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ある日、ある午後35

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:イギリスの食事なにかというと人は、イギリスの食事は不味《まず》いという。確かにそういう一面もあるのだが、要はどこで何を食
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イギリスの食事

なにかというと人は、イギリスの食事は不味《まず》いという。確かにそういう一面もあるのだが、要はどこで何を食べるのかによると思うのだ。ロンドンに行って中華料理を食べたって、我々日本人の舌を満足させるわけはない。だったらホンコンや東京で一流の中華料理を食べれば良いのである。
それから例のローストビーフ。まるでイギリスの代表みたいにいわれるローストビーフだが、あんなものたとえ神戸の牛を使ってホテルオークラあたりで食べても、たいして美味《おい》しいものではない。牛肉の一番美味しい食べ方は、霜降りのステーキをミディアム・レアに焼いて、サイコロに切り、醤油《しようゆ》をちょっとつけて食べるのに、つきると思う。
だからローストビーフなるイギリスの代表料理が美味でないからといって、イギリスの料理はたいしたことはないときめつけるのはフェアではない。ローストビーフはニューヨークで食べても東京で食べても同じなのである。
思うに、イギリスの食べものが不味いという人は、素材そのものの味の良さを知らないのだと思う。ドーヴァーのひらめにしろ、ラムのローストにしろ、新鮮な素材そのものを一番良い状態に焼いて出してくれる。クリームソースやバターやワインの混ざったわけのわからないソースなど、かかってはいない。イギリスの料理は原則として塩とコショウだけで食べるものなのだ。そしてそれが一番美味しいのである。
イギリスに行くと私が好んで食べるのは、ドーヴァーのひらめのムニエルであり、スプリングラムの柔らかいロースト、それにパブ料理のステーキ&キドニーパイ。冬だと街角のフイッシュ・アンド・チップスを新聞紙に包んでもらい、なんとなく印刷オイルの匂《にお》いのするやつをかじりながら歩く。
アラブ系の人たちが多い場所にあるレバノン料理も珍しく、インド料理もばかにできない。中華はほとんどだめである。日本料理もいけない。
うらやましいのは、素材の豊富さと新鮮さ。たとえば肉屋などのウインドゥには牛、豚、鶏はもちろん、兎《うさぎ》、鹿《しか》、七面鳥、ラム、などが日常的にそろっている。そしてその値段もとても安い。
ハロッズの食料品売り場は正に圧巻である。これだけの品ぞろいを見せられると、ホテルなどに泊まらず、一週間単位でアパートを借りて自分で料理をしたいと思う。
夫はブラック・プディングをみつけて、もう二十年も食べていなかったと一瞬なつかしそうな悲しそうな顔をした。これだけの素材の豊富な国の食べものが、不味《まず》いわけはないというのが、私の結論である。
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