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死体検死医05

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:5 有 罪一人暮らしの老女の家に強盗が押し入った。抵抗した老女は絞殺され、数万円の現金が奪われた。近所のアパートに住む顔
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5 有 罪

一人暮らしの老女の家に強盗が押し入った。
抵抗した老女は絞殺され、数万円の現金が奪われた。
近所のアパートに住む顔見知りの男が、事件後姿をくらまし全国を逃げ回っていたが、三か月後に逮捕された。
犯行を自供したため、強盗殺人の罪で起訴された。ところが公判になって、検察側の主張する犯行時間帯には、繁華街の酒場で酒をのんでいたとアリバイを主張。
自白は警察の拷問と誘導によるもので、真意ではないと犯行を全面否認した。
老女を司法解剖した医師の鑑定によると、犯行時間は五月二十九日午後十一時頃と推定されていた。
しかし、男はその時間帯には、酒場で酒をのんでいたことが立証され、無期懲役の求刑は一転して無罪の判決になってしまった。
検察側は犯行時間、つまり老女の死亡時間を見直すことになった。
事件を担当する県警の検視官から相談を受けた私は、自分なりの意見を述べていたが、そのうちに結局、この老女の死亡時間の再鑑定をたのまれてしまった。
事件から四年も経って、しかも無罪判決が出ているものを、死亡時間からひっくりかえし、有罪にもっていけるのか。ことの重大さと、鑑定の困難さに再鑑定をひき受けたことを後悔したが、あとのまつりであった。
再鑑定にあたり、示された資料は、最初に司法解剖した医師作成の鑑定書と、添付された死体所見および胃内容などのカラー写真であった。
鑑定書には脳、心臓その他各臓器に病的異常はなく、動脈硬化も軽度であると記されている。死因はいうまでもなく、絞頸による窒息であった。
さらに鑑定医は、死亡時間は当時の気温、死後死体の置かれた環境などを考慮し、体温の降下度、死《し》斑《はん》および死体硬直の程度を総合し、解剖時からさかのぼり約三十四時間前に死亡したものと推定している。
解剖日時は五月三十一日午前九時開始であるから、換算すると死亡時間は五月二十九日午後十一時頃になる。
この場合、死亡時間は犯行時間でもある。この時間が間違いだとするならば、その見直しであるから、鑑定医とは別の角度からより正確な死亡時間を検討しなければならない。
かつて東京の下町におばけ煙突というのがあった。電車に乗って遠くの煙突を眺めていると、四本の煙突が重なり合って、いつの間にか三本に、あるいは二本に見え、ある角度からは完全に一本に見えたりするので、その名がついたのだろう。名物になっていた。
同じものを角度をかえて観察するのも、大切なことだと思った。
今、人間は月まで行って帰って来られる時代になっているのだが、法医学はそれに比べるとあきれるほどおくれている。
殺人事件などでは、きわめて重要な殺害の日時を決めるのに、これといった科学的方法はなく、遺体に出現した死斑や死体硬直、体温の降下あるいは腐敗度など、昔ながらの経験に基づいておおざっぱに推定しているのである。だからたとえば、肉や魚の冷凍食品などは冷凍した時点のまま、解凍されるまでの長期間、その鮮度を保ち続けることができるので、法医学でいう従来の判定法では、死後経過時間を解明することはできない。いわばお手あげである。
血液や体液の化学物質の変化などで判断しようという研究もあるのだが、有機物は経時的変化が大きい上に、個人差、温度差、自然環境などの影響を強く受け、一定の目安を確立されるまでにはなっていない。
原則的には、遺体の中から自然環境などに支配されず、経過した時間のみに影響されるものを探し出せればよいのだが、そういうものが見つけられない。
したがって、法医学はまだまだ経験がものをいう、これからの学問である。
そんなわけで、本件の再鑑定は老女が生存中、最後に食べた食物の消化の程度から、死亡時間を推理することにした。
鑑定書には、胃の内容物は豆、野菜、のりなどが混入した未消化米飯三五〇グラム。胃粘膜は蒼《そう》白《はく》で、胃炎や潰《かい》瘍《よう》、ポリープなどの異常はなく、また胆のうには黄褐色の胆汁がごく少量入っているだけで、胆のう炎や胆石などはないと記されている。
法医学では胃内容と胆のう内胆汁量の関係は重要である。
一般的には食事をとってから三十分ぐらいすると、胆のう内の黄色い色素の胆汁は消化液であるから、十二指腸へ流出しはじめる。そして、そこを通過する粥《かゆ》状《じよう》になった食物に混入し、消化吸収されやすいように作用する。
普通われわれが食べる和食の場合、食後十分頃から胃内容は十二指腸へ移送されはじめ、三〜四時間で移送は終わり、胃は空虚になる。液状のものは早く、固形物は遅れる。脂肪食は胃の蠕《ぜん》動《どう》を抑制するので、胃の停滞時間は長くなる。つまり肉や脂肪を主体にした洋食のほうが、腹のもちはよいのである。
そればかりでなく、食べたものの化学成分、浸透圧あるいは精神状態を含め、からだの疾病、体調なども移送や消化に影響するので、一概にはいえないが、通常、食後三十分を過ぎるころから、胆汁は十二指腸を通過する食物に消化液として混入する。白いご飯を食べても黄色い大便が出るのは、この胆汁が黄色いからである。
胆汁が十二指腸に流出するので、胆のうは徐々に空になる。逆に空腹時には胆のう内に胆汁は貯《ちよ》溜《りゆう》してくる。
このように胃内容と胆のう内胆汁量の関係から、食後どのくらいの時間に死亡したかが推定できるのである。
老女が仮に食後三十分以内の死亡とすれば、胃内容の移送はそれほど多くはないから、五〇〇グラムぐらいの未消化食物が残存している可能性が高く、胆汁の排出も少ないので、胆のう内にはかなりの量の胆汁が貯溜していなければならない。したがってこの時間帯の死亡は考えにくい。
また食後三時間以上を経過しているとすれば、米飯と野菜を主とする比較的消化のよい食物は、胃から腸に移送されているはずである。
老女の胃内容三五〇グラム、胆汁少量であることを考えると、どうしても彼女は食後一時間前後に死亡した可能性が大きいのである。
そこで老女の夕飯を食べた時間が問題になるのだが、事件直後の捜査で隣人が夜七時ごろ訪れたら、彼女は食事をしていたことが確認されている。
この事実が本当であるなら、逆算すると犯行は午後八時ごろになる。これが私の結論であった。
この考え方からすれば、午後十一時頃は酒場で酒をのんでいたという容疑者の主張は成立するが、午後八時頃の犯行であれば、話は別になる。
私とこの事件のかかわりは、そこまでであった。
真実は一つしかない。
解剖、生理学をベースに医学を総動員して死体所見をいかに正確に読み取るか、それが法医学である。
間違いは許されない。
何年か経って、この事件のことなどすっかり忘れていたころ、それらしき事件の結末が新聞の片隅に載っていた。
「有罪」とあった。
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