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もめん随筆33

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:夏の話○Sのいふには、大阪市中に初めて電車のとほつた時、折柄浜寺の海水浴場へ水泳の稽古にかよつてゐた自分は、どうか乗りた
(单词翻译:双击或拖选)
夏の話

○Sのいふには、大阪市中に初めて電車のとほつた時、折柄浜寺の海水浴場へ水泳の稽古にかよつてゐた自分は、どうか乗りたいものだとおもひ、帰りがけに電車のところへ行つてみたが、さて切符を何処で売つてゐるのかそれがわからない。見てゐると人は皆どんどん乗つてゆき、電車も人を乗せてどんどん走つてゐる。切符を売るところは何処にも見当らぬが、電車に乗る人は以前から何処かで切符を買つてきてゐるのだらうか、誰かに訊かうと思ふのだがそれも何だか恥しい。それに京都の電車は手をあげると何処でもとまつてくれるといふ話をきいてゐたが、ここの電車は手をあげなくてもとまつてゐるし、又手をあげてとめてゐる人もない。どうもわからない。それで、電車について歩いて見てゐる間には何とかわかるだらうと思つて、到頭難波の駅から天王寺まで電車と一しよに歩いて行つたが、やつぱりどうして乗るのかわからなかつた。天王寺から汽車に乗り、家へ帰つて兄達にきくと、切符は電車の中で売つてゐるのだといふ事で、なんだと手づまの謎がとけたやうだつたが、それにしても子供といふものは実に見栄坊なものである。十二の高等二年生の夏の事である。
○子供のいふには、麻野君の家へゆくと面白いのよ。夏になるとお父さんがさる又一つで、のつしのつしと家の中を歩きまはつてゐるのよ、ちやうどパパみたいに。それでお玄関から麻野君と呼ぶと一番ちひさい妹が出てきて、あらちがつた、兄さんのお友だちと云つて引つこむの。するとその上の弟が出てくるの。その弟がなんだ兄さんかつて引つこんでゆくとこんどは麻野君の兄さんが出てくるの。それから学校へ行かない子も出てくるの。そして一ばんおしまひに女中さんが出てきて、麻野君は留守ですつていふのよ。でもそれまでにきつと五人位ぞろぞろと出てきてそれがみんなさる又一つきりの裸ん坊ばかりなのよ。それやをかしいのよ。(麻野君のお父さんは大審院の判事なのである。子供のあたまにその事があるらしかつた)
○Rがいふには、お昼頃阪神電車に乗ると、なか頃のよりかかりのある端の席に、四十代の中婆さんで、白の富士絹の簡単服を着て草履をはき、かうもりがさと手さげ代りの大きな袋を持つた人が乗つてゐた。その洋装のおばあさんがさかんに居ねむりをする。口をあけてよだれを流しながらがくりと倒れかかるのだが、それがよりかかりの方へ倒れないで隣の人の方へ倒れるのである。隣に腰かけてゐるのはやはり四十あまりの、これはちやんと和服を着た中婆さんで、膝の上に唐草もやうの大きな風呂敷包みをかかへてゐる。その中婆さんが云ふには、「あんた、こつちやへこけたらあつおまんがな、暑うてかなひまへんがな、あつちへこけなはれ」と手でおしかへすと、ゐねむりの女ははずみでよりかかりの方へ倒れるが、すぐ又首をもたげて新しく和服の婆さんの方へ倒れてくる。お婆さんは又、暑おまんがな、あつちへこけなはれとおなじ文句をくり返して向うへ突いてやる。さうして二人の中婆さんはおなじ仕草とおなじ文句を、片方のお婆さんが降りるまで繰り返してゐた。
○もう一つ。
やはり昼頃の空いた車に、朝鮮人の家族が乗つてきた。人を使ふ程の身分らしく、うす汚ない服装の召使をつれてゐた。主人と細君と娘と召使と四人連れである。娘は牡丹色のはなやかな上衣を着て、細君と二人でしきりに何か楽しさうに話をして笑つてゐた。主人は広い座席でのびのびと居ねむりをしてゐたが、何処かの停留場で電車ががくりととまつた拍子に、はずみでシートの上へすてんと引つくりかへつてしまつた。細君も娘も一せいに笑ひ出し、乗客も皆思はずふきだした。本人は眼をさましてきよとりとしたが、すぐ素知らぬ顔で窓の方を向いて、そとの景色を眺めてゐる。居ねむつてゐる間ぢゆう巻煙草をくはへてゐたのだが、それが遠くの方へ飛んでしまひ、細君や娘は笑ひながらそれを指して召使に拾はせ、召使は拾つた煙草を恭しく主人に渡さうとしたけれども、彼はいかめしい様子で窓のそとへ眼をやつたまま、振り向きもしないのである。その又巻煙草といふのが、吸口を二十あまりもかさねた途方もなく長いものであつた。
○さつきの荷物をかかへたお婆さんの話。
和服を着たお婆さんは尼ケ崎で降りるので、隣に腰かけた汗くさいやうな水兵服のおさげの子に、このつぎは尼ケ崎ですかとたづねた。田舎の女学生らしいその子はよく知らないと見えて、はあさうですと答へた。けれどもお婆さんはすこし不安な気がしたらしく、電車がつぎの駅に近づいた時、今度は前に立つてゐるRに向つて、ここ尼ケ崎ですかときいた。いいえ此処は大物で、尼ケ崎はこのつぎですとRが教へると、お婆さんは大層よろこんで、いよいよ尼ケ崎で降りる時にもう一度Rに礼を云つたが、隣の女学生の方は睨みつけて降りていつた。その女の子はRとおなじ年頃であつたが、しかし睨まれても何の感じもないやうに一向平気な顔をしてすましてゐる。
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