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ある日、ある午後06

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:ペリエと私行きつけの六本木のカフェバーに、私のボトルがキープしてある。というと偉そうだが、世界中に私のボトルをキープして
(单词翻译:双击或拖选)
ペリエと私

行きつけの六本木のカフェバーに、私のボトルがキープしてある。
というと偉そうだが、世界中に私のボトルをキープしてもらっているのは、その店だけである。
それまでボトルキープは男の世界のものだと思っていたし、今でもそれはそう思う。女が、「あのボトル出してよ」と言うのは、なんだか可愛気《かわいげ》がないような気がするのだ。
にもかかわらずあえてボトルをキープしたのは、仕事柄若い編集者たちとお酒を飲むような機会がふえて、相手に気を使わせず上手にご馳走《ちそう》する必要が生じたからだった。
ボトルはバーボンで、ジャック・ダニエルとワイルドターキーの二種。私はバーボンをペリエで割って飲むのが好きである。
冬の間はたいていバーボンとペリエだが、夏の昼下り私が好んで飲むのは、スウィート・チンザノをやはりペリエで割ったもの。大きなグラスに氷をたくさんつめて、チンザノを注《つ》ぎ、たっぷりとペリエで満たす。これは私の海の家のパティオで、夕陽を眺めながら飲むのには、正にぴったりのロングドリンクである。
年をとってくると、あまり甘いお酒が苦手になってくる。たとえばジントニック。長いことジンとトニックウォーターとライムで飲んでいたが、なんだか甘さが舌にのこるようになった。
ふと思いついて、トニックウォーターとペリエで半々にジンを割ってみた。甘さがおさえられ、さわやかな大人の味になった。これもやはり、夏の飲みもので、ヨットで日焼けした後とか、テニスの後に飲むと、天にも昇る心地である。
今年、ロンドンに十日程滞在した時のことだ。私と夫は、いつものようにランチの時、ワインを注文した。ところが同席のイギリス人たちはペリエを注文するのだ。
冷たくしたペリエを、氷も入れずグラスに満たして、ちょうど私たちがワインを飲むように、食事の間にそれを飲むのだった。
最初私はちょっとびっくりした。というのは、私の概念では、ペリエとは、何かのお酒を割って飲むものでしかなかったからだ。
それでふと思い出したのはニューヨークの話。
ニューヨークの働き盛りの第一線の男たちが、もう食前酒のマティニーやワインに手を出さず、ペリエで食事をするという話である。そして食べるものも脂肪の多いステーキではなく、チキンとかツナサラダということだ。
ニューヨークの男も女も、健康指向で、お酒も煙草もやらず、ジョギングやスポーツジムで汗を流しているという。それが今一番新しいことなのだそうだ。
新しいことが良いというわけではないが、健康であることは良いことだ。それが今やロンドンにも広がっているらしい。
さっそく私も真似《まね》をしてみることにした。
正直言って最初の二、三回は、ペリエだけというのは飲みにくかった。ただの水の方がまだ良いような気がしたのだ。それで、ただの水にきりかえてみた。
驚いたことに、ただの水がひどく不味《まず》く感じられた。生臭いようなもったりした味なのだ。あわててペリエに逆戻り。そして改めてわかったのだが、シャープでクリスタルな味。炭酸の泡もすっかり気にならなくなった。
ロンドンにいる間に、完全にペリエ党になって東京に帰って来た。
私が食事の時、ワインではなくペリエを注文するのを見て、友だちは眼を丸くした。「だまされたと思って試してごらんなさい」と私は言った。そして何人かの友だちがペリエ党になった。
水で食事をするのは味気ないが、ペリエだとワインを飲めない人も、なんとなくしゃれた感じで食事が進む。それに、夜、車が運転できるのが何よりもありがたい。
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