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ある日、ある午後49

时间: 2020-03-31    进入日语论坛
核心提示:エーゲ海航海誌八月二十八日サーシェからダーセックへセイリング。ダーセックに着いたとたん、私はサングラスを海中に落としてし
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エーゲ海航海誌
八月二十八日
サーシェからダーセックへセイリング。
ダーセックに着いたとたん、私はサングラスを海中に落としてしまった。サングラスなしでは、たちまち眼を痛めてしまうほどの海の日射《ひざ》しなのだ。エーゲ海の航海中、初の事件である。
ナオミがもぐってみたが深すぎてだめ。夫もとても歯が立たない。最後にクルーのニック青年がヒレをつけて海中へ。
彼は他の人のように斜めにもぐってはいかず、ほとんど垂直に一気に海底へ。みるみるニック青年の姿が小さくなっていく。水深は十メートルを越えているのだ。
ニック青年は二十四歳。イギリスの軍楽隊でクラリネットを吹いていたのだが、いつまでもクラリネットを吹いているのも能がないと、今年で退職。夏の間母親の再婚の夫ピーターのヨットでアルバイトをして、そのお金でしばらく世界中あちこち見て回りたいというのだ。
子供の頃からヨットに乗っていたというだけあって、海のターザンみたいな青年だ。船長一家はイギリス人で、毎年三月から九月一杯まで、チャーターの仕事でエーゲ海で過ごすのだという。
ついでヨットのチャーターのことであるが、十日間で二食つきで約百万円。むろんヨットの大きさやそなえた設備によってチャーター料が違う。一人頭にすると、約十万円強。ホテルに泊まるよりはるかに安い。しかもエーゲ海を気ままに移動するホテルだ。シーツの取りかえもタオルの洗濯もみんなクルーがやってくれる。私はこの十日間、お皿一枚洗わないで済んだ。仲良しが三組くらい集まってヨットをチャーターするのも楽しいだろう。
もしも読者の方で、エーゲ海のヨットクルージングに興味がおありだったらBBマリーンへ。TEL(03)462−0757。ちなみに私の夫の会社である。と、ちょっぴりコマーシャル。
さて紙面はつきたが、私たちのヨットの旅はまだ丸々四日間残っている。
オーハニエからダッチャ。ダッチャの港を出るとトルコに別れを告げてシミというギリシャの小島に寄る予定だ。
ダッチャは革製品とカーペットで有名な活気のある港町。シミは、いかにもギリシャらしい真白い家で丘が覆《おお》われた町である。
シミに一泊して、対岸のロードス島に戻り、私たちのヨットの船旅が終わる。すでにこれ以上は焼けないほど裏も表も日焼けした。読むつもりで持参した本には一度も手をつけていない。本など読む気がしないのだ。泳いで、食べて、飲んでヨットを走らせて港から港へ。それだけで一日が終わってしまう。偉大なるデカダンスの十日間。ヴィヴァ・トルコ。
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