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ある日、ある午後13

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:女らしさについて色々とあって、夫婦が別れる。別れるまでの経過がいかに苦しいか、離婚をした人たちは口々にそれを訴える。けれ
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女らしさについて

色々とあって、夫婦が別れる。
別れるまでの経過がいかに苦しいか、離婚をした人たちは口々にそれを訴える。
けれどもいったん別れてしまうと、女の人たちは実にいきいきと生き始める。そこが男とは違う点だ。
男たちはしばらくの間はいかにも寒そうに、惨めそうに生きている。
さて、自由になった女友だちは、仕事をみつけ社会とかかわっていく。刺激的な日々が始まる。
そんなある日、私はある女たちと逢《あ》った。
「どう? 独り身の自由の味?」
前よりも確実に五歳は若く見える彼女の美しい変身に驚きながら、そう訊《き》いた。
「うん、最高」
場所は私の家だった。夕食|刻《どき》だったので、ありあわせを一緒に食べた。つまりそれほど親しい女性なのだった。
食事が済んだ。私は汚れものがいつまでも散らばっていると落ち着かないせっかちな性分なのですぐに洗い物に立った。
「あら、手伝うわよ」と彼女が言った。
「うん、おねがいね」と私も少しも遠慮しなかった。
ところが、いつまでたっても彼女はテーブルに座って、あれこれお喋《しやべ》りを止《や》めない。私はあいづちを打ちながら、飲み終えた彼女のコーヒーカップを、洗い場へ運んだ。
「あら、私がやるのに」とまた彼女が言った。
「だったら拭《ふ》いてよ」と私も頼んだ。
やはり彼女は喋り続けて立って来なかった。私は返事したり、お喋りを続けながら食器を拭いて、戸棚にしまった。
一段落して、彼女の前に座ると、私は溜息《ためいき》をついた。昔はとても腰の軽い人だったのに、と思った。気働きがあり、人の気配を敏感に受けて、先へ先へと行動する人だった。
見ると煙草を吸っている。足を組んで鼻の穴から煙りを吐きだした。
「一言、いい?」と、私は言った。
「その顔つきじゃ、厳しそうね」と彼女はまだ残っている敏感さで、そう言った。
「あなた、男になったわよ」
妙な表現の仕方ではあるが、それで彼女には通じた。
「うん、自分でも最近そう思う……」ふっと反省の表情がその顔に浮かんだ。
「一日中外で仕事でしょ? 疲れちゃってさ、腰が重いのが自分でもわかるのよ」
「疲れるからかなあ」と私は疑問を呈した。「私も働いているんだっていう過剰な意識があなたを男にしちゃったのよ」私はズケズケと言った。「働くことがそんなに特殊なことかしら」
「厳しいな。でも反省。言ってくれてありがとう」
私の女友だちはそう素直に認めて、ニッコリ笑った。
人の批判を素直に聞けるのは、素晴らしいことだと思う。今でも彼女と私はいい友達だ。
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