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記憶の絵16

时间: 2020-03-30    进入日语论坛
核心提示:犀星と鰻室生犀星のところへ行くと、少しいたと思うと、すぐ夕飯の時刻になる。夕飯の時間をねらって行くわけではないが、すべて
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犀星と鰻

室生犀星のところへ行くと、少しいたと思うと、すぐ夕飯の時刻になる。夕飯の時間をねらって行くわけではないが、すべて動作がのろくて、裁縫とあまり変りがないので、どこかへ行こうとして家を出るのはどうしても午後三時になるからだ。一時まで、というような時には夜明け前から肉汁《スウプ》やサラダを造り、長い髪を解いて結うという作業を早く済ませようとしてヤッキになるのである。
夕飯の時間がきても私は図々しく座っている。最初の内はすごく気を遣《つか》って殆ど行かない位といってよかったが、いつからか月に一度は行くようになり、夕飯をたべるのも定《き》まったことのようになった。犀星が「夕飯をたべていらっしゃい」と言うと「はい」と答えるのである。さて夕飯であるが、その度といっていいほど出るのが鰻だった。五反田の、犀星のひいき[#「ひいき」に傍点]の鰻屋の蒲焼が自転車で運ばれてくると、すっかり冷たくなっている。犀星は冷えた鰻がとくにお好みである。鰻の油は冷えて、はぜたようになった肉の襞の間や、皮と肉との間に凝固している。鰻の他にもいろいろあるが、鰻を喜んでたべないと、わざわざとりよせた好意に対して失礼である。私は鰻を嫌いではないが、尻尾の細いところが好きで、むろん焼きたての方がおいしいのだ。私はまず冷えた鰻をおいしそうな顔で平らげ、次に牛肉と野菜のスウプ煮や、煮魚、卵焼、なぞで口直しをした。ところが或時、「紅い空の朝から」という、ずいひつのような小説の中で、鰻が出て困ると書いてしまった。それを読んだ犀星は、鰻をとる時には朝子氏(犀星令嬢で作家)に命じて別の煮魚なぞを私のためにつけさせた。いくら言いわけをしてもだめで、困った。事実、その文章にも(犀星が美味なものとして出すものは、私にとっても美味なものである。私は美味なものとしてたべている)と書いてあったのである。そのことがあって間もなく、私は自分の小説の中に出てくる犀星に甍《いらか》平四郎という名をつけた。犀星が「杏つ子」の中の自分につけた平四郎という名がいかにも犀星らしいので、どうしてもそれが使いたかった。それで苗字だけ苦心して変えたのである。私はその名が自慢で或日、朝子氏に予告すると、朝子氏はそれをすぐに犀星に言った(お父さまの名甍平四郎ですって)。すると犀星は「ふん」と軽く肯いた。詰らなそうな顔だとは思ったが犀星はその時、甍平四郎を、田舎平四郎、と聴きちがえて怒っていたのだった。私が帰ると犀星は急に不機嫌になって、(森茉莉が鰻がきらいだというならくわすな)と怒ったので、朝子氏はなんのことかわからなかったと、後になって私に話した。やがて次の号の新潮を読んだ犀星は朝子氏に〈なんだ甍か〉と言ったそうだ。不思議なことに犀星の死後、私は大変な鰻好きになった。冷たい鰻をたべてみたいと、思うこともある。
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