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ある日、ある午後10

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:スーツとスニーカーとOLニューヨークのキャリアウーマンたちが、スーツにスニーカーをはいているというので、これがたちまち日
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スーツとスニーカーとOL

ニューヨークのキャリアウーマンたちが、スーツにスニーカーをはいているというので、これがたちまち日本で流行したことがある。
ファッション雑誌をめくると、素敵なスーツやドレスに、ちょっと違和感のあるスニーカーというのが氾濫《はんらん》していた。
足の長いスタイルの良いモデルでも、ちょっとどうかなと感じる場合が多かったので、ましてやスタイルも悪いし足も短い私は、ただの一度も試みることはなかった。
大体が軽薄で最新流行にすぐ手を出す私なのであるが、スーツにスニーカーというのだけは敬遠した。要するに、自分に似合わないからである。それに、あまり素敵だと思えなかった。スーツにはきりっと六センチくらいのヒールの靴が一番似合うし、スーツ姿も美しいと信じているせいもあった。
つい最近ニューヨークに行った時のことだ。五番街あたりをブラブラと歩いていたら、連れの女性が言った。
「あら、ここじゃ未だにスニーカーね。ちょっと流行遅れって感じじゃない?」
なるほど、スニーカーがずい分多い。でも、ちょっと観察してみると、ファッションページから抜け出して来たような姿はほとんどといってもいいくらいに見当たらず、ジーンズにセーター。あまり格好の良くないレインコート。老いも若きも男も女もといった感じ。
流行につきもののファッショナブルな印象は受けない。流行というより必要に迫られている感じ。
そうなのだ。ニューヨークの中心街は、東京やロンドンと違って、すごく小さいのだ。タクシーを拾うまでもない。かと言って、ヒールの高い靴で歩くのにはくたびれる。そこで必要に応じて、スニーカーで歩く。会社に着いたら、きちんとした靴にはきかえる。そもそもそういうことから始まった話なのであった。キャリアウーマンが会社までテクテク歩いているところを、パチリと撮られて『スーツとスニーカーとの組み合わせが今新しい』なんてやったのは、きっとそそっかしい日本のファッション関係者なのに違いない。
ニューヨークに何日かいるだけでわかったことだが、働く女たちは日本の女たちに比べるととてもつつましい。そもそもスニーカーで通勤するのも、ヒールの底が痛むのを防ぐためだ。靴を大事に長くはくためである。
ランチタイムだって、ちゃんと座ってナプキンを使うようなレストランには、めったに入らない。サンドイッチかピザをつまむ程度で済ましてしまう。それも安い立ち食いの店か、カフェテリア形式か、もっと安く上げるために、公園やあるいは道を歩きながらホットドッグなどかじっている。そういう時スニーカーがぴったりとくるわけだ。
日本では普通のOLがシャルル・ジョルダンの靴をはいていたり、ヴィトンのハンドバッグを持っていたりする。
日本の若い女性がそんな贅沢《ぜいたく》が出来るのは、親がかりだからである。住と食を親にみてもらっているから、一足三万円もするような靴がはけるのだ。
外国の女性たちは、自分の収入を得るようになれば、当然のように住も食も着ることも何もかも、いっさいがっさい自分でみなければならない。一足のハイヒールを大事に長もちさせなければならないわけなのである。
そこのところが大いに違うのではないだろうか。日本のおしゃれな女たちは、十足くらいハイヒールを持っていて、スニーカーをファッションとして、短い足にはく。あちらの女は、必要にせまられて、格好の良い足にはく。どちらが板についていて素敵かは言うまでもない。ファッションというのは、うわべの型だけではないということだ。
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