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もめん随筆07

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:大阪言葉小片五年程前の事と思ふが、岡本の谷崎先生のお宅へ伺つた折、あの眸の美しいお妹さんとしばらく話をした事がある。いづ
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大阪言葉小片

五年程前の事と思ふが、岡本の谷崎先生のお宅へ伺つた折、あの眸の美しいお妹さんとしばらく話をした事がある。いづれは女同士の当りさはりのない日常茶飯事で、どこのデパートは買物がしよいの、どこのデパートはよい品が安くてあるのと他愛もない話だつたが、そのうちにお妹さんはくつくつ笑ひだして、何ですわね、こちらの人はものを買ふ時によくはりこむといひますわね、とそんな言葉がをかしくてならないといふ風に云はれるのであつた。はりこむといふ言葉の意味は私もよく知つてゐたので、それから又しばらく二人の間には大阪言葉のわかりにくい話が栄えた事であつたが、東京生れの人が大阪の言葉に同化するのは調子の具合やいひ廻しのちがひやいろいろ差しさはりがあつて、どうやらだいぶ難しい事であるらしい。私が最初に大阪へゆく時東京から随いて行つた女中など、三年大阪にゐたけれど到頭大阪言葉を何一つわからずに帰つてしまつた。
この女中の話はその時もお妹さんとの間の話題に上つて、二人で笑つた事なのだけれど、ある時、夫の生家から出入の小作人に車を曳かせて届けものをしてくれた事があつた。頼んでおいた古い椅子などの上に、畑で出来た葱やキヤベツの類を積んで、河内から玉出までごとごとと曳いてきてくれた彼は、朝早く河内を出るといふかねての約束だつたにもかかはらず、どうしたのか昼を過ぎてもまだ着かなかつた。どうしたんでせう。まさか自動車と衝突したのでもないでせうねと話しあつてゐる二階へ、慌しくこの女中が上つてきて、
「いま河内の方《かた》が、伊藤松坂屋の前でどうかなさいましたさうです」
胸をつかれて私達は問ひただすまでもなくドドドと階下へ降りてみると、玄関の入口に両手をさげて畏まつて起つてゐるのは、そんな報知を持つてきてくれた警察の人ででもあるかと思ひの外、やはり河内から車を曳いて来た本人であつた。
「どうした」と夫が声をかけると、
「へえ、おそなりましてすんまへん。わたし途《みち》でちよつと転《こ》けましてな、膝すりむいて痛うおまつさかい、なんぞくくるもんおくなはれ云うて、いま女ごしさんに頼んでまんでんねん……」
伊藤松坂屋の前は、いたうおまつさかいのまちがひとわかつて私達は笑ひだしたが、女中は不機嫌で、
「あの方の仰有ることはまるで外国語のやうです」と云つてゐた。
その女中が東京へ帰つてしまつて、代りに河内生れの女中がくると今度は私がまごつかねばならなかつた。はいと返事はしてゐても私のいひつけた事は先方にわからず、先方の云つてゐる事は私にわかりにくいのである。つまらない細かい日常の事にいちいち通弁がいるので、東京の女中が外国へきてゐるやうなといつた言葉を成程と思出して感心するのであつた。お勝手のことをはしりもと、おはちといへば丼で、飯をいれるおはちはおひつ。おへらがしやもじ、しまつておくことはなほしておく。お互ひにゆづりあつておぼえるのだが、ものを投げやりにしておく事を道楽にするといひ、いたづらつ子を叱るのに、このどろぼうメといふのでは、その言葉に対するべつの観念がこちらにあるために、いくへんきいてもまごつくのであつた。いちびるとかほたえるとかいふ言葉もなかなかおぼえにくかつたが、おぼえてしまふといちびるのはいちびるのであり、ほたえるのはほたえるのであつて、それを東京の言葉になほしてみようとしても、つけあがるでもはしやぐでもどうにもピツタリとしないのだからふしぎである。私はよく人から、
「大阪言葉はわからないでせう」と云はれ「ええ」と答へると、
「大阪弁て実にいやだな」
「さうですか、私は又あれが好きなのですけれど……」
わからないところに私の夢があるのではなからうかと考へる。大阪といふ町の正体は、住めば住む程わからなくなり、わからなければわからない程、私は大阪を好きになつてゆくらしい。
「東京へいたらなんやさうでんな、洗濯して糊するのに、干さないでそのまま糊しますさうなな、そんな事したら糊が損でんがな」
私を驚かしたこの言葉は、親類うちのとしよりが云つた事だが、私はその言葉がわからなくて驚いたのではなくよくわかつて驚いたのである。だから私は、東京の嫁さんは贅沢やといふ非難にすこしも腹がたたない。さういふ非難はむしろ温かく私を甘やかしてくれるのかも知れぬ。
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