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ある日、ある午後22

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:永島敏行さんのこと今、一番気になる男ということで、私が永島さんの名を挙げたら周囲の人たちがアレ? というような顔をした。
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永島敏行さんのこと

今、一番気になる男ということで、私が永島さんの名を挙げたら周囲の人たちがアレ? というような顔をした。ラシクナイデスネというのだ。日頃ウォーレン・ビューティーとかミッキー・ロークが素敵だと声を大にして騒いでいるせいだと思う。
私の周囲の人たちは、私の長い恋の遍歴を知らないから、アレ? となるのである。これは初めて明かす私の※[#○秘]、恋の遍歴物語。本当は小説のネタに大事に取っておきたいのだけれど、永島さんの魅力を語るためには、どうしても避けて通れないので、打ち明けてしまおう。なんだかハヤシマリコ風になってきた。なぜだろう? テツオさんが原稿取りに来るせいかしら? 私が好きになる男のパターンは、物の見事に二つのタイプに分かれる。バタ臭い男と純日本男子風と。
小学校の時の初恋の相手はオサムちゃんで、これはバタ臭い方の代表。郷ひろみタイプの可愛《かわい》い少年だった。中学校の三年間ひそかにして熱烈に思いを寄せたのは、ナガハマ君で正反対。嵐寛十郎《あらしかんじゆうろう》の少年時代といったふうだった。高校時代は再び反転して今度はアラン・ドロンタイプに変わり、大学の終わりの頃婚約した男は健さんの若かりし頃を偲ばせた。そして結婚したのが文字通りの外国の男で、それがこの二十年間ずっと続いている。だから次に挙げるとすれば当然、永島さんということになるのである。
説明したりないので少し話を戻すと、健さんの若かりし頃を偲ばせる男とは、婚約をしただけで結婚には至らなかった。早い話が彼の気が変わったのである。無理もない話なので私は許してあげた。それだけではなく別れた後もずっと友だちで、今でも友だちだ。その彼は罪ほろぼしに私の本の装丁をせっせとしてくれている。もっとも只《ただ》でというわけでもないらしい。デザイン料はちゃんと取っているという話だ。
どういうわけかバタ臭いタイプとの相性はいいのだが、純日本風好男子との相性がめっぽう悪いみたい。嵐寛十郎の君など、中学生とはとうてい思えぬ悪意のある冷ややかさで終始一貫、私をしりぞけていた。
さて永島さん。じっと写真を見ているうちにあることに気づいた。嵐寛十郎若かりし頃のナガハマ君と、婚約だけして結婚しなかった男を足して二で割ったような顔をしているのだ。嘘《うそ》みたいだけど本当のこと。私はやっぱり幾つになっても面食いなんだ。
でもひとつだけ変わった事がある。昔はキリキリと神経をひきしぼっているような男が好きだったが、もうそういうのはつくづくといい。いいというのはいらないという意味。温かい男がいい。握手をした時に、その男の手がひんやりと冷たいと、以前は胸がズキンとして、たちまち魅《ひ》きつけられたが、この頃では手足が冷えるせいか、温かい手がやたらとうれしいのだ。ひんやりと冷たい手に触れたりしたら、こっちの手までたちまち感染して冷えてしまい、朝まで冷えっぱなし、まんじりとも眠れないなんてことになって困るのである。
それから、基本的に正義感の強い男。躰《からだ》の中心にぴりっとそれが通りぬけているような男。悪や不正や卑劣な行為が行われていたら、その前を素通りできないような男が、いいと思う。この場合のいいは良いの意味である。
更に言えば礼儀正しいことも、大事。この点についても若い頃の私は、相手の男が無礼ではだめだが、ほとんど無礼すれすれのところで女に接するようなキザで冷たい男に強く魅かれたが、それももうノーサンキュー。とにかく冷え性になってからは手足にツララが出来そうで冷たい男はだめなのだ。
普通が最高。自然なのがいい。海辺にいたら海の一部になり、都会にいたら都市の一部になり、風が吹いたら風のように、その場、その時々になじみ逆らわない、きわだたないこと。バーに一歩足を踏み入れたとたん、わッ、コンドウマサオミがいる、というのは困る。(ごめんね、マサオミさん。でも私があなたの熱烈なファンなのを知ってるでしょう?)
冬ならツィードの上着にウールのセーター、スニーカー。夏ならジーンズにTシャツが似合う男。フランソワーズ・サガンの好きな表現『年をくった少年のような男』。
うん、そう、私も『年をくった少年のような男』が好き。三十代はもちろん四十代でも五十代でも、ただ少年のようなではなく、年をくったがつく少年のような男が素敵。
もうひとつだけ。言葉を持たないものたちに優しいひと。植物や自然を傷つけないために、できたら積極的に何かしてもらいたい。そして、犬や猫だけでなく、地球に住む動物たちの声に耳を傾けて欲しい。言葉をもたないものの悲しさを労《いたわ》れる心。子供とか。鳥や犬たちや子供たちと、延々と会話が出来たらどんなにいいだろう。これは私の想像だけど、永島さんはきっと、樹《き》や動物たちや花や子供たちと、長々とお話が出来る男《ひと》なんじゃないかしら?
土の匂《にお》いがしたり、コンクリートの匂いがしたり、雨の匂いがしたり、潮風、太陽、樹木、それにほんのちょびっとクリスチャン・ディオールのオーソバージュの香りが混って。笑うと少年みたいだったりお父さんみたいだったり、うつむくとシャイで。低いけれど透明な声で「きみ、一人で大丈夫か?」って訊《き》いてみてくれない?
そしたら私は答える「いいえ」って。「いいえ。でも、一人でがんばらなくちゃね」って。
永島さん、今日は快く私のために写真に出てくれてどうもありがとう。
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