返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

ある日、ある午後32

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:ロンドンのアンティーク英国のアンティークには、フランスのもののような華麗さはない。どこか堅実で実用的である。私は格別に古
(单词翻译:双击或拖选)
ロンドンのアンティーク

英国のアンティークには、フランスのもののような華麗さはない。どこか堅実で実用的である。私は格別に古いものが好きだというわけでもないし、西洋|骨董《こつとう》フリークでもないが、洋の東西、時代の今昔を問わず、良いものは良いと思うし、美しいものは美しいのである。
アンティークを買った場合も、飾り棚にただ飾っておくというようなことを私はしない。たとえそれがひとつ百万円もするガラス器であろうと、時々サラダを入れたり、フルーツポンチに使ったり、花をいけたりしたいと思う。大事に大事に、割りはしないかとドキドキしながら使うのだ。といっても我が東京の家にあるイギリスの骨董は、十八世紀のワイングラスのセットと、十四世紀の銀製のティーポット、ビヤー・マグ程度である。
ロンドンの銀《シルバー》のアンティークを一堂に集めたシルバー・ヴォルツを回って見たが、その種類と量の多さに度肝をぬかれた。同じような間ぐちの小さな銀製品の店が何百軒と地下街の、厳重な警備の下に、店を開いていた。
いずれもユダヤ人と思われる主人がいて、こちらの素性や所持金など完全に見透かされるような気がした。それでも年の功で図々しく店内を物色したが、本当に私の趣味に合った欲しいと思うものには中々|出逢《であ》えなかった。
家具屋なども回ってみて、ひとつ学んだのは、店主によって、実に、選びぬかれたものが美しく配置されていることだ。骨董店《こつとうてん》というよりはサロンの感じ。たとえ椅子《いす》一脚にしろ、眼の玉が飛び出るような値段。どこの誰《だれ》がこんなに高いものを買うのだろうか。
そう質問すると、店の主が説明するには、やはりお得意はアメリカの金持ちだそうだ。ニューヨークやカリフォルニアから、おかかえのインテリア・デザイナーが飛んでくる。
つまり、新しく家を建てるとか、アパートを改装しなおすとかいう時に、金持ちはインテリアを専門家に全部まかせるのである。そこでデザイナーが色々考え、この部屋のこのカーテンの所には、イギリスのアンティークの椅子が欲しいと思うと、それをひとつ買いに、わざわざロンドンまでやってくるのである。色々な店を回り、徹底的に見て気に入った椅子を一脚注文して帰る。あれもこれも、とインテリアを全部アンティークにしてしまうのは、どうもヤボなことらしい。しかし、アメリカの金持ちというのも、ずばぬけた贅沢《ぜいたく》をするものである。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%