と思って上がった。真中辺の暗いところを上がっていると、谷底のような下の方で、(まりちゃん、危いよ)という祖母の声がしたが私は黙って又一つ、一つと上がって行った。祖母の口癖は(於菟ちゃんが角帽になって、茉莉ちゃんが海老茶になったら……)と言うのだったが、そんな祖母の声の中に愛情を感じて、私はふと、祖母の顔を見た。或日祖母が私の手をひいて砂利を敷きつめた、大変に広いところへ伴れて行った。黒い蟻のような群衆が真中辺に円陣になって固まっている。その中では何かやっているらしいが、祖母は私の手をひいてその円陣の廻りをうろうろ廻っているばかりだ。すると親切そうな兵隊が来て、二人を一番前列に連れ出してくれた。そうしてひそめた声で(そこに居られるのが陛下です)と言った。一間位離れて、猫背の老いた軍人がいた。それは明治天皇だった。明治天皇は、胸の厚みの辺りの、釦と釦との間が少したるんでいて、そこに内容が詰っているような、愛情があるような、大変に懐しい人間像を、私に感じさせた。それは観兵式だったと、後でわかった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%